夜22時30分過ぎの上野駅。 駅の外は明るいネオンがギラギラ、東京の夜はまだこれから!といった活気に満ちていますが、 ここ上野駅地上ホームはご覧のように閑散としています。 この地上ホームは独特な雰囲気が「ヨーロッパの駅のよう」とよく表現されますが、 深夜は特にそんな感じが強いように感じます。 |
|
22時40分過ぎ、いよいよ「北陸」号が入線。 「北陸」号も上野ブルトレ特有の「推進回送」で、客車側に非常用ブレーキを付けて貫通路を開けた姿で、 ゆっくりとホームに入ってきます。 ホームの待合スペースでベンチに座っていた人たちも動き出し、静まりかえっていたホームにわずかな活気が生まれます。 |
|
「北陸」号の先頭を務めるのはEF64型機関車。この機関車が「上野」から、上越国境を越えて途中の「長岡」まで「北陸」号を引っぱります。 EF64型がブルートレインの牽引機を担当するのは、日本でこの「北陸」号が唯一の列車。 先頭部にいっぱいジャンパ栓を備え、側面には巨大なルーバー。物々しい姿がこの機関車のパワフルさを感じさせます。 |
|
深いブルーのボディは「ブルートレイン」たる証。 8両という短い編成ながら、編成の半分の4両が個室車両。しかもその個室は「シングル・デラックス」「ソロ」と 全て1人用個室で、「北陸」号の性格と利用する客層が如実に表れています。 2号車には「SHOWER」と可愛らしい字体でシャワーの絵が描かれています。 「HOKURIKU」と列車名をロゴ化して描くのではなく、わざわざ「SHOWER」と描くのは この列車に乗り込む人に「シャワー設備がありますよ」と 訴えかける“コマーシャル”? |
|
最近乗った寝台列車は(あの「北斗星」でさえも)、ボディの塗装が剥げたり、ひび割れが入っていたりして、 どこかくたびれたものばかりでしたが、この「北陸」号は見回した感じどの車両もよく手入れされていて美しい輝きを放っていました。 特に最後尾のスハネフ14型は、重整備(全検?)を終えてすぐ運用に投入されたのかピカピカで、 文字通り「眩しいくらい」に光っていました。 |
|
「北陸」号は時間ピッタリに「上野」駅を発車。 車窓には東京のギラギラなネオンが、スジとなって後方へと流れ去っていきます。 機関車に「グイ、グイ・・」と引っぱられて加速していくのは客車列車ならでは。 「鶯谷」あたりから「尾久」を通過するあたりまでは一気に加速するも、 あとは流すような走りが続いてスピードはさほど上がりません。 |
|
さて、今晩の「宿」は・・・・A寝台1人用個室「シングルデラックス」。 国鉄時代の1人用A個室と同じスタイルですが、室内の広さはグンとワイドになり、居心地も格段に良くなっています。 室内には収納式の洗面台とビデオサービス用のモニターが備えられています。 |
|
開放式B寝台やB個室「ソロ」では味わえないのが、この天井の高さ! 個室内の頭上はかなりの開放感で、一晩しかも全行程乗っても最大8時間ほどを過ごすには勿体無いほど。 ビジネスユースが多い「北陸」号ですが、古都「金沢」へ向かう旅行者(逆に北陸から東京へ遊びに来て帰る人)の利用率もけっこうあなどれないものがあり、 この「シングルデラックス」も、平日休日問わず全室満室ということもよくあるそうです。 |
|
「シングルデラックス」では、「北陸」のマークが入ったポーチにハブラシやシェーバーなんかがいっぱい詰まった アメニティキットが貰えます。 基本的な内容は「北斗星」号の「ロイヤル」で貰えるキットと 同じですが、シャンプーやタオルなどは入っていないので、「北陸」号でシャワーを使おうという人は自前で容易が必要! さらに上野駅発車後の車内改札では「北陸」のロゴ入り「カードキー」が配布されます。 「北斗星」号の個室と同様のロックシステムで、下車時には持ち帰りOKなので、乗車記念の品になります。 |
|
さて、列車は「大宮」駅に停車。都心側最後のターミナルで、乗客もまとまったの数が乗ってきたようですが、 この「シングルデラックス」に入ってくる人はなく、どうやら今晩のA個室の乗客は私一人のよう。 「大宮」駅を出ると「おやすみ放送」。そして通路の照明が落ちて減灯となります。 東北線と分離して高崎線へと足を踏み入れると、これまでの助走からグンとスピードもアップ。 人影の無い深夜のホームを次々と飛ばして、疾風の如く駆け抜けて行きます。 |