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ゾロゾロと列を成してオープンスポットへと向かいます。
館内から外に出ると・・・うわぁ、風が強い!冷たい!
エプロン上に積もった雪が風に舞い上がって、シャリシャリと音を立てて降り注ぎます。
西日に照らされて光る粉雪の向こうに、「ツインオッター」じいちゃん!
「YS-11」を初めて見た時も「小さ〜い!」と感じたのですが、それ以上の
小ささです。
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機体には「さよならキャンペーン」のステッカーが貼られていました。
これから向かう「奥尻島」のほか、「礼文島」「利尻島」の写真が含まれていますが、
これらは過去にこの「ツインオッター」が飛んだ島々。
稚内−礼文/利尻線が2003年に運行停止となって以来、
この「奥尻線」が唯一にして最後の「ツインオッター」の活躍の場になってしまいました。
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ドアの内側がステアになっている「ツインオッター」。
階段に搭乗客が足を掛けるたびにユラリユラリとボディが揺れます。
頭を少し、気持ち屈めないと機体に頭をぶつけちゃいそう。
そのくらいに全てがコンパクトな作りです。
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あっという間に全員が機内へと収まり、着席完了。
CAさんが同乗しないので、コックピットから「シートベルトをお締め下さい」と機内放送が流れます。
エンジンはあっという間にフル回転。ギュンギュン回るプロペラで自身のボディもユラユラ揺れて、
エプロンをガタゴトいわせながらランウェイへ。
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「まもなく離陸します」−コックピットからの放送が入ると、一気に加速!
ギュ〜〜ン!とプロペラのうなりが耳をつんざくほどになると、驚くほどすぐにランウェイからテイクオフ。
「え?こんなんでもう飛び立ちゃうの!?」
あっという間に函館空港の敷地が後方へと遠ざかり、「函館競馬場」の上空で江差・松前方向へと旋回してさらに高度を上げていきます。
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機体左側の窓には「函館山」、そして「函館駅」と函館本線がクッキリと見えます。
上空から「函館駅」とその周辺を見ると、「青函連絡船」時代の線形配置がまだしっかりと残されているのが分かりますね。
この風景が見える頃、右側の窓には「五稜郭公園」の星型が手に取るようにはっきりと見えているはず。
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機内は与圧(※)されていないので、“旅客機”とは思えない四角い空間になっています。
ご覧のように人が乗っているのを見ていると、まるで「バス」みたいです。
座席は2+1の3アブレスト。装備されているシートは「座席」というより「ベンチ」といった風情ですが、
見た目よりモケットのクッション材がしっかりしています。
シートポケットにはANAの機内誌「翼の王国」のほか、奥尻島の観光案内パンフレットがセットされています。
(※)与圧・・・高い高度を飛ぶ飛行機の機内に加圧して、機内の気圧を地上の状態に近づけること。
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最高巡航高度に達する頃には、さすがに機体は雲の上。
ジェット旅客機なら「雲海が眼下に・・・」といった感じなのですが、この「ツインオッター」はまるで
雲海をホッピングするように、雲の上面スレスレを飛んでいきます。もうちょっとで雲にこの手が届きそう・・!
松前半島を飛び越えて、奥尻海峡上空へ出る頃、次第に窓の外の雲行きが怪しくなって来ました・・・・
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灰色の雲に包まれる「ツインオッター」。機体にはガン!ゴン!ゴドン!と氷塊が次々と襲いかかり、
揺らぐ主翼につられてボディも右へ左へとフラリフラリ。
とにかく氷塊がボディにぶつかる音が物凄く、「窓が割れるんじゃないか?」「プロペラに異常をきたすんじゃないか?」と
不安になります。そこへコックピットからすかさず機内放送。
「航行にはなんら問題ありませんのでご安心下さい」
着陸態勢に入った放送が流れると、もうそこは奥尻島。青苗の港をかすめて空港へと一気に下降していきます。
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あられのような粒雪が嵐のように舞う奥尻空港。
函館空港での「天候調査中」を一目で納得です。
風こそ吹いていたものの、太陽が眩しく照っていた「函館」がまるでウソのよう。
そんな悪天候の中「ツインオッター」はフラリフラリと揺れながら、ドッコイ着陸。
空港のスポットへ自走する間も、強風に煽られながらトロトロトロ・・・と移動していきます。
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コンパクトな空港スポットには他の飛行機の姿はありません。
それもそのはず、この空港で離発着するのは「ツインオッター」だけ。
現在、この空港には「ツインオッター」しか飛んでこない、まさに「ツインオッター専用空港」のようなものです。
マーシャラーさんの指示でスポットイン。すぐにエンジンが止まり、プロペラの回転も停止。
外側からドアが開かれて、外に出ると「歩くのがやっと」というほどの強風と横殴りの雪!
こんな中をこの老兵が飛んでいたとは・・・!!
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空港ターミナルは立派な建物でした。もっと田舎風ののんびりとした佇まいの建物なのかと思った・・。
乗客が降りた「ツインオッター」からは次々と積荷が下ろされ、カーゴリフトでターミナルへと運び出されてきます。
現在、北海道本土と奥尻島はこの「ツインオッター」と「フェリー」の2WAYで結ばれています。
一度に積めるカーゴの量/大きさは小さい「ツインオッター」。でも函館から1時間以内に届くとあっては、
島民にとってとても重要な生活の生命線です。
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あまりの暴風っぷりに、機体の撮影もそこそこにすぐにターミナルの中へ。
到着ロビーには、小さいながらも「バゲージクレイム」がありました。
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