JR北海道 789系 <HEAT 789>  特急「スーパー白鳥」

  

惜しまれながら廃止されていった名門特急「白鳥」が、復活して帰って来ました。
新形式789系を与えられ、名称も新たに「スーパー白鳥」!! 青函トンネル内で時速140キロの爆走を披露してくれます。

青函連絡船・青函快速「海峡」にアクセスして北海道接続の任を担っていた特急「白鳥」。
ついにその愛称は海を越え、北の大地へと辿りつきました。






グリーン車

キハ261系「スーパー宗谷」に続き、デンマーク国鉄との共同製作で誕生した789系。
5列15席というミニマムな空間です。通常期はこれで充分な供給だとしても、繁忙期にはプラチナチケット化は必至の様相。

座席モケットにはブルー染めの「牛革」を奢っています。これがまたイイ色合いでして、ホレボレしちゃいます。
「革」座席といえば、JR九州の885系(883系のグリーンが先鋒だけど)ですが、比較してみると…

<1>885系は座面・バックレストとも最悪の滑り感全開だけど、789系は全体的に張りがあってホールド力がある。
<2>885系は革の匂いがデッキにまで流れるほど強烈だけど、789系は「これって革の匂い?」という程度で匂う。
<3>885系は革が照明に反射するギラツキ感がかなりあるけど、789系は光沢を抑えていて反射が気にならない。

座席はリクライニング機構のみを備えて、キハ283系で「サービスのインフレ!」とまで賞された数々の附帯設備はありません。
ちなみに、リクライニングするとわずかに座面が前方に迫り出す機能を備えています。

モケットのブルーとともに北欧チックな雰囲気を醸し出しているのが、ホワイトウッドの木目を生かしたアームレスト。
見た目には上品で美しいのですが、アームレストとしては及第点には届きません。やっぱり「木」は固いのです。
2人掛けのセンターアームレストはちゃんと2枚板になっていて、左右の席でのエリア分けがされているのはさすがです。

フットレストは、下ろして足を乗せようとすると、徐々に上に戻ろうとして下ろした状態で固定されません。
また、走行中の揺れをよく拾う傾向にあり、トンネル内の高速運転中のブルブル感はなかなかにスリリング。

全席に「パソコン用電源」を備えています。
ジャックには「パソコン専用」とデカデカと書いてありますが、別に「パソコン」以外の用途でも使えます。

ヘッドレストは妙にゴツゴツとしてデカさが目に付きますが、両脇から頭を支えるウイング機能を備えています。
航空機ではファーストクラスやビジネスクラスでよく見る機能ですが、鉄道の座席ではめずらしいです。
なかなか先進的で意欲を感じますが、迫り上げた部分の固定力が不足気味で、時間が経つと元に戻ってしまうのは残念。






普通車

こちらの雰囲気は、キハ261系の普通車を「そっくりそのまま持ってきた」と言っても過言ではないでしょう。
モケットがグリーンベースは奇数号車、レッドベースのは偶数号車で、
それぞれブルーのモケットをランダムに配してアクセントをつけています。
このあたり、ちょっとJR九州のドーンデザインを意識した感を受けます。

座席自体はキハ283系〜キハ261系の流れを汲んでいますが、座面形状とバックレストのランバー部分に手を加えており、
この変更が「進化」というよりは、若干「退化」の方向性へと向かってしまっているようで、
座ってみると腰と背中のわずかな部分にスカスカ感があります。さらにフットレストも省略されています。

センターアームレストが大型化されているのは特筆に値します。
最近は単なる「仕切り」として、センターアームレストを細くして座席に組み込むのが当たり前になりつつありますが、
こちらはまさに「肘掛け」として、しかも窓側/通路側どちらの人も一緒に使えるワイドなものになっています。

1号車(グリーン合造車)の14席のみ電源コンセントを装備しています。
壁側に2つ口をまとめて装備しているので、通路側の人は窓側の人に遠慮しつつ…と、ちょっと使いづらいかもしれません。
この点はJR九州885系のようにセンター部分に装備するか、
JR北海道785系「uシート」のように背面テーブル下に各々装備のほうがいいですね。

同じく1号車には車椅子専用席が2席あります。(車椅子席にも電源コンセントあり。)
車椅子席の直後の通路側席のみ、背面テーブルがなくなってしまうのでインアームテーブルを装備しています。







サニタリー

各車輌ともデッキ空間が雪切り室や機械室にスペースを割かれているので、サニタリーコーナーはコンパクトで少なめです。

洗面台とトイレは別に分けて設置せず、全てトイレ内に一体化して設置しています。
唯一、編成中1号車のみ車椅子設備の関係から洗面台を別に独立して設置しています。






多目的室
 1号車デッキ部分に多目的室があります。
 他のJR特急と同様に常時施錠されていて、利用には車掌への申し出が必要です。
 雑誌の車輌形式図を見る限り、室内には簡易ベッドになるソファーがあるようです。





デッキ

乗車時にまず目に飛びこんでくるのが、出入り台脇に大きく描かれた津軽海峡をシンボライズしたイラスト。
いままで、走行地域にちなんだ名勝地や特産品などをロゴマークとして掲げる例は数多く登場しましたが、
ここまで列車自体のあるべくアイデンティティを、単純かつ明快にシンボライズした例は初めてでしょう。

デッキの随所には北海道内の観光地や伝統的なお祭りを紹介するパネルが掲げられています。

2号車の八戸(函館)寄りのデッキには喫煙コーナーが設けられています。
「スーパー北斗」「スーパーおおぞら」などのそれよりもかなりささやかな設備。
ちなみに2号車は喫煙自由席車輌なのですが、
どうやらお隣り1号車のグリーン席が「全席禁煙」のためにここに設けられたようです。
しかし、グリーン車からこの喫煙コーナーへは半室普通車を通り抜け、
サニタリーコーナーを通り抜け…とかなり距離感があるので、グリーン席の附帯設備としてはちょっと無理があるかも。

極寒の地を行く列車を多く輩出してきたJR北海道なだけあって、デッキ〜客室の防寒にはぬかりありません。
まず、デッキと客室を仕切るドアが全てタッチセンサー式になっています。
さらにデッキ部には天井と足元にヒーターの吹出口あり、客室との寒暖差を縮める努力が感じられます。




JR北海道の新特急車のお約束コーナーは、本州乗り入れの「スーパー白鳥」にもしっかりあります。
青函トンネル突入時などには、客室以上にボルテージ上がりまくりです。








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