1965年、新大阪−長崎・西鹿児島間に登場した“新幹線接続寝台特急”に「あかつき」の名が冠せられました。 以来、最盛期には7往復にまで増え、筑豊線を経由する列車も現れるなど、関西ブルトレの主軸列車として活躍。 しかし新幹線の博多開業後はその勢いも下降、「明星」「金星」「彗星」などの僚友を次々と失い、 現在は共に残った「なは」との併結運転で、伝統の長崎特急の座を守っています。 影の薄い存在に成り果てた感のある一方で、多彩な個室車を連結したバラエティーある編成を組んでいました。 栄華を誇った関西ブルトレの生き残りであった「あかつき」と「なは」は、2008年3月のダイヤ改正で2列車同時に廃止。 京都・大阪を基点に九州へと走るブルートレインは長い歴史にピリオドを打ち、全廃となりました。 |
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「あかつき」号に連結されている「シングルデラックス」は、基本構造が「あさかぜ」号で使われていたものと同一。 個室内には幅80cmのベッド、収納式の洗面台、AVモニターによる映画放映と室内BGMサービスを完備。 窓側には折り畳み収納式の小さなライティングデスクが設置されています。 ドアロックはカード式で、乗車後の車内改札の際に車掌さんからアメニティキットと一緒に手渡されます。 やはり空間内の広さが特徴的で、上下列車とも九州内では「起きている」時間帯の走行となるので、 「シングルデラックス」なら、長旅への気だるさを大きく払拭してくれるゆとりを感じられるはずです。 「北斗星」の「ツインデラックス」にも似たこの個室は「ツイン」。 その名の通り2人用個室ですが、この空間内の広さにしてなんとB寝台個室です。 ベッドは枕木方向に上下段となっていて、下段は対面ソファーを折り畳むとベッドになるというもの。 上段は昔ながらのB寝台のような感じですが、下段のソファー利用時を考慮してスイッチ1つで天井方向へと簡易収納が可能。 昼夜どちらも快適に過ごせるような工夫がなされています。 元は「トワイライトエクスプレス」の個室から派生して「出雲2・3号」に連結されていた車輌。 ベッド幅は上下段ともB寝台標準の70cm。室内にBGM装置を組み込み、上下段それぞれに読書灯を完備。 室内照明は個別のスイッチで、最大の明るさから暗めまで好みに合わせて自由自在に設定できます。 |
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「シングルツイン」という奇妙な名前のこの個室。 「1人でも2人でも使える、最大2名定員の個室」ということから、この名前が付けられました。 こちらも「トワイライトエクスプレス」で生まれた個室タイプで、現在では「サンライズ瀬戸・出雲」でも設定されています。 個室内はとにかく狭く、室内空間いっぱいにベッドが2段に詰め込まれている感じです。 ベッド幅は上下段とも70cm。室内BGMサービスと、照明コントロールパネルを備えています。 ちなみに窓は下段にしかありませんので、上段ベッドはかなり閉鎖的な印象です。 リーズナブルに個室の旅が楽しめる、B寝台1人用個室「ソロ」。この「あかつき」にも連結されています。 ベッド幅は70cm。室内にはBGMシステムが装備され、照明も個別に消灯が可能となっています。 併結相手の「なは」号も「ソロ」を連結していますが、「なは」のは上段個室への階段が共有タイプなのに対し、 「あかつき」のは個室内に階段を抱え込んだタイプの設計となってます。 上段個室は、出入り口となる階段部分を完全に塞ぐ折り畳み式のベッドとなっていて、 この折り畳み部分をベッド仕様にセットすると室内全体がベッドとなり、幅70センチ以上の幅広ベッドになります。 「なは」号の「ソロ」は個室内にコンセントがありますが、「あかつき」号ではコンセントは非装備。 京都〜鳥栖間の「あかつき・なは」併結運転区間での利用なら、「なは」号のほうが利用価値が高そうです。 |
数々の個室のほか、昔ながらの開放型B寝台も連結しています。 「あかつき」号の場合は編成内の個室車比率が高いので、6両編成中に開放型B寝台は2両だけ。 「ソロ」「シングルツイン」などはプライバシーが守られる反面、室内の狭さによる圧迫感は避けられません。 この開放型B寝台はそうした圧迫感がなくゆったりしているので、空いていればのんびりと汽車旅を楽しめます。 ちなみに「あかつき」号のB寝台車は2両とも「スハネフ15」のため、17番区画(壁向き準2人個室タイプ)はありません。 |
寝台料金不要、指定席特急料金で「寝台特急」に乗れる手軽な存在の「レガートシート」。 「あかつき」「なは」がそれぞれ単独運転をしていた頃に連結が始まりましたが、 両列車が併結運転となってからは「なは」のレガート車は編成を外れ、現在「あかつき」のみに連結されています。 「対:夜行高速バス」を念頭に置いた設計なので、ご覧のように3列が完全に独立した状態での座席配置。 しかも、寝た状態で両隣りが顔合わせとなって気まずい思いをしないようにと、 真ん中のB席は両脇のA・C席と半ピッチずらして配置されています。 「寝て移動」を前提としているので、リクライニングは60度まで倒れます。 シートピッチは1,100mmで、昼行特急のグリーン車ピッチにも匹敵する広さを確保。 このピッチなら、前の人がフルにリクライニングを倒してきても、通路に出る余裕があります。 そのほか、レッグレストにオットマン(足置き)、インアームテーブルと手元だけを照らす読書灯を装備。 オーディオサービスも健在で番組表が背面ポケットに。毛布と室内履きのスリッパもセットされています。 1番から4番の計11席は女性専用のレディースシート。レースのリネンが掛けられているので一目瞭然です。 この女性専用区画の奥には、女性専用のサニタリースペースがあります。 さすがに画像はありませんが、文献によれば大型着替え室にワイドなシンクを擁した洗面台、 そして明るい色彩を用いた洋式個室が設置されているそうです。 なお、ピッチ拡大に伴う窓割りと座席位置の不一致が豪快に発生しています。 夜間走行での利用がメインなので、むしろ窓が無い位置が「当たり席!」とも言えそうですが、 窓割りと座席位置がそこそこ合っている座席番号を書き記しておきます。 ----------------------------------------------- 京都行き上り列車・・・3A/3C(レディース)・7A/7C・9A/9C・11A/11C 長崎行き下り列車・・・1A/1C(レディース)・4A/4C(レディース)・5A/5C・7A/7C・10A/10C ----------------------------------------------- |
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レガートシート車のデッキ出入り口側には、ロビーコーナーが設けられています。 ソファーとテーブルのほか、飲料の自動販売機とカード式電話機が設置されています。 A寝台個室車の端部にシャワー室がありますが、A個室乗客専用のシャワールームで、一般開放されていません。 シャワーは1部屋のみで、他列車同様1回で6分の給湯。脱衣室にはドライヤー、カガミ、脱衣カゴがあります。 A個室の車内改札の際に車掌さんからシャワーカードが手渡されます。 |
「あかつき」編成の車輌は、「出雲」号からの編入車アリ、「彗星」号を経験した車輌アリと、バラエティ豊か。 そのため各サニタリースペースのインテリアが、全く統一が取れていないのが特徴的です。 基本的に個室車は洋式ですが、同じ洋式個室でも雰囲気は全然違うものになっています。 洗面台も基本構造は同じでも、シンク周りが全く別の製品を取り付けているのが分かります。 デッキは、どの車輌も昔ながらの雰囲気を色濃く残しています。 |