JR西日本 485系  特急「雷鳥」




特急「雷鳥」が誕生したのは、1964年(昭和39年)12月のこと。
現在の485系の先輩にあたる481系電車のデビュー列車となったのが、この特急「雷鳥」でした。
その後「雷鳥」は、人気に後押しされるように増発・増結を繰り返し、一気に「北陸本線のスター」の座へと登りつめます。

食堂車が編成から外された後には、お座敷グリーン車「だんらん」が登場。
さらには流線型パノラマ車が連結された速達型特急「スーパー雷鳥」も登場し、「雷鳥」ファミリーは栄華を極めました。

その後、新型特急681系・683系の「サンダーバード」が登場すると、「雷鳥」号は彼らの補佐役へとシフト。
現在は、時を同じくして北陸線を彩った「かがやき」「はくたか」などが遺していったグレードアップ車両を組み込んで、
昔と変わらぬ赤とクリームの国鉄カラーの485系で活躍中です。



グリーン車

「スーパー雷鳥」で登場した「パノラマ・グリーン車」です。
「スーパー雷鳥」廃止後「しらさぎ」へ転用され、「しらさぎ」の完全683系化によって「雷鳥」へと戻ってきた、流浪の車両。


客室内は1+2の3列配置で、座席の背もたれもさほど高くないので、広々とした空間に感じられます。
「スーパー雷鳥」時代には、肘掛にオーディオパネルが装備されていましたが、「しらさぎ」転用時に撤去されました。
シートピッチは1,160mm。床面は、座席部分が通路部分より150mm高くなっている「セミハイデッカー構造」となっています。
シートモケットは、「サンダーバード」のグリーン席に似たベロア調のもの。

座席はヘッド部分が大きく抜き取られたような独特な形状をしていますが、後方席からの前展望を考慮されてのデザイン。
前展望(後展望)が楽しめる最前列席は1A・1B・1C席で、1C席が1人掛け席となります。
ちなみに3番列くらいまでは、頭をちょっと通路側に出すだけで、けっこう良好な前展望が楽しめます。
一見なんともバランスの悪そうなデザインですが、この独特な形状のシートも「いい仕事してます」。

パノラマグリーン車は6両が存在していますが、うち「A06」編成のクロ481-2101は、普通車サハ481-100から改造された車両。
そのため、シートピッチと窓割りが合っておらず、眺望に難のある席がいくつか発生しています。




「雷鳥」では「パノラマ・グリーン車」と、この「非パノラマ・グリーン車」が活躍しています。
「非パノラマ車」は、かつての特急「かがやき」「きらめき」で登場したグレードアップグリーン車。
「かがやき」「きらめき」廃止後、「はくたか」「加越」で活躍していましたが、両特急の新型特急化によって「雷鳥」へ転用。
こちらも「パノラマ車」同様に、様々な道を歩んできた流浪の車両です。

客室内は、1+2の3列配置。パノラマ車ではC席が海側となりますが、この車両ではA席が海側となります。
(なお、1人掛け席はパノラマ車・非パノラマ車ともC席。C席を買えば車両が違っても1人掛け席を確保できます。)
シートは展望を考慮する必要が無いのでハイバックシートとなっていて、空間全体に重厚さが感じられます。
床面は、客室入り口がスロープ形状となっていて、客室全体の床面がフラットなまま、70mmセミハイデッキ化されています。
こちらの座席も「かがやき」「きらめき」時代にあったオーディオパネルは、現在は撤去されています。

シートピッチは、パノラマ車よりちょっと広い1,180mm。(クロ480-2301のみ従来どおりの1,160mm)
このグリーン車は普通車から改造のされたため、やはり席配置と窓割りが合っておらず、一部席で眺望に難があります。
4両あるグリーン車のうち、クロ480-2301は改造元がグリーン車なので、座席と窓割りが合っています。








普通車

パノラマグリーン車の連結されている編成の2〜4号車(指定席車)に連結されているグレードアップ車両です。
元は「スーパー雷鳥」で活躍していた車両で、その後「しらさぎ」専用編成になった時に現在のブルー地のモケットになりました。

客室内は座席部分の床面が70mm嵩上げされたセミハイデッキ仕様となっています。
シートはフリーストップリクライニングのR55C型シートに換装。
1タイプのシートのようですが、リクライニング角度が20度ほどの座席と、40度以上倒れる座席が混在しているようです。
シートピッチは1,010mmで、新幹線の普通車ピッチに迫ろうという広さ。485系の中ではクラス最大の数値です。
しかし、シートピッチ拡大に伴う弊害として、一部の席では窓割りが全く合っていないのが残念。

デッキ仕切り壁に電光表示板が取り付けられた車両がありますが、現在は使われていないようです。





こちらは、先頭に非貫通タイプのグリーン車が連結されている編成の2〜4号車(指定席車)の車両です。
大元を辿ると、「かがやき」「きらめき」号として活躍していた車両で、“グレードアップ485系”の先駆けともいえる車両です。

パノラマ編成同様に客室内のグレードアップが行われていて、床面の70mm嵩上げ、R55Cシートへの換装が行われています。
シートピッチも1,010mmの広々ワイドピッチ。リクライニング角度もかなり深々と倒れ、ゆったりとしています。
壁面に取り付けられている電光表示板は、やはり非稼動。

なお、パノラマ編成・非パノラマ編成ともに、一部編成の4号車にグリーン車から改造された車両が連結されています。
客室内の雰囲気や座席は、他のグレードアップ車両と変わらないのですが、窓がグリーン車時代の小窓のままなので、
窓割りと座席位置が合っている席が全体の1/3ほどしかないという客室環境になっています。





こちらは5〜9号車の指定席・自由席車の車両で、フリーストップリクライニングシート(R55C)へ換装された車両です。
パノラマグリーン車が金沢(金サワ)から京都(京キト)へ転入する以前から、京都に所属していた車両です。
「かがやき」「スーパー雷鳥」といったグレードアップ編成へ組み込まれたことの無い車両たちなので、
客室の床はフラット、シートピッチも910mmと以前からのまま。「アコモ改善485系」の基本的な姿です。
シートピッチが従来からのままなので、グレードアップ編成のような“窓無し席”はありません。

改装時期の違いによって、通路床面のカラーリングが異なる車両が混在しています。





5〜9号車に連結される車両には、上記のタイプのR55Cシートを装備した車両のほか、
R51シートをフリーストップリクライリング化したシートを搭載した車両が連結されている編成がかなりあります。

金沢区の489系と同タイプの座席で、その形態にどこか古めかしさも漂います。
(中には489系のユニットそのものを組み込んでいる編成もあったりする)
以前は様々なカラーリングのモケットがあったようですが、現在はこの茶色のモケットに統一されています。







サニタリー

グリーン車のトイレは洋式、洗面台も大型化されていますが、普通車のほうは基本的に昔からのまま。
しかし、細かなところまで目をやると、改造年次やその時の所属車両区によって、改造形態が大きく異なっています。







デッキ

デッキは、一部に電話が取り付けられたものがあるものの大きな改造がなされるまでには至らず、雰囲気は昔からのまま。
2号車(一部編成は4号車)にはソフトドリンクの自動販売機が設置されています。







コックピット
 パノラマグリーン車のコックピットです。大きな窓と広い空間で開放感たっぷり。
 運転台はレトロな雰囲気漂う、メカニカルなものです。







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