陸・海・空 駆ける!翔ける!
南の国で“のりもの三昧”の旅 の続き



日本エアコミューター 3652便 鹿児島空港 15:25 → 福岡空港 16:20

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主翼に「JA8788」のレジが見えました。

この「JA8788」は、現在「日本エアコミューター」に残る9機のYS-11のなかで一番若いのですが、 それもそのはず、182機生産されたYS-11のなかで、民間航空会社に納入された一番最後の記念すべき機材なのです。

「JA8878」は1973年3月12日、当時の「東亜国内航空(後の日本エアシステム)」に初登録がなされました。 当時は1機1機に地名などの愛称を付けるのが通例となっており、この「JA8878」には「おが(男鹿)」の愛称が名づけられました。

その後、1988年11月30日に現在の「日本エアコミューター(JAC)」にリースというかたちで移籍。
2000年6月30日に、JACのキャラクター「ルリー」のペイントを施した第一号機となりました。


1番列、2番列、(かなりムリな態勢をすれば3番列でも)の窓際席なら、プロペラが回転するダイナミックなフライトシーンが楽しめます。

このプロペラの回転を、そして空中の旅を生み出すのがなんとロールスロイス製のダートエンジン。

こちらからYS-11の機内で撮影したフライト動画がご覧頂けます。


1番列の席と出入り台の間には簡単な仕切りがありますが、通路のカーテンが開かれていれば、 ほとんどその間を塞ぐものは実質ないのも同然。

折り畳み式のステアウェイがコンパクトに畳まれて収納されているのが丸見えです。
あの大きな階段状のものがここまでコンパクトに折り畳まれている様は、まさに「芸術的」の一言です。


鹿児島を出て30分ほどでまたシートベルトの着用サインが点灯。
「福岡空港への着陸態勢に入ります」とアナウンスが流れると、 「え?もう着いちゃうの?」と驚いてしまいました。

新幹線での到達時間の短縮にも相当に驚かされたのですが、やはり老兵YSとはいえ飛行機の速さはダントツです。

真下をジェットフォイルが白い道を描いて航行中。時間的に釜山からの「ビートル206便」でしょうか。


ジェット機から何度も見た福岡の街並み。

窓の外にプロペラの回転を感じるだけで、まるで何十年も前の風景に見えてくるのはYSマジック!?


着陸はジェット機のようにダイナミックかつスマートに・・・とはお世辞にも言えませんが、 「おっとっと、ドッコイショ」なんて感じでの着陸には「ここまで運んでくれてありがとう!」という、 飛行機への思いが自然と浮かんでくると同時に「おつかれさまッ!」と思わず声をかけてあげたくなります。

ジェット機の半分以下の着陸滑走距離で自走状態に。
「ガタンゴトン」とゆっくりとした足取りで、最新鋭機が肩肘張るように居並ぶエプロンの一番はじっこにスポットイン。


この日のJAC3652便は予定より10分ほど早く福岡空港に到着となりました。

機内の画像を数カット撮らせてもらってから一番最後に機外に出てみると、やはりここでもプチ撮影会状態。

思えば、ボーディングブリッジでの搭乗ではここまで飛行機を近くに感じることはなく、 それが物珍しさを倍増させ、人間の好奇心をそそるのかもしれません。

それと、YS-11の人懐っこい柔和な表情が余計に心を捕らえられてしまうのかも。

この日、YSをバックに代わる代わる記念撮影をしていたカップルや女性グループの思い出の中に、 YSは記憶として残ったのでしょうか・・・。


到着ロビーへと向うガラス張りのゲート通路から、次の便に向けて給油中のYS-11が見えました。

高価な安全装置の搭載が義務つけられてしまったため、老朽化の進むYSに高価な機器を装備させるのは 航空会社にとってコスト増でしかなく、結果、搭載猶予となる2006年で完全引退の道筋をつけられてしまったYS-11。

日本の空を飛ぶのに残された時間は、あと2年弱・・・。
今日も9機のYS-11は最後の輝きを放ちながら、南の空を飛び交っています。

終わりの時が来る前に・・・ この地へきっとまた遭いに来るからね、YS爺ちゃん!





             




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