取手までの「常磐快速電車」を北進させ、通勤圏を広げることで常磐線のイメージアップを図る狙いで登場したのがこのE501系。 京浜東北線で活躍していた209系をベースに設計され、日本初の交直流通勤型電車となりました。 4ドア・オールロング・トイレなしという、およそ常磐線という長距離路線を走る電車とは思えない車内設備は、沿線利用者を驚かせました。 車内は209系をそのまま踏襲していて、一人当たりの着席テリトリーを明確にした一体成形バケットシートとなっています。 シートモケットのカラーリングは常磐線のテーマカラー「青」を座面に、霞ヶ浦や筑波山をイメージした「緑」を背もたれにあしらっています。 シルバーシートは、当初はシルバーのモケットを用いていましたが、後の「優先席」化でレッド系のストライプ模様に張り替えらました。 各先頭車(1・10・11・15号車)の連結面側には車椅子スペースが設けられています。 2006年頃から1・10・15号車の車椅子スペースの対面にトイレを設置する工事が始まりました。 2007年3月からの常磐“北”線への転出をにらんでの工事で、車椅子でも入れる大型の洋式個室が設置されました。 各ドアの上部には次の停車駅を「漢字→カタカナ→英文」で表示する電光表示板を設置。 始発駅や、途中駅での特急退避の待ち時間の間の冷暖房効果を高めるため、4つドア中3つを締め切る装置も組み込まれています。 側窓は大型で採光を良くした1枚窓ですが、京浜東北線で列車故障・立ち往生事故の発生以後、一部が開閉窓に改造されました。 一時期、下記の理由から土浦始発の電車のほとんどがこのE501系だった頃がありました。 そのため私もこの電車によく乗りましたが、どうも「京浜東北線に乗っている」というイメージが強すぎて、 これから1時間ちょっとを電車に揺られて東京へ向かうにしては、居心地の悪さばかりが先行して感じられました。 座面の硬さ、バックレストの支え部分の少なさも「東京でちょっとの距離を乗る電車」のためのデザインで、 とても上野−土浦間を延々と各駅停車で乗る電車として耐え得るものではなかったです。 (個人的には座面位置の高さと、サハ車の静けさだけはこの電車の良い印象として残っています) 混雑時に(特に上りの朝の日暮里駅や上野駅)でスムーズに乗り降りできるのは「さすが4ドアだな」と思わせました。 3ドアの415系だと発車ベルが鳴っているのにまだ車内には降り切れない人が残っているのに、E501系ではこれが一気にハケる。 トイレがない点で私は困ったことはないのですが、日中は子供連れやお年を召した方の乗車が多いので トイレがなくて困ったことがある、という人は意外と多いのではないかと思います。 (実際に415系だとトイレを探して車内を移動している人をけっこう見かけるので) E501系は当初103系常磐快速の置き換えを予定して、取手までの電車を土浦行きとして延伸させる予定でした。 ところがJR東日本では、E501系でまず経年劣化の進んだ403系を置き換えてしまいました。そのため長距離運用できる編成が減少。 しかし、さすがにこの電車を「勝田」「高萩」さらに「いわき」まで走る電車へ投入することにはJR東日本もためらわれた様で、 E501系は上野−土浦間のみの限定運用に投入され、結果として常磐線の「土浦」分断を招いてしまいました。 (ちなみに登場したての頃、方向幕に「水戸」「勝田」そしてなぜか「神立」が入っているのを幕回転時に目撃したことがあります) E501系が登場した頃、同時期に「4ドア近郊型」として横須賀線でE217系が増備されていました。 これを後にE231系近郊型へと発展させる構想がすでにこの時にはJR内にも存在していたようで、 高価な交直流電車を中途半端な状態で増備し続けるのは得策ではないと読んだJR東日本は、E501系の増備を60両で打ち切りました。 そして「次世代型近郊通勤電車」として完成されたE231系をベースにした、E531系が2006年に常磐線に登場。 4ドアながらロングとクロスの席配置を持ち、最高時速は130キロで特急電車と同じ性能というハイスペック。 さらに2007年に2階建グリーン車サービスも始まると、オールロング・最高速120キロのE501系を同じ土俵で走らせるには無理が生じ、 E501系は土浦以北の常磐“北”線・水戸線のローカル運用へと「都落ち」していきました。 中途半端な頃に先を急ぎすぎたがゆえの結果とはいえ、どうもE501系には「悲運の電車」というイメージが付いて回ります。 |
首都圏で最後まで103系電車が残っていたのが、常磐快速線でした。 「さよなら運転」が大盛り上がりだったようなので、首都圏からのこの最後の103系の引退劇が記憶に新しい方も多いのでは? 103系は取手と上野の間をピストン運行していたので、土浦さらにその北から常磐線に乗る私には馴染みの少ない電車でした。 たまに103系に乗った思い出といえば、朝の上り電車で土浦で着席できない時はその電車で立ったまま取手まで乗り、 取手に着くと向かいのホームに待っている快速線の103系に乗り換えて座る・・・なんてことをしていたこともありました。 403系から103系へ。今思えば国鉄型電車の豪華リレーですが、当時はこんなボロ電車ばっかの常磐線を恨んだものです。 着座とか乗り心地どうの言う前に、この常磐快速の103系はすさまじい高速運転を強いられていた点を挙げずにはいられません。 スピード自慢の651系「スーパーひたち」、柏や我孫子に停まりながらも素晴らしい加速度で追い上げてくるE653系「フレッシュひたち」。 これらが背後から追いかけてくるのを、待避線のある駅まで必死で逃げる103系の姿は、まさに「老体に鞭打つ」走り。 轟音を立てて爆走するロングシートに揺られること40分強。もはや103系本来の活躍テリトリーを超えた素敵な旅のひとときでした(笑) |
で、103系の跡を継いで登場したのが、今や首都圏の主となったE231系です。 総武線の黄色いE231系と同じ設計で作られていますが、特急退避停車時の冷暖房効果を考慮して3ドア閉め機能を追加。 さらにドア上の電光案内表示機は2段式になり、上段に停車駅、下段に運行情報や乗換案内、所要時間が表示されます。 座席は、雑誌の新車レビューによれば、これまでのE231系より柔らかさを改良したらしいのですが、劇的な変化は正直感じられません。 |