伊豆急行2100系 Alpha Resort21

 

登場するやいなや、瞬く間に全国区で有名となった伊豆急行の「リゾート21」。
1985年に第一編成が登場して以来、ほぼ毎年のように増備がなされ、
1990年には「ロイヤルボックス」を連結した「リゾート21EX」が登場しました。

その後3年間の沈黙を破って1993年に登場したのは、全く新しい「リゾート21」、その名も「アルファ・リゾート21」。
「アルファ」の愛称に込められた意味は「様々な星座の中で、最も明るく眩しく輝く星」。
「リゾート21」ファミリーの中で最も輝いている末っ子アルファは、今も伊豆のキラ星のような存在です。





ロイヤルボックス

「リゾート21」といえば「特別車輌:ロイヤルボックス」、そんなイメージが定着している方も多いのではないでしょうか?
天井にグラスファイバーを張り巡らせ、トンネルに入ると天井にはプラネタリウムの如く夜空の星座や夜景や光り輝く。
車窓が遮られるトンネルを「邪魔」な存在から「トンネルが待ち遠しい」存在へと変えた、革新的な“スターダストルーフ”演出。
この「アルファリゾート21」にももちろん「ロイヤルボックス」が連結されています。

「特急・リゾート踊り子」として東京駅へと乗り入れる時は「グリーン車」として販売されるだけあって、その設備は実に豪華。
2+1の3アブレストのシート配置、床全体がカーペット敷きで壁には飾り照明が設置され、専用のトイレとスタンドスペース。
そして高い天井はもちろんトンネル内での「光のショー」を前提としたもの。
とにかく空間の使い方があまりに贅沢で、この豪華さで「バブル景気崩壊後」の登場なのがさらに驚きです。

シートピッチは1,340mm。これ、「スーパービュー踊り子」の1,300mmよりさらに広いピッチ数値。
足元には折りたたみ式の台座がありますが、これはフットレストではなく、荷物置き用の台座です。
天井に広がるプラネタリウム演出の視界を遮らないように、この客室には頭上の荷物棚がありません。

1人掛け席は回転させると、一回りで約8段階ぐらいにストッパーが効くようになっています。
窓向きに椅子を固定することも可能で、一部の席は窓の柱とぶつかってしまう席があるのですが、
これの機能を活かすと全ての席が「パノラマ席」となります。窓向きで合い向かいにすれば、ちょっとした「カップル席」に!
ちなみに、座席回転のレバーは台座ペダル式ではなく、 座面すぐ下の手の届く位置にあります。
椅子に座った状態で座席が回転できるので、自分の好みの向き位置を座ったままで設定することができます。




この座席には一見すると「インアームテーブル」があるように見えるのですが、実は装備されていません。
テーブルは壁に設置された半月形の小さなものだけ。妙にドッシリしているのは、「ゴミ箱」が収納されているからです。
さて、窓側席の人はこのテーブルが使えますが、2人掛け席の通路側の人はどうしたらいいのでしょう・・・?
向かい合わせにして4人ボックス席の状態にした場合は・・・?
最初から「リゾート踊り子」に投入されるのは予定されていたことでしょうから、このテーブルの件はいただけません。
実際、グループ客がお弁当を広げたはいいけど「あれ?テーブルがない?」と、困惑している光景を何度か見かけました。


ほかの「リゾート21」のロイヤルボックスの演出は「夜景」や「星空」「宇宙」をテーマとしていましたが、
この「アルファリゾート21」のスターダストルーフはガラリと変わって「海底散歩」に。
魚の群れが泳ぎ、小鳥がさえずり、海面の向こうの空に虹がかかる・・・・かなりゴッテリした内容らしいです。

伊豆急行によると、天井の「海底散歩」演出は、JR線内のトンネルでは行われず、伊豆急行線内の4ヶ所のトンネル内
(富戸−城ケ崎海岸間、伊豆高原−伊豆大川間、片瀬白田−伊豆稲取間、河津−稲梓間)で行われているそうです。
「ロイヤルボックス」は伊豆急行線を終点まで乗り通してこそ、ホントウの価値がある空間といえますね。

ちなみに、現在、この「ロイヤルボックス」は「リゾート踊り子」にのみ連結され、
伊豆急行線内の普通列車で走るときは、わざわざ編成から抜かれて、車両基地で暇をもてあます状況となっています。
お金のかかったせっかくの豪華車両なのに・・・勿体無いです。







普通車


「アルファ〜」では他の「リゾート21」に比べて、4人ボックス席の比率を高めて着席定員を増やしています。
(従来の「リゾート21」が総定員382人だったのに対し、「アルファ〜」では416人に)
山側は全て4人掛けボックス、海側は2・3・7号車だけが窓のほうを向いたサロンタイプのシート、
その他の号車は海側も4人ボックス席になり、「リゾート21」らしい特異な雰囲気の車両が減ってしまったのは残念・・・

しかし、さすがは「進化形リゾート21」な車両だけあって、様々な新しい趣向が凝らされています。
まず山側は展望席を除いてすべて、15センチの嵩上げが図られた「セミハイデッキ仕様」に。
これで、山側の席でも海側の雄大な車窓が楽しめるようになりました。

さらに中間車のボックス席は、海側・山側とも窓側側の席が通路側の席よりも若干引っ込んでいて、
隣り合う双方の席が、前後にずれた状態で設置されています。
これにより、通路側の席の人が窓のほうを向いた時、窓側席の人があまり視界に入らないようになっています。
通路側席が背中合わせになる部分にできる「空洞」は、しっかり「荷物置き場」として機能しています。
(中間車海側車端部及び、先頭車のボックス席はノーマルな席配置で、窓/通路の配置差を出していません)

海のほうを向いた席は、2号車が独立タイプ、3号車と7号車が2人掛けロマンスシートタイプになっています。
7号車には車椅子対応席があり、この席は海側を向いた席があてがわれています。

ちなみに、「アルファ〜」では山側窓の大型化が図られ、開閉式から固定式になっています。





天井周りの独特さも「リゾート21」シリーズならでは。
今までのリゾート21では、照明がスポットライトと蛍光灯でしたが、「アルファ〜」では丸天井に間接照明を採用。
荷物棚は山側席の頭上にだけ設置されており、海側席では天井の高さが一段と際立つようです。

海側の窓上には、「伊豆」「海」をモチーフにしたイラストパターン照明があり、「遊び空間」が強調されています。

「アルファリゾート21」は全車禁煙になっており、先頭車を除く車両全てに「喫煙室」が設けられています。
客室空間から独立したガラス張りの「個室」となっており、ブース内には簡単なカウンターと灰皿。
この「喫煙室」は客室側から入るようになっているのですが、せっかくの設備なのにここが致命傷!
人が出入りする度にブース内の煙とタバコの臭いが客室に流れ出してしまい、分煙させている意味が全くありません。
全てデッキに面した場所に設置されているので、可能であればデッキ側から出入りするように改造して欲しいです。






そして、「リゾート21」といえばやっぱり「展望席」!!ですね。
巨大な正面窓からの眺めと、シアター状に展開する席配置は「リゾート21」ファミリーの流れを汲んでいます。

伊豆急下田方の展望席は青系のモケット、東京方の展望席はピンク系のモケットで雰囲気を異にしています。
座席背面には大きめのテーブルとカップホルダーが付き、従来のリゾート21の展望席よりもユーティリティがアップ。








サニタリー


サニタリーコーナーは3号車・5号車(ロイヤルボックス)・7号車の3ヶ所のみに設置されています。
3号車は和式個室と男性用個室、7号車は洋式個室と男性用個室。

洗面台は各個室内にビルトインされた小型のものをデフォルトとしていて、独立した大型洗面台は設けられていません。
また、7号車には車椅子対応席がありますが、個室内には手すりこそ付いているものの、格段大型化されてはいません。


5号車「ロイヤルボックス」には、専用のサニタリーコーナーが設けられています。
個室の扉を開けると・・・・目の前に大型洗面台。そして右手に洋式トイレ、左手に男性用トイレ・・・!!
そう、つまり「洋式」と「男性用」を1つの空間に入れてしまった、前代未聞の空間構成となっています。







デッキ


客室内の華やかさとは一転、デッキはシンプルで飾り気の無い空間になっています。
乗降ドアはかなり大きく、大きなバッグやお土産をいっぱい抱えていてもラクラク乗り降りができます。
ちなみに「行先方向幕」が装備されていないので、「リゾート踊り子」運転時にはドアにサイドボードが差し込まれます。







コックピット


運転席の形状は従来の「リゾート21」から一変、ラウンドタイプ形状のすっきりとおおらかな感じになりました。
運転席と展望席は上下式の簡単なパーテーションで仕切られているだけなので、運転士さんから伝わってくるライプ感満点!!

巨大な窓からの眺めは、JRの「スーパービュー踊り子」の半端な展望席とは比べ物にならないほどのダイナミックさです。
ちなみに運転席のシートには、あのレカロ社の高級スポーツカータイプシートを奢っています。
実は一番いいシートに座っているのは、お客さんじゃなくて運転士さんかも・・・?!






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