名古屋鉄道 2000系
セントレア空港アクセス特急 μSky(ミュースカイ)

  

「名鉄=レッド」「名鉄=パノラマカー」を大きく打ち破ったエアポートエクスプレス。
他社の空港専用特急と比べるとインテリアで顕著に表れる「特化」型の印象は薄く、
むしろ「スタンダードな特急車はこうあるべきではないか」と思わせる居心地のよさがそこにはあります。


レギュラーシート

乗り込んだ際にまず触れる、後述のデッキシーンの印象が大変インパクトが強く、客室に入った時にも爽快さを感じます。
その印象は「統一感」が取れているといえ、その出来はここ最近の特急車の中では安っぽさを感じさせない秀逸な出来栄え。

ツートンブルーの座席のテーマは「まちあかり」だそうです。なるほど海と空の遥か向こうに見える街の風景にも見えます。
座席はフリーストップリクライニングシート。リクライニング時に座面が連動して奥へ沈み込む、準“ゆりかご”式です。
けっこう連動がスムーズで、座席全体が軽快な印象の割りには、リクライニングとチルトのバランスが良くて居心地がいいです。
シートピッチは1,000mm。テーブルは背面折りたたみ式のみを装備していて、向かい合わせ時の利用は考慮されていませんが、
窓框部が若干幅広にしてある配慮が見られ、飲み物程度なら置くのに困りません。

天井照明に間接照明をベースに、センターにスポットライトを用いている点が
今時の特急車にある「安っぽさ」を感じさせないのではないかと思うのですが、どうでしょう?
荷物棚の下には補助照明。この補助照明って関東の車両では見られないのですが、
関西のほうでは「当然」のように民鉄からJRまでいろんな車両で見られますね。
この補助照明を名鉄が装備しているということは、装備エリア境界が「中京」になるのでしょうか。

この客室で最も目を引くのが荷物棚の縁部にあるLED式の飾り照明。
スカイブルーに点灯して、「破線」状態に灯るそれは客室全景に奥行き感を出しています。
停車中にはブルーに点灯している照明は、停車駅が近づくとブルーからホワイトへ、そしてブルーへと色を変化。
それは着席しているとちょうど目に入ってくる高さなので、万人にこの空港特急の印象を際立たせる演出ではないでしょうか。
あの「南海ラピート」の始発駅発車時の「チャイムと同時に客室ドア一斉クローズ」の演出にも匹敵するほどの印象深さ!

シートピッチは1,000mm。フットレストのようなものは取り付けられていませんが、座席下に足を伸ばせます。
ヘッドレストカバーには 「ミュースカイ」のロゴが印字され、この特急車専用のものとうかがえます。
窓の遮光装備にはフリーストップ式のロールブラインド。

デッキ仕切りドアの上部には22インチの液晶ビジョンが取り付けられています。
特急車両としては「近鉄アーバンライナー・ネクスト」に続くもの。
さすがは自由度の高い情報装置だけあって、さまざまな情報が次々に流れます。
「アーバンライナー・ネクスト」に比べ、文字が大きく表示されるので、多少遠くからでも情報内容がつかみ取れます。

液晶モニタその1   液晶モニタその2   液晶モニタその3   液晶モニタその4   液晶モニタその5







洗面台・トイレ

3両編成の「ミュースカイ」、サニタリーコーナーは中間車の1両のみに設置されています。
洋式個室、男性用個室、洗面台から構成されています。

洋式は車椅子での利用も考慮して広めの設計。
個室内の手洗い台も低く設定されていて、ユニバーサルデザインが考慮されています。

ブッ飛びの驚きなのが洗面台。フロストガラスをカウンタパーツに用いて、その下から照明を当てるという、
鉄道車両の洗面台としては前代未聞の演出で、それはそれはうっとりするほどの美しさ。
デッキ部の全体から感じる「アクアフィーリング」は、
このトランスルーセントな洗面台にそのコンセプトが集約されているように感じられます。






ラゲージスペース
 バゲージスペースは全ての車両に設置。スペースそのものは他の空港特急に比べると大変コンパクト。
 下段のストッパーは下がった状態がデフォルトとなり、ストッパーを持ち上げて荷物を収納します。
 全て客室内に設置されているので、客室から目の届く場所に荷物が置くことができます。





デッキ設備

照明にはメインにブロックタイプのライトを用いて、サブ照明にスポットライト。
若干薄暗い照度なのですが、この照度がブルーのアルミパネルを際立たせるのにちょうどいい明るさ。
そして視点をちょっと変えれば、ヒカリの中に浮かぶ洗面台・・・!
さらには壁面のゴールドのエンブレムがスポット間接照明で浮かび上がるという凝り様で、
あのJR九州883系「ソニック」の次にランクインするほど「印象深いデッキ」です。

乗降ドアは全車両2枚ドアの観音開き。
1000mmという開口サイズは荷物の多い旅行者にはもちろん、一般の利用者にも圧迫感のない大きさです。
都市と都市を結ぶ一般的な特急車でも、実はこのくらいのドアサイズであっていいんじゃないかと思います。
ドア脇の壁面にはなぜかマガジンラックとセットになったカガミ。
列車を下りる直前の「身だしなみ」? 女性の意見が取り入れられた部分でしょうか。

ちなみにドアの下にあたるクツズリ部にはLED式の細長い照明が組み込まれています。
停車駅が近づくとドアの開くほうがオレンジ色に点滅、停車中のドア開放時には点灯します。






コックピット
 「名鉄」というと“パノラマカー”というイメージが大変強いのですが、
 この「ミュースカイ」は残念ながら前展望は全くの×。
 運転席直後のデッキの貫通扉にも窓が無いので、前方の景色は見えません。







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