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JR東日本発足後、一早く新型車両651系が投入された常磐線特急。 1989年に651系で「スーパーひたち」7往復が運転を開始し、翌1990年には15往復にまで倍増。 その後は、上野毎時00分発が651系「スーパーひたち」、毎時30分発が485系「ひたち」での運転が続いていました。 「ひたち」用の485系も車内のアコモデーション改善や外装の塗装変更などが行われてはいましたが、耐久年数には抗えず。 そこで、JR東日本は485系「ひたち」の置き換え用に新設計の新型特急車両の開発に着手します。 この新型車両は、常磐線向け特化型ではなく、東日本各地に残る485系・183系といった国鉄型車両の置き換え用として、 どこにでも汎用特急として投入できる「新しいスタンダードタイプ車両」として開発されました。 そのコンセプトで生まれたのがE653系特急電車。 電源周波数50/60Hzのどちらにも対応可能なスペックを持ち、東日本エリアから北陸本線への入線が可能な設計となっています。 これは、JR発足後に登場した新型車両では唯一のもので、JR東日本が「次世代の485系」として開発したことがうかがえます。 その後は、E653系をベースにしてE751系「スーパーはつかり」、E257系「ニューあずさ」などが登場。 JR東日本エリア内に残っていた国鉄型特急車485系・489系・183系・189系は、このE653系の兄弟車によって次々と駆逐されていきます。 E653系では、外観塗装を編成ごとに「紅梅」「青」「黄」「緑」「朱」の5色を採用し、カラフルな特急として話題となりました。 (ちなみに開発過程では「濃紺(筑波山と蛙)」「赤紫(五浦六角堂と梅)」も予定されていましたが、この2色は最終的に採用されませんでした) これらは常磐線沿線の観光資源をモチーフにしていて、先頭車にはそれらをシンボライズしたマークも貼られています。 「乗るたびに違う色の特急に出会え、フレッシュな気分になれる」というコンセプトから、愛称は「フレッシュひたち」に決定。 1997年10月の登場以来、主に短距離・多停車タイプの列車で運行されてきましたが、15年目の2012年には後進の新型車両E657系が登場。 2013年3月をもってE653系は常磐線での運用を終了。 一部編成が多客期の波動用として勝田車両センターに残りましたが、ほとんどの編成は郡山工場で耐寒耐雪強化の改造工事に入ります。 改造工事が終了した編成は次々と新潟車両センターへと向かい、今度は特急「いなほ」で残っていた485系を置き換え。 まさに16年前と同じ光景が、今度は新潟でも繰り広げられることとなりました。 1998年:グッドデザイン賞受賞 エクステリア・インテリアデザイン:GK Design Group, Inc. (撮影時期:2002年・2003年・2005年〜2007年・2010年) |
Sophisticated Simplicity = 洗練されたシンプルさ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

普通車/ORDINARY CAR (ECONOMY CLASS)

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E653系はグリーン車の設定がありません。全車が普通車の設定、オールモノクラスです。 これは置き換え先の485系「ひたち」にグリーン車が設定されていなかったこと、上野−水戸・勝田間の所要時間が約1時間10分と短いこと、 そして、常磐線特急は特に朝夕の混雑が激しいため、少しでも着席定員を増やすためにグリーン席の設定が見送られました。 座席背面は曲線処理を多用して、651系の普通車座席に比べるとかなりの進化を感じるシートデザイン。 特にシート背面の曲面仕上げは、実際に座ってみるとシートピッチ910mmの狭さを感じさせない優れもの。 座席は片持ち支持式で、窓側は壁に取り付けられた金具によって支えられているため、窓側席は足元に座席の支柱が無く、足を伸ばすことができます。 一方通路側席は、ちょうど足を伸ばした先にかなり太い支柱が干渉するため、あまり広さを感じられない残念な結果となっています。 ともあれ、485系と同じシートピッチ910mmを、デザインによってここまで印象を変えたのはすごいことだと思います。 座席は背面のリクライニングに加え、400系新幹線の増備車で試験採用された「座面スライド機構」が付きました。 この座面スライド式の座席は、E653系で採用後にしっかりJR東日本の特急座席のスタンダードになり、E259系が登場するまで新型特急に採用され続けることに。 座席背面には収納テーブルと、その下にはマガジンラック用にゴムバンドが付いています。 このゴムバンドですが、走り始めて1〜2年ほどで早くも伸び切ってしまい、マガジンラックとしての体を成していない状態が続出。 さすがに乗客から苦情が出たのか、検査入場から戻ってきた編成から網ポケット式に変わっていました。 撮りためた画像を見比べると、2004年の画像にゴムバンドタイプと網ポケットタイプが混在しているので、この頃に交換作業が進められたと思われます。 背もたれのリクライニングとスライド座面のバランスはまずまず。個人個人で自分に一番フィットする角度・位置を微調整して合わせられます。 ただ、座面のクッション材の薄さはどうにも否めません。この薄っぺらい感じは、座面スライド機構が内蔵されているからでしょうか。 最高速130キロで快走している時には、お尻にモロに台車の振動が響いてきます。 デッキとの仕切り扉は、全面ガラスを採用。空いている時なら3両先ぐらいまで見渡せます。 さらに、車内の至る所に鏡面材が使われているので、空間に広がりがあるように見えるトリックが隠されているのが特徴。 |

トイレ・洗面室/TOILET・SANITARY SPACE
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サニタリースペースは1・3・4・6号車(14両ではさらに8・10・11・13号車)の仙台方に設置されています。 洗面台・洋式個室・男性用個室で構成されていて、全ての個室内にも手洗い用の洗面台があります。 4号車(14両編成の11号車)は車椅子対応個室となっていて、収納式のベビーベッドが設置されています。 |

乗降口・デッキ設備・多目的室・運転席/ENTRANCE・DECK SPACE・MULTI SPACE・COCKPIT
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デッキ壁面は木目調。意外にも「フレッシュひたち」の中で、一番のみどころでは…? 乗降ドアの上の間接照明が照らし出す木目調の壁とゆるやかな曲面の雰囲気は、JR九州の最新特急車にも匹敵する美しさです。 5号車には電話コーナー。その対面には飲料の自販機がありましたが、現在は販売停止状態になっています。 4号車には多目的室。着替えや赤ちゃんの授乳時などに車掌さんに申し出れば使うことができます。 コックピットはワンハンドルマスコンスタイルを採用。 流線型を描く先頭部の最も高い部分に位置するので、特に天井方向への余裕は少ないです。 E653系はパンタグラフの取り付け位置を低く設定していないので、トンネル断面で制限を受ける中央線への乗り入れはできません。 |







