伊豆急行 2100系 Resort21

 

1985年、日本有数のリゾート地として知られる伊豆を拠点にする「伊豆急行」に2100系「リゾート21」が登場しました。
海側に向けてセットされたベンチシート、シアター状に展開するパノラマ席。
団体専用のイベント車もビックリの室内レイアウトを備えた列車が地方私鉄の、
しかも毎日運行の「普通列車」に投入されるというから、鉄道界に与えた衝撃は相当なものでした。

テレビドラマに旅行番組・雑誌にと、次々とメディアに取り上げられる「リゾート21」。
その名は一気に知れ渡り、伊豆急行ばかりか伊豆観光全体の底上げと知名度アップに大貢献しました。
翌1986年には、あの100系新幹線をも圧倒する得票率を得て、ブルーリボン賞を獲得。
さらに1988年には、私鉄列車としては初めての東京駅発の列車が「リゾート21」によって運転されました。

1985年に登場した第1編成は、ペリー艦隊の黒船をイメージした「黒船列車」で最後を飾り、2006年3月に勇退。
現在は第2編成から2代目「黒船列車」の第4編成アルファリゾートの第5編成が活躍中です。





普通車 2100 Resort21
リゾート21 1次車

1985年デビューの一番最初の“リゾート21”です。
現在はご覧の通り、ポップなモケットに交換されていて「リゾート」感たっぷり。

一見座席はちゃっちい感じがするのですが、モケット詰め物などもクッションが効いていて
これで料金不要の「普通列車」とは、充分過ぎるほどのアコモデーションです。
中間車のボックスシート、ベンチシートともバックレストの高さがやや中途半端で落ち着かないのですが、
長時間に渡って乗車する列車でもありませんし、車内に開放感を与えるにはこのくらいでちょうどいいのでしょう。

4号車車内の中ほどにある謎の個室は、実は「演奏室」の跡。
登場当時、ここにはエレクトーンが置かれていて、生演奏が行われていました。


この記念すべき「リゾート21」の第一編成は、晩年は真っ黒に塗られ「黒船電車」として活躍。
2006年3月のさよなら運転を最後に、全車廃車解体されました。






普通車 2100 Resort21
リゾート21 2次車

1986年に登場した“リゾート21”の2次車です。
こちらもモケットの交換がなされていますが、1次車と比べるとメリハリの強い色調になっています。






普通車 2100 Resort21
リゾート21 3次車

1988年登場の“リゾート21”3次車です。
こちらは登場時のモケットをまだ纏っています。今こうして見てみると、モケット柄がどことなく「古くささ」を感じますね。

4号車の中ほどには、ジョイフルトレインのイベントフロアでおなじみの収納式シートが設置されています。
一部車両のデッキ寄りにはソファーを向き合わせに設置したボックス席もあり、ちょっとした変化に富んだ3次車です。






洗面台・トイレ デッキ設備

サニタリー(2次車)

和式トイレ(2次車)

男性用トイレ(2次車)

洋式トイレ(3次車)

デッキまわり

ジャンプシート

観光パンフレット

全てのリゾート21にはトイレがありますが、いずれも時代を感じさせるものとなってしまいました。
タイルを敷き詰めた床面や、洋式トイレの形状などレトロな雰囲気を漂わせています。

デッキには観光パンフレットを置いておくスペースがあります。
デッキにあるジャンプシートは、展望席に女性サービスアテンダントが乗務していた頃の名残。






コックピット

 展望席とコックピットを仕切る壁は、1メートルほどしか高さがないので
 コックピットは展望席全体から丸見えです。
 運転席を隠すような上下可動式のパーテーションが仕切り壁に内蔵されていますが、
 パノラマが一番のウリである「リゾート21」では、まず使われることはありません。

 車掌さんは後部運転席で放送やドア閉めなどの業務をこなします。










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