1992年7月の登場から、JR九州の看板特急として活躍してきた787系特急「つばめ」。 博多と西鹿児島間の約4時間を走るにふさわしい、ラグジュアリーな長距離特急として各方面から多くの賞賛を得ました。 2004年3月の九州新幹線一部開業に伴い、福岡と鹿児島を結ぶ都市間特急としての使命を終えることになり、 新たに新八代駅で九州新幹線に接続する特急にその役割を変えるため、車内外がリニューアルされることになりました。 九州新幹線開業後は、「新幹線アクセス特急」として約7年間活躍。 2011年3月、九州新幹線の博多延伸・全線開業で「リレーつばめ」は役割を終え、787系はついに「つばめ」の愛称の座から降りることに。 現在は「AROUND THE KYUSHU」のロゴを全身にまとい、「かもめ」「にちりん」「きらめき」など九州各地でその任に就いています。 |
787系の「新幹線アクセス特急化」改造も、リレーつばめ編成を軸にほぼ改装が完了し、 このままで787系は、10年後と言われる「九州新幹線全線開通」の時を迎えると思っていましたが・・・ JR九州の積極的な攻めの態勢に止まるところが無いことを、誰もが思い知らされたのは2005年10月。 787系のグリーン客室には開放室の先に、フロストガラスのドアで仕切られた準個室「トップキャビン」がありました。 元々この区画は、博多−西鹿児島の長距離を「走る会議室」としての利用を見込んでの客室でしたが、 そうした利用の無い時は、閉鎖的な空間に見知らぬ乗客同士が向かい合って長距離を移動する状況となってしまっていました。 さらに新八代までのリレー特急化で、本来の「会議室利用」としての需要も激減。 この優雅な空間は、ただの「販売しにくいハコ席」になってしまいました。 しかし、そうした状況を黙って放っておかないのが、さすがJR九州。 この空間の広さを逆手にとって、巨大傾斜のリクライニング機構を備えた豪華な座席を備えた、 グリーン席のさらに上をいくクラス「デラックス・グリーン席」を発表。 空間内は、ご覧のように今までの「グリーン席」以上の高級感が漂っています。 座席は「151系こだま号・パーラーカー」を思わせる市松模様のモケット。おそらくそれを意識したものでしょう。 最大の特徴はなんと言ってもリクライニング量。なんと144度まで倒れ、鉄道車両の座席としてはおそらく最大。 今までの787系グリーン席でもけっこう深く倒れると感じ、その角度が125度ですから、もはや「寝る」体勢です。 リクライニングとレッグレストは電動式で、手元のボタンで操作します。 このボタンは押しやすいのですが、同じ丸ボタンがいくつも並んでいるのがちょっと難に感じました。 リクライニングを戻そうとして、レッグレストを動かしてしまったり・・・・操作に一瞬惑います。 室内にはコート用のハンガー、読書灯、PC用の電源コンセント、靴べら、スリッパを装備。 さらにドリンクサービスにはクッキーとキャンディが付き、使い捨てのスリッパも配布されます。 座席周りにはマガジンポケットがないので、車内販売のメニューや情報誌は備え付けられていません。 窓がUVカットの遮光性の高いものになっているのか、室内は画像で見るよりもかなり薄暗いです。 開放室との仕切り部分には、当初ロゴ入りの白い長暖簾が掛けられていましたが、現在は全て撤去されています。 |
グリーン車客室は座席の配置などの変化はありませんが、モケットの変更と木目調パネルの採用で大きく印象を変えています。 ブラウン系のモケットにはゴールドでプリントされた「つばめ」が無数に飛び、全体的に派手さが増したよう。 座席自体の機構などには手は加えられていなく、ヘッドレストが独立して可動する機構も継続されています。 オーディオサービスは残念ながら、新幹線開業直前の2003年の年末をもって終了となりました。 |
「トップキャビン」では、アルミパネルの壁面がローズウッドの木目調パネルに変えられています。 この壁面の変更が「トップキャビン」の雰囲気を大きく変えていて、グッと渋い雰囲気の“準個室”へと変身しました。 なお「トップキャビン」の区画は、全車輌が「デラックスグリーン」に改装されたため現存しません。 |
「サロンコンパートメント」もリニューアル。 基本的な室内構成は変わっていませんが、壁一面が淡いオレンジ色に着色され、 モケットの全面張替が行われているので、以前とはかなり雰囲気が変わっています。 アルミパネルだったクロークロッカー側の壁面は、ハードメイプルの木目板になりました。 個室ドアも木目のものに交換され、金のつばめの飾りがとてもオシャレ。 アプローチ部分を通ると、この「別空間への入口」がかなり強調されたように感じます。 |
調べ出したらキリが無いほどに、無数のモケット配置を誇った「つばめ」の普通車ですが、 リニューアルによって「ブラウン」「グリーン」「シルバー」に統一がはかられました。 これらのモケットはそれぞれ、新幹線つばめの「古代漆」「緑青」「瑠璃」のモケットに繋がるかのような色調です。 座席自体はリクライニング角度などの機構に変化は無く、モケットとカーペットの張替えだけに留まっているようです。 ただ、後期の増備車にしか見られなかったアームレストの収納テーブルが全席に設置されている模様。 (全編成の確認が出来た訳ではないので、全席設置に至っているかは不明ですが…) 先頭部分の壁面はグリーン車同様、赤い色の強い木目のものに変えられています。 |
4号車「ビュッフェ」の客室化改造で誕生した普通車座席です。 パッと見てすぐ分かるかと思いますが、885系「白いかもめ」「白いソニック」の普通車座席をフューチャーしています。 ただこちら「リレーつばめ」は革製のモケットではなく、通常の布製モケットとなっています。 モケット以外は基本的に885系白い特急の座席と全く同じものとなっています。 ミニショップ側に1人掛けの座席がありますが、これは車椅子対応席では無く、ただ単に通路幅を確保するための1人掛け。 この1人掛けは885系特急のグリーン席と同じ機構となっていて、リクライニングと回転がレバー式になっています。 この空間の最大の特徴は、ビュッフェ時代そのままに天井に残された「スーパーエッグドームルーフ」。 この丸天井の演出で、他の普通車よりも広々した空間となっています。 ただしこの丸天井を残す代償として荷棚が設置されていません。 「荷物は足元にどうぞ…」という意思表示なのか、シートピッチは普通車としては破格の1,200mmが奢られています。 |
透明ガラスのパーテーションで仕切られたボックス席はリニューアル後も存続。 初期車の直線的なパーテーションガラスと後期車のカーブガラスも統一はされていなくて、 引き続き2種類の雰囲気が楽しめます。 リニューアル点は普通車同様、モケットとカーペットの張替えに留まっています。 以前のビュッフェとの間にあった自動ドアは窓が小型でしたが、このリニューアルで全面ガラスに近いドアに交換されています。 |
かつてビュッフェがあった4号車の車両には、小さなカウンターとギャレイを備えた「ミニショップ」が設置されました。 小さなカウンターも設けられていますが、ここでの物品販売が行われるのは稀で、基本的に車内販売の準備室となっています。 2号車デッキの「マルチスペース」はそのまま健在。電話室はリニューアルで「携帯電話室」に生まれ変わりました。 サニタリースペースは、洗面台や小物がプレーンウッドのパーツに交換されています。 トイレ内のアルミパネルも白いパネルに交換されたので、全体的に明るくナチュラルな雰囲気に変わりました。 |