JR東日本 400系新幹線「つばさ」  JR-EAST YAMAGATA SHINKANSEN Series400 Super Express"TSUBASA"

 「小さな投資で、地方に新幹線を開通させる」
 用地確保と莫大な建設コストが常に課題となるフル規格新幹線の建設。
 そこに新たな光を投げかけたのが、JR東日本の「新在直通ミニ新幹線」の建設構想。

 その第一号ケースとして、大きな注目を浴びて建設決定したのが「山形新幹線」でした。
 山形から山深い峠を越える奥羽本線を通り、福島駅で東北新幹線と直結。
 改軌した在来線に新幹線車両を通すというユニークな運転システム。

 1992年の開通よりも2年も前、1990年に「400系」は登場。
 シルバーメタリックと超・流線型のボディは、新時代の到来を予感させるものでした。
 先行車は「S4」の試験編成を与えられ、数々のテストに挑みました。
 改軌した山道の走行、真冬の雪積もる峠越え、200系との併結高速走行・・・・
 上越新幹線上での高速走行試験では345Km/hを達成。
 新在直通運転の開始と共に、新幹線のさらなる高速化への道をも切り拓きました。

 1992年7月の「山形新幹線」開業以降、利用者は順調に増加。
 ライバルとなる航空路線を廃止に追い込み、400系自身も6両から7両編成へと成長。
 1999年12月には、新庄への延長開業も果たしました。

 ミニ新幹線の嚆矢となった400系。
 2010年4月に最後まで残ったL3編成によるさよなら記念列車の運行で全車両引退となりました。
 現在は、鉄道博物館にL3編成11号車の411-3が保存されています。

 エクステリア・インテリアデザイン:TDO(Transportation Design Organization)

 (撮影時期:2003年〜2005年・2007年・2008年)


−400系 Tsubasa デザインコンセプト−

トータルコンセプト
21世紀指向の高速列車
ベースカラー:シルバーメタリック
エクステリアテーマ
アドバンス&ソリッド
窓下ライン:イースト・グリーン(JR東日本の緑)
インテリアテーマ
ソフト&ジェントル
裾部:ダークグレー






グリーン車 グリーン車/GREEN CAR (FIRST CLASS)


「新幹線」と言えども、在来線の建築限界に合わせられた設計になっているので、車体の大きさは在来線特急そのもの。
グリーン席は2+1配置で、見た目にもどっしりとしたシートは「グリーン席」らしい上級キャビンの雰囲気を醸し出しています。
登場当時の「スーパーひたち」「スーパービュー踊り子」の流れを汲む、ゆとりある座席配置。
JR東日本ではグリーン車の3列配置がこの400系で最後となり、次に登場した新型特急255系以降は4列配置が定番に。
同じ「つばさ」ファミリーのE3系1000番台車も4列グリーン席で登場しています。

シートピッチは1,160mm。リクライニングもかなり深くまで倒れ、座席のクッション材も十分な柔らかさ。
荷物棚の下には読書灯と車内販売ワゴンのコールボタンが装備されています。
テーブルはインアーム式のみを装備。背面収納テーブルは装備されていません。
このインアームテーブルはどうも水平にならず、手元に向かって傾いた状態で固定されるのが気になります。
アームレストには左右共に革クッションが張られていて、腕をもたれていても疲れません。

フットレストは2面式。表面・裏面共にカーペット張り仕様なので、靴を履いたまま載せられる面が無くちょっと混乱します。
スリッパやドリンク・おしぼりのサービスはありません。ひざ掛け毛布はセルフサービスで、荷物棚にセットされています。
デッキ寄りの仕切りドア脇にはマガジンラックがあり、JR東日本の旅行冊子や時刻表が自由に閲覧できます。
ちなみに1人掛け席はD席。2人掛けの窓側はA席となります。7番A席は車椅子対応席です。


前述のように、3列席の400系と4列席のE3系では、グリーン席のコンフィギュレーションが大きく異なっています。
E3系では2+2配置のためC席が存在しますが、客室内は全6列配置のため、400系にはある7番列が存在しません。
そのため、前売り開始のマルス内ではC席と7番列席は設定されておらず(→)、
どの列車に400系・E3系のどちらが入ってもいい状態でグリーン券が販売されるようになっています。
運用が最終決定するのはおよそ前日。ここで形式ごとの全コンフィグがやっとオープンになります。
そんなわけで現在の「つばさ」号は、事前の「400系狙い買い」が事実上できないという状況です。
また、「こまち用」E3系と「つばさ用」E3系では車椅子対応席の位置も異なっています。(→

なお、400系グリーン席の一人掛け席の座席番号は「D」となっていますが、E3系1000番台が登場するまでは「C」が割り当てられていました。


 デッキ寄りの席は1+1の座席配置で通路を広くし、デッキと客室の乗客流動を妨げないようになっている。
 下り列車だと6番B席にはフットレスト設備がなくなってしまうので、オットマンが備えられている。
 荷物棚の下には読書灯が設置されている。四角い小さなボタンは車内販売コールボタン。
 ボタンでランプが点灯し、車内販売がグリーン客室に入ってきた場合に向こうから声を掛けてくれるというもの。
 フットレストは土足面と素足面の2面。高さ調節などはできずに、単純に手前に広げるだけの構造。
 アテンダントによる人的サービスは無いが、セルフサービスでひざ掛け毛布が用意されている。







普通車 普通車/ORDINARY CAR (ECONOMY CLASS)


ピンク色のシートは指定席車、プレイングリーンのシートは自由席車です。
指定席車のシートピッチは980mm、自由席車は910mmで、自由席の着席定員数を増やす施策が行われています。

座席周りの設備は指定席・自由席共に共通で、背面収納テーブルとマガジンポケットを装備。
フリーストップリクライニングシートは、わずかではありますが指定席のほうが深く倒れるようになっています。
自由席のみ、片方の座席にグリップが取り付けられています。繁忙期輸送時に通路で立ちんぼうの乗客への対応ですね。

12号車〜15号車が指定席ですが、このうち15号車はあとから製造された増結車両なので、他車と仕様が異なっています。
シートピッチは980mmですが、背面リクライニングに加え、座面スライド機構も備えており、テーブルもやや大きめ。
クッション材のホールド感も、従来の座席より居住性が数段良くなっています。
ただし、15号車はかつての「喫煙車」。うっすらと残るヤニ汚れやかすかな臭いが気になる人は15号車を避けて正解。

普通車は2列に掛かる大きな窓が特徴的。
下り列車なら偶数席(ただし15号車16番列は除く)、上り列車なら奇数席(ただし各号車1番列は除く)を指定すれば
窓の外の車窓をワイドな眺めで楽しむことができます。



 車椅子対応席は12号車の1D席に設置。隣の11号車デッキに車椅子対応のサニタリなどが集約されている。
 15号車は1995年に増結された後期増備車両。この車両の増結によって400系は全編成7両編成化された。
 この増備車両では、「座面スライド」機構を備えた座席が初めてお目見えした。
 この「座面スライド」機構を備えた座席は、1997年に登場するE653系「フレッシュひたち」から
 本格的に採用が始まり、その後のJR東日本の特急車両普通車座席のスタンダードとなっていく。
 15号車は当時は喫煙車両だったため、この車両の座席のアームレスト先端には灰皿が装備されていた。
 その後、全車両が禁煙席となり、この灰皿は蓋が開かないように封じ込め処理がなされている。







洗面台/トイレ トイレ・洗面室/TOILET・SANITARY SPACE


サニタリースペースは、11号車・13号車・15号車・16号車に設置されています。
11号車には車椅子対応の大型洋式個室が設置されていて、室内には折りたたみ式のベビーベッドが装備されています。
トイレ個室内はいずれもストーン調の壁紙が貼られ、洗面台も大理石調でなんともゴージャスな雰囲気です。








デッキ設備 ラゲージスペース 乗降口・デッキ設備・大型荷物収納スペース/ENTRANCE・DECK SPACE・BAGGAGE SPACE


各デッキの乗降口には折りたたみ式のステップがあります。
これは新幹線の駅でのホームとの隙間を埋めるもので、車体幅が「在来線サイズ」の新在直通用車両の大きな特徴。
後期増備車両の15号車は、ほかの車両と比べるとデッキ部分の照明が異なっていて、それまでより明るくなっています。

電話設備は12・13・16号車に。山間部となる福島〜米沢間では電話は利用できません。
飲み物の自動販売機は13号車のデッキに設置されていましたが、2008年3月に使用停止となり、その後順次撤去されました。

14・15・17号車のデッキには大型のバゲージスペースがあります。
冬季は「スキーボックス」として使われているようで、普段は大型のスーツケースなどを置けます。






【登場当時の400系新幹線】



400系は、登場当時はシルバーメタリック1色のギラギラの装いで、見た目にも近未来的な雰囲気で非常に人気がありました。
その後1999年12月の新庄延伸開業に伴い、増備されたE3系1000番台の塗装に合わせて、シルバーとグレーのツートンカラーに変身。
このツートンカラーは、400系にはあまり似合わなかったことから、メタリック塗装が消えてしまうことを惜しむ声が当時多く聞かれました。
ここで紹介している車内インテリアも、この時に同時にリフレッシュされたものです。

登場当時のグリーン車は、ローズブラウンの落ち着いた雰囲気。
普通車は指定席がブラウン系、自由席はスカイブルー系のモケット張りで、引退時とは随分と雰囲気が異なっていました。

また、L1編成は登場当時は、試作編成であると同時に試験編成でもあり、「S4編成」を名乗っていました。
S4編成は床下機器が完全にカバーで覆われているのが特徴的で、運転席脇には楕円形の窓がありました。
車内も試験的な要素が多く盛り込まれ、グリーン席は個別モニター付き、普通席では転換シートや固定ボックス席も試験的に搭載されていました。






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