【エアー北海道】ADK338便 奥尻空港 15:50 → 函館空港 16:25

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折り返しの便ですぐに「函館空港」へと戻るので、到着口を出てすぐに出発カウンターへ。

ホントなら夕方頃まで奥尻の街歩きなんかをしたかったのですが、なにしろ折り返しの338便が 「函館」へ戻る最終便なので、残念ながら奥尻島の滞在時間が20分という超・短時間になってしまいました。

ここでもチェックイン時に手荷物の重さと体重を訊かれ、今度は前方の「2A」席にアサインされました。


搭乗券と一緒に、「引退の記念絵はがきです。」とポストカードとステッカーのセットが貰えました。

「中のシールが2種類あって選べるんですが、どっちがいいですか?」と見せてくれたのは、 「日本近距離航空」時代のオレンジ色のツインオッターと、現在のトリトンブルーのツインオッター。  「どっちがいいかなぁ〜?」とちょっと迷って、トリトンブルーのほうを貰ってきました。

カウンターの方のお話では、お名残搭乗に来たファンには「日本近距離航空」時代のステッカーのほうが 人気があるそうです。


小さな空港ですが、セキュリティチェックはしっかりしています。 金属探知機のゲートをくぐって、手荷物もしっかり中まで検査。

搭乗ゲート手前のロビーはこじんまりしていて、離島空港の雰囲気たっぷり。 畳敷きのお座敷にテレビが置いてある光景は、ド田舎の温泉センターの休憩室みたいです(笑)

ゲート手前に掲げられたデパーチャーズボードは・・・なぜか1便前の「334便」の出発時刻になってました。


定刻出発の予定で再び「ツインオッター」に乗り込みますが・・・ なんと今度は「函館空港上空の天候が不安定のため、着陸できない場合は代替空港へ向かうことがあります」 という案内。

奥尻線の「ツインオッター」、「函館」に着陸できない場合のダイバートは「新千歳」か「札幌丘珠」となり、 一挙に「函館」から遠ざかります。  搭乗客の皆さん「そんなのは慣れっこ」といわんばかりに、 ザワつく様子もなくおしゃべりしたり笑い話を続けてました。
さすが「ツインオッター」とともに生きてきた島民の皆さんなだけはあります。


何はともあれ、北海道本土へ向けて奥尻空港を離陸。

島を横切るように旋回していきますが、眼下に見える島の建物がみんな真新しいことに気が付きます。 そう、あの巨大津波で壊滅してしまった奥尻島の復興の証であるのがこの「真新しさ」。

1993年夏に起きた大地震と津波からの復興を、島の人々とともに歩んできたのもこの「ツインオッター」。


厚い雲を突き抜けて、上空へ出ると・・・夕日でオレンジ色に染まる晴れ空が広がっていました。

真っ白な一面の雲に自身の影を落としながら「ツインオッター」。時に大きくそびえ立つような柱のような 雲へもひるむことなく真っ直ぐに突き進んで飛んでいきます。

行きよりも安定した飛行が続き、「これなら丘珠や新千歳にダイバートせず、函館に着けそうだな」。


・・・が!! あとちょっとで「函館」というところで悪天候が「ツインオッター」に襲い掛かります。

コックピットから「予定通り函館空港へ着陸しますが、この先大変な揺れが予想されます」と放送が流れて、 「函館に着けてちょっと一安心」と思ったのもつかの間。  ガタガタガタ・・・と小刻みに機体が揺れ始め、「ズトーン!」と機体が一気に落ちるような、 まるでエアポケットに入ったかのような状態が繰り返し続きます。

もう何度も旅客機に乗ってきましたが、この時ほど「手に汗握る」恐ろしさを感じたフライトは初めてでした。
しかも連続する乱高下で「うぇ〜気持ち悪い〜」。あとちょっとで「ゲロ袋デビュー」しちゃうとこでしたよ。

眼下に見えてきた「函館山」。この時点でも強風に煽られながらフラフラ〜と不安定な状態です。


津軽海峡上空を大きく旋回して函館空港へ着陸。
天候が荒れていたのは空港の上空だけで、地上は意外にも穏やかでした。

プロペラの回転を緩めながら、ゴロゴロゴロ・・・とエプロン上を自走していく「ツインオッター」。  行きに乗り込んだオープンスポットへ向かうと、HAC−北海道エアシステムのサーブ340がお出迎え。

この3月の「ツインオッター」退役と同時に函館−奥尻線のオペレーションはADKからHACへと交代。 4月からは「新生・奥尻線」が誕生します。


搭乗客の降機が済むと、荷物の搬出と同時にトーイングカーの牽引準備が始まります。

この日の「ツインオッター」はこれで全てのお仕事を完了。ハンガーへと戻って、また明日からの 飛行に備えて整備へと入ります。

名残惜しい気持ちでいっぱいでしたが、オープンスポットから空港ターミナルへの移動も搭乗客全員で 固まっての団体行動となるので、歩きながら数カットだけ撮って「ツインオッター」とお別れとなりました。






こんな旅客機があることも、彼が毎日北の空を飛んでいることも、「引退間近の機材一覧表」なんてものを見るまでは知りませんでした。

こんなに過酷な天候条件の中を、スタンバイ機材無しのたった1機で挑んできたことへの驚き。 機体と共に「飛んでいる」という実感と一体感。まるで空へシンクロするような不思議な感覚。 愛嬌のある表情に、さらにいとおしさが込み上げてきて・・・でも、もうすぐお別れ。

最初で最後の出会いだったけど、 「ツインオッターじいさん、ホントに長い間おつかれさまでした」





      








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