1972年に房総特急「さざなみ」「わかしお」用として登場した183系特急電車。 片側2箇所のドア配置・食堂車の不連結など、登場当時にして「特急車らしくない」と評判(?)でしたが、 幸か不幸か、近年の関東エリアに投入されてきた新型特急がこの183系の「特急らしくない」部分に近づいてきたため 小改造を施すに留まったままで約30年。息の長い活躍を続けてきました。 「あずさ」系統へ新型車輌E257系が投入されたことで、「グレードアップ改造」された183系あずさ編成の多くが房総特急へと転出。 編成中間車に「あずさ」や「あさま」で使われていたアコモ改善車が大多数を占めるようになりましたが、 2004年秋、E257系500番台“房総エクスプレス”の登場で、彼ら183系たちは徐々に活躍の場を失い始めます。 そして2005年12月。房総地区の特急は全て255系・E257系の新型化が完了し、国鉄型183系“最後の楽園”は終止符を打ちました。 |
中央特急「あずさ」「かいじ」へのE257系の集中投入で余剰となった183・189系は グレードアップ改造がなされた車輌を中心に幕張電車区へ転属がなされ、次々と房総特急という新天地での活躍を始めました。 末期の183系房総特急は、中間車となる車輌のほとんどが「グレードアップあずさ・あさま」で活躍していた車輌でした。 車内はセミハイデッキ構造・フリーストップリクライニングシート・荷物棚下の読書灯などの装備が継続され、 ほぼ「あずさ」時代のままの姿で活躍していましたが、通路ドア上の電光情報表示装置は塞がれて使用停止となっていました。 車内インテリアには相違があり、生粋の「あずさ」出身車と、流転を繰り返してきた元「あさま」車の2種類があります。 座席ピッチはどちらも960mmで、モケット柄も同じなので一見見分けがつきませんが・・・・ 元「あさま」車は床面にモザイク模様が施されていて、天井がFRP製のカバーで覆われていてスッキリ。 元「あずさ」車は床面に模様などは無く、単純なツートンカラー。天井は格子の飾り天井で覆われていています。 E257系「房総エクスプレス」に追われ、房総定期特急からも撤退した後、生き残ったごく一部の車輌は 「中央ライナー」や臨時列車などで細々と活躍を続けています。 一時期、成田エクスプレスの補完特急「ウイングエクスプレス」にもこの183系が使われていましたが、 「空港特急」には必需設備のバゲージスペースを有していない183系。 車端部の座席に「荷物置き場」と書かれたグリーンのカバーを被せて、荷物スペースの確保に対応していました。 |
中間車をグレードアップ車輌で揃えていた末期の房総特急ですが、先頭車はこの座席を装備していました。 おそらくは、先頭車に東京地下駅乗り入れのための機器類を装備している関係からだと思います。 (このへんの知識は詳しくないのでよく分かりません・・・。) このシートはR51Nシートに、フリーストップリクライニング機構(といってもリクライニング動線は簡リクのままですが) とテーブルを装備させ、モケットを張り替えてクッション材の詰め物を厚めにしています。 こちらは設計段階での910mmシートピッチのままなので、グレードアップ車のような「窓のない窓側席」は発生していません。 |
洗面台は各車輌の「出身」が一目で分かるポイントになっています。 グレードアップ「あずさ」から流れてきたのものは、国鉄型のリニューアルでしばしば採用されるシンクと3面鏡。 グレードアップ「あさま」を出身とする189系は、丸いカガミが特徴的。 生粋の「房総特急車」の中でも、座席リニューアルを受けている車輌は、なぜか座席以上に改造の手が入った明るい洗面台。 一部の車輌では、登場以来のままの、ほぼ原型を留めた和式トイレも残っていました。 |
4号車には電話と飲料の自動販売機があります。 自動販売機は、最近すっかり見なくなった(というか元々が少数派か)背の低い小型のもの。 街中では見かけることはまずないので、流浪の旅人だけが慣れ親しんできたタイプですね。 この自販機、洗面室の冷水機があったスペースにムリヤリ突っ込んであります。 (一部の編成には最後まで電話設備のなかった編成もあるようです。) |