国鉄151系 クロ151パーラーカー 特急「こだま」「つばめ」

  

昭和30年代。電化路線の延伸、開発される新形式の電車群。近代化の路を一気に突き進む「日本国有鉄道」。
東海道本線に特急「こだま」が登場し、展望車を連結した客車特急「つばめ」「はと」にも電車化への胎動が・・。

メインライン「東海道」の1等展望車に代わる車両として登場したのが「クロ151」型・俗称“パーラーカー”。
日本の最優等クラス・最優秀車両を目指したこの車両。
そして昭和35年6月ダイヤ改正・・・伝説の「R-2」シートは、ここに幕を切って落とされた。

ここでは2004年に交通博物館で行われた「JR電車100年記念展」で展示されたパーラーカー座席画像をご紹介します。
当時のままの完全保存品とまではいきませんが、それでもパーラーカー在りし日を偲ぶには充分な鉄道文化財です。








正直「死ぬまでにこの座席の実物を見られることはないだろう」と思ってました。
それが、それがですよ、こんなに目の前に!こんなに眩しく! 「ああ、今日まで頑張って生きてきてよかった」

座席はアクリル板に囲まれていて、手に触ったり実際に座ったりすることは出来ませんが、
パッと見ただけでクッション材の硬化が分かります。なんせもう35年近く前の座席ですから。
この展示されている座席は、実は「完全品」ではありません。
ヘッドレスト部の「マクラ」がなく、掛けられているレースも現役時代のものとは全く異なります。
また、固定式のフットレストも保存用として残されたものは無く、座席単体での公開となっています。

「パーラーカー」の印象をより深いものにしているのが、モケットに採用された「エジプト柄」。
モケット織り込みのほつれなどもなく、また色褪せなどもほとんど見られず、かなり美しい状態です。

リクライニングと座席回転は、左右のそれぞれのレバーにて展開させていたようで、
特に「回転」レバーがこの位置に設定されているというのは、今でも大変珍しいです。

この「パーラーカー」、伝説の最強シートとして語られるだけあって、今なお様々な例として取り上げられます。

<その1:成田エクスプレス>
「クロ253」型の、運転席-個室-デッキ-開放室という車両構成は、まさに「クロ151」型のそれと同じ。
開放室の1+1シート配列も、このパーラーカーをお手本にしたというウワサです。

<その2:ソニック883>
「クロハ882」型は、グリーン車と普通車の合造車。特に普通車側に車椅子席を設けることになっていたので、
デザイナーは車椅子用の大型トイレの配置場所に迷っていました。
結局、車両の中心にデッキを設け、そこに大型トイレを設けるプランを提出したのですが、JR九州の社長は
「一番乗り心地の良い車両中心にトイレをもってくるとは何事か!」と怒ったとか。
最終的にはこのプランどおりに「クロハ882」型はロールアウトしたのですが、「車両の真ん中にトイレ」というのは
このパーラーカーでも採用されていた車内レイアウトであったのでした。







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