YSじいちゃんに会いに行く夏
こだわりの乗り物で南国紀行
の続き



【日本エアコミューター】JAC3643便 福岡空港 10:35 → 鹿児島空港 11:30

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ステアウェイを1段1段、確かめるように昇って、いよいよ機内へ。

外見の無骨さからは連想できない、カラフルなモケットのシート。
天井に向かって大きく湾曲した、「丸い」機内。

満席の今日は、全ての乗客が着席すると一段と機内の密度がギュッと増したような感じがしました。

(画像は鹿児島空港で、乗客が全て降機した後に撮影したもの)


先述のように、急遽予定変更して空路で鹿児島入りすることにしたのですが、 行程変更を決めて航空券の予約をする頃には、すでに3643便は満席近くで、希望する座席番号は予約が入ったあとでした。

窓際席は、座席と窓位置がちょっとズレる「3A」か「3D」しか残っておらず、ちょっとガッカリ。 前回の福岡行き「D席」は山側でしたが、今回の鹿児島行きの「D席」は海側になるので、事前指定で「3D」を予約しておきました。

どのくらい座席と窓がズレるのか心配でしたが・・・ガッカリするほどではなく、ちょっと前に屈むような姿勢にはなりますが、 充分に窓から外の景色を楽しめるので何の問題もありませんでした。

ほとんど真横にプロペラが見えるので、その動きを観察したい人には、むしろ「向き」な席かもしれません。


搭乗予定の全員が時間までに機内に揃い、3643便は定刻にドアクローズ。
風に揺れる仕切りカーテンの隙間から、メカニカルな動きで自動収納されるステアウェイがチラリチラリ。

エンジンも本格的に回りだし、「キュイ〜〜〜〜ィン」と独特なエンジン音が機内に響きます。
ゴロンゴトン・・とタイヤが回って自走しているのが足元から伝わる頃、機内ではCAさんのエマージェンシー・デモンストレーションが 始まりました。

テレビモニターや投影機のないYSでは、救命胴衣の装着方法から非常口の案内までCAさんが生の声で放送し、実際に装着して説明 して見せます。観光ツアーのおじちゃんたちが写真を撮っているのに紛れて、私もこっそり一枚・・(^_^ゞ

説明が終わると一部のおじちゃん・おばちゃんから拍手が上がったのは可笑しかったなぁ。


ゆっくり滑走路へと向かうYS。

ランウェイ34からの離陸のようですが、滑走距離が短くてすむYS機は、ほかのジェット機がタキシーウェイの奥まで進むのに対して 途中で横道に入ってショートカット。

奥でJALのB777やB747が順番待ちしているよりも先にランウェイに進入していくと、エンジン音がさらに高い金属音に。 グッ、グッ、と後ろから引っ張られるような圧力を感じながら、みるみるうちに加速は高まり、予想よりも軽やかな振動だけを 残して・・・・ふわり、テイクオフ。



ゆっくり、ゆっくりと眼下に福岡の街並みが広がり、一気に雲の中へと突き抜けるジェット機にはない「空へ浮かび上がる」という実感が YSにはあります。

徐々に高度を増しながらも、一気に街並みが見えてなくなることはなく、まるで「地図」の上を飛んでいるようです。


のんびりとした速度で進むYS機は、巡航飛行に入るまでかなりの時間を要します。

福岡空港を離れてベルトサインが消えたのは、離陸後約20分後。1時間のフライトでベルトサインが点いていないのは ホントにわずかな時間です。

巡航に入ってベルトサインが消えた頃、外の景色は街並みから島々が浮かぶ海の風景へ。
飛行高度が高くないYSの窓からは、島の間をすり抜けるように航行する船の姿すらも見えるほどです。


YS機での機内サービスは、巡航飛行時間が短いこともあって、芸術的なまでにテキパキと進みます。

ドリンクサービスも一人一人にオーダーを聞いて回ることはなく、飲み物を注いだカップをトレーに載せて通路を歩き、 声を掛けてリクエストしてきた乗客だけに配るシステム。
うっとり外の風景に見とれていると、飲みっぱぐれちゃうかも!

カップは「JAL」との共通のもので、JACオリジナルのものは姿を消してしまったようでちょっと残念・・。
カップホルダーは昨年乗った「JA8788」のものとは異なり、 リングに引っ掛けるタイプでした。


サーブされたドリンクをチビチビ飲みながら外の景色を眺めていると・・・ふっと霧のような雲が切れて、天草諸島の 島々が見えてきました!

複雑に入り組んだリアス式の海岸線、天草パールラインと呼ばれる島渡しの五橋、その間を縫うように航行していく多くの船舶・・・ まるで手に取るように見渡すことができ、ついつい見とれてしまいます。

(ちなみに、この風景に見とれている間にキャンディサービスが終わってしまった模様(T_T))


機内サービスの最後に「搭乗記念の絵はがき配布」がありました。

観光ツアーのご一行様には大人気のようでしたが、ビジネスマンは絵はがきサービスには見向きもせず・・・  私はもちろん貰ってきましたよ!

お手製感バリバリの絵はがきセット。カラーペーパーで絵はがきを巻いて、社名のハンコを押して・・・きっと日本エアコミューターの 社員さんがひとつひとつ作ったんでしょうねぇ。
ちなみに絵はがきのセット内容はこんな内容でした。


まるで示し合わせたかのように、絵はがき配布サービスの巡回が終わるとベルト着用サインが点灯。
いよいよYSは鹿児島空港に向けて、徐々に高度を下げていきます。

降下途中で桜島の上空を大きく旋回。(残念ながら桜島上空はガスがかっていて、勇壮な姿をハッキリクッキリ見ることはできませんでした)  錦江湾を廻りこみ、眼下に東九州自動車道の国分インターが肉眼で確認できる高さまで来ました。

ここまで来れば、鹿児島空港はもう目と鼻の先です!


スマートだった離陸同様、ランディングも想像以上に静かで、一度だけ「ガゴン!」と揺れただけで鹿児島空港に着陸。

押さえつけられるようなGもほんの数秒で解けるのがYSらしく、 実はヒコーキ嫌いになる「恐怖感」というのはYSには希薄かもしれません。

ゴロゴロ、ゴトン・・・とタイヤからの振動も、どこか「おじいちゃん」の温かさと人間味が感じられるようです。


自走しながら、クルリン!とターンしてスポットインするYS機。

ドアが開き、ステアウェイが広がって、機内とエプロンが陸続きになるとビジネスマンの乗客は先を急ぐように 降りてゆき、観光ツアーの団体さんはのんびりとワイワイ楽しそうに降りて、もちろん機首部分で記念撮影。

日本の空を支えてきたYSじいちゃん、まだまだ「経済」と「観光」の両面からたくさんの人に愛されている存在なのが 分かるフライトでした。


機内の画像を撮影させてもらったりして、最後の降機客は私でした(^_^ゞ

機首部分でツアーの団体さんが代わる代わる記念撮影をしていたのと、 バスではなく徒歩でターミナルへ向かうスポットだったので、特に急ぐように追い立てられることはありませんでした。

テクテクとターミナルへ歩いていると、JASレインボーカラーのA300が今まさに出発していくところでした。


ターミナルの中に入ると、クーラーが効いていてヒンヤリ涼しい〜!

ふと、さっき乗ってきたYSのほうへ目を向けると・・・なんと3機のYSが集っているこの光景!  徐々に機体数を減らしていくと、こんな幸せな光景も見られなくなってしまうのでしょうねぇ。





             




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