JR西日本 489系 旧「白山」編成  急行「能登」・臨時特急「はくたか」



東京と北陸の古都・金沢の間を古くから結んできた特急「白山」。
1988年の年末から、イメージアップとリフレッシュを兼ねて塗装変更が施され、
「白山」に投入される489系は順次ピンクとブルーのカラーリングに生まれ変わっていきました。
そしてこの「白山」編成と呼ばれた専用489系の存在を決定付ける特別な車輌が1989年初頭に登場します。
それこそが、今でも話題に上る「ラウンジ&コンビニエンスカー」。

EF63と共に手と手を取り合い、難所「碓氷峠」を越えた日々は遠くになりにけり。
現在は再び国鉄色を纏い、夜行急行「能登」そして臨時特急「はくたか」で、東京と金沢を結ぶ役を頑なに守っています。



グリーン車

国鉄型特急電車のグリーン車座席を代表する「R27系列シート」が小改造でこんなにも堂々と並んでいます。
基本的な仕様は原型を留めたままで、そこに座面クッションのバケット化、バックレストに若干厚めに手を加え、
モケットの交換と化粧板や荷物棚縁部分の一部張替えなどで「リフレッシュ化工事」としています。

JR東日本などがこの手のアコモ改善を施す場合、座席ごと新しい型に交換されるのが常ですが、
JR西日本の場合は、この「白山」編成を「お手軽工事」で終わらせてしまったというわけではなく、
「雷鳥」「白鳥」などに投入される485系でも同様の改修工事を施し、これが一種「標準リフレッシュ」だったようです。

シートピッチももちろん変化無く、国鉄特急グリーン席標準の1,160mm。
アームレスト脇に収納された、テーブルにもならない小物置きも元気に健在です。

カスリガラスに「グリーン車」と文字抜きされた手動ドアを開けると、通路に一直線に敷かれた真紅のカーペット。
ズラズラと並んだ小窓、妙に広々とした天井空間。現代の新型特急には無い「古さ故の重厚感」が漂います。







普通車

特急「白山」の頃、僚友の特急「あさま」よりも先行して車内アコモのリフレッシュ化が行われたので、
「白山」は同じ路線・重複区間を走る「あさま」よりもちょっとした豪華さを感じたものです。
しかし「グレードアップあさま」が登場すると、「白山」編成が逆に古めかしいものに感じられたりして・・・。

それもそのはず、クッション材の交換が行われてはいますが、基本ベースとなるものはR51系列シート。
かの「簡易リクライニングシート」からの派生改良バージョンなのです。

シートピッチは指定席車・自由席車とも910mmでピッチ差はなし。窓割りでのアタリハズレはありません。
リクライニング機構は最大角度のみでストップ可能。起きるか寝るか、どちらかの選択を迫られます。
背面テーブルにはドリンク用と思われる穴が開いていますが、ペットボトルは入らず、缶ドリンクだとスカスカです。

取材時の編成(クハ489-1を含む編成)は全ての普通車のモケットが、画像のエビ茶色になっていましたが、
アームレストがブルーの座席に青と金色のツートン模様を施したモケットが存在していた(している?)ようです。

長野新幹線の開業と同時に特急「白山」は廃止。現在では夜行急行「能登」での活躍が唯一の定期列車となっています。
その「能登」にシフトされる際に、夜行列車ならではの「照明減灯機能」が施されました。
「能登」号の夜間走行では、ご覧の通りかなりの暗さに照明が落ちるようになっています。



先頭車となる1号車と9号車は、簡リクベースR51改ではなくフリーストップリクライニングシートが装備されています。
このシート、もちろん「485系アコモ改善」の最大派閥でもあるR55系列シートで、R51改とは比べ物にならない居住性。
シートピッチは910mmのままなので、単純に座席の換装でのリフレッシュに留まっています。

ちなみに急行「能登」号では1号車は女性専用指定席車「レディースカー」、かたや9号車は自由席。
残念ながら殿方は、事前指定でこのシートを押さえる事は出来ないカラクリとなっています。
(ちなみにこれらの画像は1号車のものですが、急行「能登」ではなく「ホームライナー鴻巣」にて撮影しています。)







ラウンジ&コンビニエンスカー

時刻表の特急「白山」の欄に書かれた「ラウンジ&コンビニエンスカー連結」の文字。
「食堂車」が新幹線も含めて全廃に向かって突っ走っていた頃、このフリースペースは生まれました。
6号車の直江津方半室にソファーと販売カウンター、自動販売機と商品陳列用のアイスストッカーを設置し、
その名の通り、ラウンジコーナーとコンビニエンスストアをくっ付けたような客室レイアウトになっています。
のちに誕生した「スーパー雷鳥」のラウンジスペースも、この「白山」号がベースとなっています。

「白山」時代は、カレーライスやうなぎ丼、おでんにたこ焼きなどのホットメニューが充実していました。
これらは電子レンジでチンするレトルト品がほとんどでしたが、
隣接のラウンジスペースで車窓を愛でながら食べる暖かい食事は、長旅の気分転換には打ってつけでした。

このラウンジは現在も急行「能登」の6号車に残されていて、フリースペースとして開放されています。
自動販売機がありますが、故障状態が常態化しているようなので飲料は購入の上の乗車をお薦めします。
客室が減灯されている時間帯でもここは煌煌と照明が点いていますが、ラウンジでの宴会騒ぎは禁物です!







サニタリー

サニタリースペースは、1988年〜1989年代に改装された頃のままの姿を保っています。
洗面台のシンクやカランの形状、側窓を埋めて小物置き場にするなど、JR西日本485系と共通の改造が施されています。

1号車のサニタリーコーナーは、夜行急行「能登」に投入される時に大幅な改装が施されていています。
これは1号車を当初から女性専用車輌「レディースカー」にすることが決まっていたことによるもので、
洗面台の設置向きの変更と1区画あたりスペースの大型化、そしてカーテンの取り付けなどが行われています。
トイレも和式から洋式に改造。個室内の小型手洗い台も新しいタイプのものに取り替えられています。







デッキ

4号車グリーン車の上野(金沢)方デッキには、洗面室から改造した電話室が設置されています。
電話サービス地図には、神戸・名古屋から立山・和倉温泉・新潟・軽井沢と広範囲に渡るエリアが記載されていて、
この車輌が幅広い列車に使われてきたことが分かるようです。

1号車デッキには大きなカガミが2枚。もちろん「能登」号のレディースカー対応によるものです。








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