「特急にも、普通電車にも使える電車」−そんな驚くようなコンセプトで開発されたのが、この185系電車。 登場当初は特急「あまぎ」・急行「伊豆」・東海道普通電車と、コンセプト通りに幅広く運用されましたが、 特急としては客室が貧相、普通電車に使うと立ち客で混雑が激しくなるなど・・・すでに開発目的が破綻した状況に。 史上初の「特急、時々、普通」な電車は、どうにも中途半端なままで特急「踊り子」で活躍すること10余年。 1999年から2002年にかけて行われたリニューアルでは、いよいよ「特急車」らしく生まれ変わるために座席を一新。 一世を風靡した緑の斜めストライプのボディも、湘南電車をイメージするブロックパターンになりました。 |
リニューアルに伴い、グリーン車の座席はR27B型シートからバケットタイプの新しい座席に換装されました。 シートピッチは登場当時からの1,160mm。窓が1段上昇式の開閉可能なのもそのままです。 リクライニングはフルで倒すとけっこう深くまでいくので、そのリクライニング量は意外な感じで驚きです。 テーブルはインアーム式のみで、背面収納タイプは装備していません。その座席背面にはバンド式のマガジンポケット。 「伊豆」へ向かうカップルやファミリーの利用を想定してか、座席を仕切るセンターアームレストは省略されています。 フットレストは跳ね上げ式で、足を載せていないとバネで勝手に上に跳ね上がって収納されます。 床面は通路から座席設置面まで、客室一面がカーペット敷きとなっていて、ちょっと豪華な雰囲気が漂います。 デッキ仕切り壁は木目調のデザインが施されていて、扉上部にはちょっとした絵画が飾られています。 せっかくリニューアルされたグリーン客室ですが、ズバ抜けて座り心地がいいとか乗り心地がいいというほどでもなく、 かといってヒドい乗車環境というわけでもなく、同じ路線同じ系特急に「スーパービュー踊り子」という存在があるため、 また普通電車の2階建てグリーン車も併走する中で、どうもこの185系のグリーン車は「中途半端」な感じがしてなりません。 あと数百円を追加すれば「スーパービュー踊り子」のグリーン車に乗れると思うと、料金面でもハンパな感じです。 「スーパービュー」や普通電車の2階建てグリーン車とは一味違った、185系にしかできない・185系でしか味わえない、 そんな何かをプラスしたグリーン車にリニューアルしてくれれば・・・というのが、乗ってみて本音の感想です。 |
かつて、W17型転換シートが並んでいた普通車は、リニューアル車の代表的な座席「R55型シート」へ換装されています。 シートはモスグリーンのモケットを纏ったシンプルで軽快なイメージ。 「湘南電車」をイメージして、このモスグリーンとオレンジのモケットをランダム配置した客室に仕上げても面白かったかも。 R55型シートの中でも、189系G-UPあさまで登場した、センターアームレストの形状に特徴のあるR55H型を装備しています。 シートピッチは従来からの910mm。リニューアル後も窓割りと座席位置の不一致は発生していません。 側窓は登場当時からの開閉可能タイプ。今や窓の開く特急電車も珍しく、「国鉄時代の電車旅」が楽しめるかもしれません。 |
洗面台はリニューアル工事対象から外れていたのか、昔からの飾り気の無い雰囲気を色濃く残しています。 トイレはグリーン車車両を中心に、一部が洋式に改造されています。 小さな子供を座らせておくことが出来るベビーホルダーが備え付けられたトイレもあります。 |
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デッキの乗降ドアは、特急車らしからぬ1,000mmのワイドサイズ。 「特急、時々、普通」の幅広い運用を前提とした185系らしい幅広ドアで、普通電車での通勤混雑を考慮したものです。 ゆえにデッキも広々としていて、窓も大きいのでデッキ特有の暗さはあまり感じられません。 電話コーナーは設置されておらず、デッキで目を引く設備は飲料の自動販売機ぐらいです。 この自販機も、以前のデッドスペースを埋めるための驚くほどスリムなサイズで、飲料も2種類だけの販売です。 運転席直後のデッキからは扉の窓越しに運転席が見えます。先頭の運転席越しなら前展望も楽しめます。 |