1986年から登場したステンレス製の415系電車。 外観は「白い電車」と全く違いますが、搭載している機器類は従来の415系電車と同じなので、併結や混成も日常的なシーンでした。 車内は3ドア・オールロングシート。基本的な部分は211系の2000番台編成と同一のデザインで構成されています。 上野方のクハ411-1600のトイレと対面する区画のみ枕木方向に座席を配置した半ボックス席になっています。 シートはバケットタイプ。ドア間のシートは4+3+4の着座配置となっていて、モケットに入ったスリットが視覚的なアクセントに。 国鉄時代に登場した編成は、頭上の網棚が金属網となっていますが、JR化後に登場した編成はパイプ製になっています。 ドア付近の床に貼られている黄色い警戒シートは、近年追加されたものです。 車内は化粧板が艶のあるホワイト地、さらに窓も大きく採光も良いことから、鋼製415系より都会的な雰囲気がありました。 近距離をちょっと乗るならまだしも、茨城〜東京間の遠距離通学ではやはり「オールロングシート」は避けたいところで、 私自身もこの415系1500番台電車に乗った記憶はあまりありません。 このバケットシートは意外とフィット感がよく、座面のクッション材もさほどヒドい物ではなかったです。 個人的にこの1500番台電車は、「空いている時間帯に二人分を占有して、浅く大きく腰掛ける電車」という印象です。 2007年3月18日以降、上野口へ顔を見せることは無くなりましたが、常磐線の友部以北と水戸線で引き続き活躍中です。 |
ファミリー内で派生区分の少数派が数多く存在する403・415系一族の中でも、珍車の部類に入る「サハ411-1701」。 415系1700番台という形式区分がされていますが、この車両1両しか存在しません。 4両編成の7両化に伴い増備された中間車で、長らくステンレス車と鋼製車の混合編成の真ん中に組み込まれていました。 415系ステンレス車両唯一のセミクロスシート車で、ドア間にボックス席、車端部をロング席としています。 ボックスシートは211系1000番台に準じたFRP製のものですが、211系とは細部が異なっています。 まず、シート上部がビニルカバー張りではなく、全面がモケット張りに。さらに窓下には台形の小さなテーブルが装備されています。 「たった1両」という稀少さから、あれだけ415系に乗った私も数回しか当たったことがありません。 しかも画像として残せたのはこの1枚だけ。全景画像は撮っておくことができませんでした。 |
首都圏で登場した2階建て電車は、211系などのグリーン車か、251系「スーパービュー踊り子」のような上級クラス向け車両でした。 そこへ、着席定員を増やす目的で「普通車」にも2階建て車を組み込めるか、組み込んだ場合にどのような影響が出るのか・・・ そんな予想も付かない結果を求めて、実車で試してみるために作られたのがこの「クハ415-1901」です。 1991年に登場したこの電車。たった1両が、8両編成の下り方先頭車に付くという、415系ファミリーの中でも珍車中の珍車でした。 座席数が大幅に増えて「座って移動できる」という本来の目的以上に、「2階建て電車」というジョイフルさが好奇心をそそり、 「面白い電車で移動できる」という点で、デビュー後には一躍沿線ユーザーの人気者となりました。 2階のアッパーデッキは、シートが2+3の5列(階段付近は2+2)で、とにかく着席数を増やす試みがなされています。 一般の車両と比べ、車内中央まで入り込んで来る乗客は限られるので通路幅をギリギリまで狭め、1人当たりの座席幅も削って、 この驚きのハイデンシティ・シート配列が可能となりました。 階下のロアーデッキのシート配列は2+2の一般的なボックス席が並んでいます。(仙台方階段脇のみ3人掛け) 2階建て車の階下席特有の「逆台形・船底空間」となるため、片側3人掛け配置とできなかったようです。 2階建て部前後のノーマルフロアーはデッキが大部分を占め、乗降ドアは近郊型普通車として2枚観音開きとなっています。 仙台方の運転席直後部分は、左にボックス席・右にロング席を設けた折衷構成。 一方の上野方車端部はドア付近はロング(後に「優先席」となる)、連結部付近は両脇がボックス席という構成。 8両編成の端っこ先頭車ですがトイレが設置されていないのは、やはり座席数を増やすのを優先した結果でしょう。 デビュー当時シートは画像とは色が異なっており、アッパーデッキとノーマルフロアの座席はモケットが深いブルー。 ロアーデッキの座席はブラウンのモケット。いずれもシート上部にはシルバーのビニルカバーが張られていました。 ボックスピッチは1,490mm。これはピッチ改善車と登場した415系100番台を同じ数値となっています。 階段はスムーズな乗降を優先させるため、空間を極力座席に当てる中で従来の螺旋式ではなく、あえて場所をとる直線式に。 この階段部分には階上・下席の空席状況を表示する、「空席/満席表示装置」を設置しています。 各席座面に組み込まれたセンサーと連動していて、デッキ・階段部分での「立ち止まり」を少しでも減らそうという試み。 この電車、運行当時はダイヤが固定されていて、早朝深夜とラッシュピーク前後のみに走っていました。 そして日中はずーっと勝田の電車基地でお昼寝しているという、「人目を避けて走る」ような電車でした。 時間帯が合えば、もちろん私もこの電車の時間に合わせて乗っていました。 やっぱり常磐線唯一の2階建て車、「客寄せパンダ」の効果に乗せられていたわけですな(笑) 個人的には揺れが少なくて空間が広く、目線に反対側のレールが迫るスリリングさから階下席がお気に入りでした。 やや固めの座り心地はなかなかイイものでしたが、背もたれとのバランスは微妙なものがありました。 またこの座席、簡単に座面のクッションが外れてしまう作りでした。メンテがなってないのかメンテのためになのか・・!? 空いている時には、座面をちょっと前にずらして「なんちゃって座面スライドリクライニング」させていたのも今ではイイ思い出です(^_^; この電車の試験結果から、後年に215系「DDL」が生まれたました。しかし215系電車がほぼ「ライナー専用」という点、 そしてこのあとに常磐線を含めた首都圏のどこの路線にも「2階建て普通車」が登場しなかった点から、着席定員は多くても、 乗降時間に手間取ってしまうが故に遅延と混雑に拍車をかけてしまうのが普及しなかった理由ではないでしょうか。 403系電車がまだガシガシ走っている中、この2階建て電車は2006年3月のダイヤ改正で定期運用から離脱。 そのわずか3ヵ月後の6月には廃車回送→解体という、あまりにもあっけない最期を遂げました。 |