「リゾート21」の人気を決定的なものにしたのが、この特別車両「ロイヤルボックス」ではないでしょうか。 外観からして優雅さを漂わせ、車内に入れば高い丸天井に広々としたシートピッチで3列配置のシートが並ぶ客室。 同じく伊豆を目指す「スーパービュー踊り子」のグリーン席と比べても、劣るどころか優位さすら感じさせます。 シートピッチは1,340mm。座ってみると分かりますが、足元がとてつもなく広いです。広すぎて落ち着かないくらいです。 リクライニングはもちろんフリーストップ式。ググーンと、かなりの傾斜量まで倒れます。 前の席の人が全開までリクライニングを倒してきても、広いシートピッチのおかげで圧迫感は全然ありません。 座席の回転は、1回転で8段階ほどでストッパーが掛かり(2人掛け席は4段階ほど)、 窓を向いた位置で固定したり、2人掛け席と1人掛け席をサロン風の向きで固定させたりすることも出来ます。 テーブルは窓側に設置された大理石の固定テーブルのみ。背面やアームレスト内にテーブルは装備していません。 このテーブル台座部分には、小型のゴミ箱と係員呼び出しボタン(現在非可動)が設置されています。 |
「ロイヤルボックス」といえば「スターダストルーフ」、トンネル内での「星空演出」が大変有名です。 最盛期には4編成全てのリゾート21に「ロイヤルボックス」が連結され、伊豆急線内の普通電車運用時でも営業していました。
これらの「ロイヤルボックス」車は編成内固定ではなく、第1編成〜第4編成間でしばしば入れ替えが行われていました。 これはEX編成が「リゾート踊り子」として運転される際、リピートして乗る利用者も多いことから、 「乗る度に違う星空を楽しんでもらおう」という伊豆急のサービス精神からによるもの。 しかし利用者の減少により、2003年3月をもって「普通電車」での「ロイヤルボックス」営業を終了。 「EX編成」の「リゾート踊り子」運用を考慮して「サロ2182」だけが残され、他の3両は2004年12月に車籍抹消となり廃車。 保存や譲渡がなされることも無く、あっさり解体されてしまったのは、非常に残念な出来事でした。 「アルファリゾート編成」にも「ロイヤルボックス」は連結されていますが、こちらはトンネル内の演出や趣きが全く異なり、 オリジナルの「スターダストルーフ」を持った「ロイヤルボックス」車は、この「サロ2182」が最後の1両ということになります。 |
客室外設備として、東京方の車端部にはスタンドバーとテーブルを備えたミニロビーがあります。 以前、ここは喫煙ブースという扱いでしたが、現在はこのスペースも含めて車内は全車禁煙となっています。 このロビースペースの向かいには「ロイヤルボックス」の乗客専用のサニタリースペースが設けられています。 伊豆急下田方には立派なカウンターを備えたサービスブースが設置されています。 以前はサービスクルーが乗務し、車内で軽食やドリンクのサービスが行われていました。 現在はサービスクルーの乗務も無くなり、「ロイヤスボックス」における人的サービスは終了しています。 このカウンターの向かいにはクロークロッカーがあり、クルーが手荷物の預かりサービスも行っていました。 |
「ロイヤルボックス車」以外の普通車は、これまでの「リゾート21」シリーズ同様のシート構成となっています。 これまで海向きの座席は「くの字」形にカーブしたベンチシートだけでしたが、 この「EX編成」から、海向きの席に新たにソファーシートが3号車と7号車に設置されました。 その代わり、1次車〜3次車にあったイベントスペースはなくなり、全号車が一般客室となっています。 海向き席以外は基本的にボックスシート。海側が4人ボックス、山側が2人ボックスとなっています。 また、「眺望」を基本設計としているので、ブラインドやカーテンは装備されていません。 |
「リゾート踊り子」として走る時には、まずここから席が埋まることで知られる「展望席」です。 2+2が6列配置で、合計24席。後方席になるにつれて高位置になる「シアター形状」で、無理なく「全席展望席」といえます。 運転席の正面ガラスは、「EX編成」からピラーレスとなり、巨大1枚ガラスからの眺めは迫力そのもの。 「運転席」を挟むカタチでの「展望席」としては、間違いなく「日本一のパノラマ感」と言えます。 やや不便なのが、テーブルが窓側の小さなものしかない点。通路側席だと、事実上テーブル無し席となってしまいます。 【「伊豆急行」サイト内の「黒船電車・座席座席図」はこちらからどうぞ。】 |
サニタリースペースは、3号車・5号車(ロイヤルボックス)・7号車の各号車デッキに設置されています。 このうち3号車と7号車の普通車サニタリは、和式個室のみ。別に独立した洗面台はなく、個室内も簡単な作りです。 5号車の「ロイヤルボックス車」のサニタリは、男性用と洋式と洗面台が一体化した広い個室となっています。 このスタイルの「ロイヤルボックス専用サニタリ」は、その後の「アルファリゾート編成」にも引き継がれています。 |
これまでの「リゾート21」と同様に、デッキのドアは幅が1メートルにもなるワイドなものとなっています。 「ロイヤルボックス」車のドアも4枚の折り戸となっていて、普通車同様に1メートル幅となっています。 初代「黒船電車」では戸袋窓にサークル形状の飾り窓ステッカーを貼っていましたが、 2代目の「EX編成」では、デッキの窓ガラスに飾り窓ステッカーが貼られています。 「黒船電車」の車内はそれぞれにテーマが設けられていて、その案内ステッカーがデッキに貼られています。 |
運転席はコンソール一体型のすっきりとしたデザインとなりました。 |
速度計が「EX編成」からはデジタル表示となっています。 |