東北本線の特急「はつかり」には長らく485系電車が使われてきましたが、20年を超える活躍をしてきた車両も多く、 老朽化と車両の古さによるイメージダウンを改善するために、2000年3月からE751系新型特急車両を投入。 愛称も、速さと新しさをアピールするべく「スーパーはつかり」と名付けられました。 車両は見てのとおり、E653系「フレッシュひたち」がベースとなっています。 ハード面では、豪雪地域に対応した前照灯デザインの変更、耐寒耐雪機能の強化などが行われていますが、 ソフト面の客室設備では、E3系新幹線やE653系特急のものを流用して製造コストを抑えています。 2002年12月の東北新幹線八戸開業以後は、八戸と青森・弘前を結ぶ特急「つがる」に愛称を変更。 青函トンネル対応の保安装置は今もって準備段階のままで、北海道アクセスの特急「白鳥」へは投入されていません。 2010年12月の東北新幹線新青森開業後は、4両編成化され、青森〜新青森〜秋田間を結ぶ特急「つがる」号で運転中です。 |
グリーン車は6号車(青森方先頭車)に半室構造で設置されています。 2+2の4アブレストを4列、合計16席のミニマムな空間となっています。 シートピッチは1,160mmのグリーン席標準ピッチ。壁面と向き合う席の壁とのシートピッチは950mmとなっています。 座席は、E3系新幹線「こまち」のグリーン席をベースにしたデザインのもので、ほぼ「流用」といった仕様。 若干背面の高さがE751系では低くなっているのと、インアーム収納テーブルを装備していないなどの違いがあります。 床面のストライプ模様なども「こまち」グリーン車とよく似た印象。 こちらは木目柄が明るい色調なのと、照明が白熱灯色でウォーミィな雰囲気となっています。 座席表面のパープルを基調とした複雑な模様は、「霞桜」とイメージした模様で上品な雰囲気を醸し出しています。 窓のブラインドも同じようなカスリ模様が入れられています。 テーブルは背面収納のみを装備。足元にはフットレスト。ヘッド部分のピローは上下に動かすことができます。 客室と運転席仕切り壁の間にはわずかな空間があり、滑り止めが付いたバーが横通しで設置されています。 具体的な案内は何もありませんが、冬季の乗車時にコート掛けとして使うためのものでしょうか。(ハンガー等はない) グリーン席を使ってみての感想は、E3系グリーン席とほぼ同じような感じでした。 全体的にフカッとした柔らかさがあり、背面のクッションも体全体を包み込んでくれるような感覚があります。 やや大振りに見えるピローも、座席を大きめに倒すと頭を柔らかく受け止めてくれます。 (逆にあまり座席を倒さない体勢だと、ピローが大袈裟すぎる出っ張りに感じてちょっと不快。) 私は細身のほうなのでこの座席へのフィット感はかなり良かったですが、大柄な体型の方には窮屈かもしれません。 ちょっと見た感じでは、座席背面サイズが肩幅いっぱいになってしまい、腕を広げた姿勢が取れないように見えました。 肩を意識的に狭めているようで、そこへきてアームレストが細いものだから、 全身を座席に「もたれる」というより「押し込めている」という感じです。 土日の「つがる」グリーン車は乗車率が結構いいようで、乗車時には、途中駅までお隣の席にはお客さんが座っていました。 (他の「つがる」もけっこうお客が乗っている列車を何度も見かけました) この細いセンター仕切りだとお隣さんとの距離が近くて、あまりいい気分ではありませんね。 |
普通席は、まんまE653系「フレッシュひたち」の流用となっています。 ヘタすると、E653系とE751系の写真を並べて「間違い探し」とかできるかもしれません(笑) シートピッチは910mm。同名を名乗る485系特急より広くすることは躊躇われたのか、それとも定員の確保を狙ったのか。 おそらく後者が一番の理由ではなかろうかと思われますが、東北まで観光に来てこの狭さは正直ちょっとガッカリ。 E653系譲りの、曲線を活かした視覚的な狭さを払拭した座席となっていますが・・・。 リクライニング機構は背面リクライニングと座面スライドの2ウェイ機構(■)を備えています。 座席表面の複雑なストライプ模様は、「湖面の輝き」をイメージしたものだそうです。 センターアームレスト(■)は持ち上げて座席間に収納が可能。 窓間にはフック(■)があり、小さなカバンや袋が掛けられます。 車椅子対応席は6号車に2席。この6号車はグリーン席との合造なので6列しかなく(■)、ちょっとした個室感覚の空間。 各車両デッキ仕切り壁の鴨居部分には電光表示装置が組み込まれ、列車名や停車駅案内などがスクロール表示されます。 またデッキ仕切り壁には緊急時の通話式非常通報装置が設置されていて、大きく「SOS」で表示されています。 厳寒の地を走る列車において、暖房装置についてはかなりチカラを入れているようで、座席下に吊り下げ式の暖房機器を、 妻面にも壁掛けヒーターが取り付けられていて、デッキ・トイレにも強力な暖房機器やヒーターが取り付けられています。 E751系は基本的に以下の「つがる」に投入されています。(検査などによる485系代走の場合もあり:2010年7月現在) 下り列車・・・7号・13号・17号・23号・29号・33号・43号 (33号のみ青森行き・他は全て弘前行き) 上り列車・・・2号・8号・12号・16号・22号・28号・98号 (全列車八戸行き) |
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サニタリーコーナーは2号車・4号車・6号車に設置。いずれも洗面台・洋式トイレ・男性用トイレで構成されています。 こちらもE653系「フレッシュひたち」と同じデザイン・レイアウトとなっています。 6号車は車椅子対応席があるため、洋式トイレは車椅子対応の大型個室となっていて、ベビーベッドも装備しています。 また、多目的室も6号車にあり、急病時や授乳時、着替えをしたい時などに車掌さんに申し出れば利用できます。 5号車には電話コーナーと自動販売機がありますが、自動販売機は使用停止で稼働していません。 デッキ仕切りドアは全てタッチセンサー式による自動ドア。これは、特に冬季の暖房効果を高めるためと思われますが、 無用な開閉がない分、デッキ寄り席の乗客には落ち着いて過ごせるのでこの点でも効果的な構造です。 |