651系投入後も常磐特急に残っていた国鉄型485系特急電車の置換え用として登場したのが、新設計の新型特急E653系。 それまでJR東日本では、投入エリアごとに特色ある外観と内装を備えた「地域特化型」の特急車輌を生み出してきましたが、 このE653系は、各地に残る国鉄型特急車の今後の置換え用として、どこにでも汎用投入できる特急車のスタンダードとして開発されました。 その後は、このE653系をベースにして「E751系スーパーはつかり」「E257系あずさ」などが登場し、国鉄型車両を駆逐していきました。 E653系では、外観塗装を編成ごとに「紅梅」「青」「黄」「緑」「朱」の5色を採用し、カラフルな特急として話題となりました。 これらは常磐線沿線の観光資源をモチーフにしていて、先頭車にはそれらをシンボライズしたマークも貼られています。 「乗るたびに違う色の特急に出会え、フレッシュな気分になれる」というコンセプトから、愛称は「フレッシュひたち」に決定。 1997年10月の登場以来、主に短距離・多停車タイプの列車で運行されてきましたが、15年目の2012年には後進の新型E657系が登場。 2012年10月までは常磐線特急として活躍する予定で、その後は羽越特急「いなほ」系統への転属移動が予定されています。 |
Sophisticated Simplicity = 洗練されたシンプルさ |
E653系はグリーン車の設定がありません。全車が普通車の設定、オールモノクラスです。 座席背面は曲線処理を多用して、651系に比べると進化を感じるシートデザイン。 特にシート背面の曲面仕上げは、実際に座ってみるとシートピッチ910mmの狭さを感じさせない優れもの。 しかし、足を伸ばすと座席下の台座脚が見事に干渉してしまうのは残念。 せっかく視覚的に狭さを払拭させても、足元で狭さを実感させてしまう結果となってしまっています。 座席は背面のリクライニングに加え、400系新幹線の増備車で試験採用された「座面スライド機構」が付きました。 (この座席、この車両の後にしっかりJR東日本の特急座席のスタンダードになりましたね。) バックレストとスライド座面のバランスはまずまず。ただ、クッション材の薄さはどうにも否めません。 最高速130キロで快走している時には、お尻にモロに台車の振動が響いてきます。 さらにと欲を出すなら、ランバー部分の詰め物をそんなにケチらないでほしかったかも・・・。 デッキとの仕切り扉は、全面ガラスを採用。空いている時なら3両先ぐらいまで見渡せます。 さらに、車内の至る所に鏡面材が使われているので、空間に広がりがあるように見えるトリックが隠されているのが特徴。 |
サニタリースペースは1・3・4・6号車(14両ではさらに8・10・11・13号車)の仙台方に設置されています。 洗面台・洋式個室・男性用個室で構成されていて、全ての個室内にも手洗い用の洗面台があります。 4号車(14両編成の11号車)は車椅子対応個室となっていて、収納式のベビーベッドが設置されています。 |
デッキ壁面は木目調。意外にも「フレッシュひたち」の中で、一番のみどころでは…? 乗降ドアの上の間接照明が照らし出す木目調の壁とゆるやかな曲面の雰囲気は、JR九州の最新特急車にも匹敵する美しさです。 5号車には電話コーナー。その対面には飲料の自販機がありましたが、現在は販売停止状態になっています。 4号車には多目的室。着替えや赤ちゃんの授乳時などに車掌さんに申し出れば使うことができます。 コックピットはワンハンドルマスコンスタイルを採用。 流線型を描く先頭部の最も高い部分に位置するので、特に天井方向への余裕は少ないです。 E653系はパンタグラフの取り付け位置を低く設定していないので、トンネル断面で制限を受ける中央線への乗り入れはできません。 |