JR西日本 300系新幹線「のぞみ」  JR-WEST SHINKANSEN Series300

 1992年3月から、朝晩1往復ずつで東京−新大阪間での運行が始まった「のぞみ」号。
 翌年の1993年からはいよいよ毎時1本、東京−博多間での本格的な運用が開始となりました。

 博多直通に合わせて、JR西日本でも300系車両を製造することになり、
 新たに300系3000番台の形式区分が付与され、JR東海のJ編成に対して編成番号は「F編成」に。
 1992年〜1993年の間に総数9編成144両が製造されました。
 その後、JR西日本の「のぞみ」型車両の製造は500系へと移行したため、
 JR西日本の300系は、比較的小所帯で製造終了となっています。

 登場後は主に「のぞみ」で活躍したほか、山陽新幹線直通の「ひかり」にも充当され、
 晩年は新大阪が運用拠点となる「こだま」での活躍が主となっていました。

 2012年3月にJR東海のJ編成と同時に、さよなら運転で全車両が引退。
 300系3000番台は全車が廃車解体されました。


 1993年 鉄道友の会ローレル賞受賞(JR東海300系)

 エクステリア・インテリアデザイン:TDO(Transportation Design Organization)

 (撮影時期:2000年〜2002年・2004年・2005年・2007年〜2009年)





グリーン車 グリーン車/GREEN CAR (FIRST CLASS)


JR東海の300系のグリーン車はブラウン系でしたが、JR西日本のはプレイングレーの配色で雰囲気がかなり異なります。

座席まわりの付帯装備は東海車・西日本車ともに共通化が図られていますが、細かい点で差が出ています。
読書灯のスイッチは、東海車では手元のオーディオパネルにビルトインされていますが、
西日本車では従来型のオーディオパネルを装備して、読書灯をセンターコンソールの手元に設置しています。
パッと見ではスイッチ類が多く見えるようで、上級クラスの座席の雰囲気を感じさせますが、
窓側・通路側のスイッチを押す指先が一瞬戸惑うことから、使い勝手という点では東海車仕様のほうが上のように感じました。
ちなみに読書灯自体のデザインも、微妙に両社編成で違っています。

さらに見ていくと、ヘッドレストまわりやフットレストのデザインが大きく違うことが目に付きます。
ヘッドレスト部分はJR東海編成のほうが出っ張りが大きくプライバシー感がありますが、JR西日本編成のほうはノッペリした印象。
フットレストは収納状態から、土足面→素足面で2展開で引き出せます。どちらも同じ生地が張られているのでちょっと分かりにくいです。
シートピッチは1,160mmで、当然ながら東海の編成と同じです。

300系の中では、JR東海の編成が圧倒的に多いので、JR西日本の編成に当たると「お、ちょっと違う電車に当たった」という喜びがあるかも。



 フットレストは土足面と素足面の2面展開。金属的な「剥き出し」感があり、視覚的にあまりいただけない。
 足載せ面の大きさが小さく、使い勝手はあまり良い印象を受けなかった。
 テーブルはインアーム収納タイプのみを装備し、背面収納の大型テーブルは無い。
 テーブルは、片面・両面の2面展開が可能。
 コンパクトなサイドテーブルとして、またワイドなメインテーブルとして両方に使える。
 座席背面には小さなフックが付いている。
 コートなどをかけるにはちょっと無理があり、弁当の入ったビニール袋などを掛けておく程度に使える。
 窓下には物置として使える小さなテーブルが据え付けられている。
 ペットボトルや缶飲料、チケットや携帯電話を置いておくのにちょうどよい幅。
 読書灯のスイッチ。窓側席・通路側席のスイッチが立て並びになっているので、使う時にちょっと戸惑う。
 ちなみにJR東海のJ編成では、読書灯スイッチはオーディオパネルにビルトインされている。
 オーディオパネルは在来線特急などでもおなじみのタイプ。
 JR西日本のF編成では、東海道新幹線内を走行中でも西日本のオーディオ番組が放送されている。






普通車 普通車/ORDINARY CAR (ECONOMY CLASS)


普通車はJR東海の300系の座席がブラウン基調なのに対して、JR西日本の300系は座席モケットがグレートーンの色調となっています。
エントランスドアから客室に入った時に、まるで別形式の車両に乗ったかのような感覚で、雰囲気が全く異なります。

座席は、横5列の2+3配列。シートピッチは1,040mm。
各車両の定員と座席配列は全てJR東海のJ編成に合わせられていて、運用変更で両編成が入れ替わっても問題なく充当できるようになっています。
現在のN700系列まで脈々と受け継がれている、編成定員と各号車座席数完全一致の法則は、この300系のJ編成とF編成から始まりました。

座席自体はJR東海の300系が搭載しているものと同じに見えますが、実はJR西日本独自開発のものとなっています。
しかし、見た目のそっくり以上に、座り心地もほぼJR東海のJ編成とほとんど変わらないというガッカリ仕様。

座面部分は前方が盛り上がっていて、臀部から掬い上げるような形状となっていますが、
いかんせん、お尻に当たる部分のクッション材の詰め物が薄くて、走行中はかなりの突き上げ感が響いてきます。

ちなみに、3人掛け席の真ん中席(B席)はA/C席と比べて横幅が30mm広い460mmとなっていて、
不人気の真ん中席の居住性を少しばかり良くする設計となっています。



 車椅子対応席はJR東海の編成同様に11号車に。
 車椅子対応の大型サニタリーや多目的室も11号車に設置されている。
 テーブル背面には編成内の設備案内。トイレが前・後ろのどっちが近いかなどを探るのに便利。
 編成の前後で、1号車〜8号車と9号車〜16号車の案内となっている。
 センターの肘掛けは、2人掛け席・3人掛け席とも跳ね上げ収納が可能。
 親子で並んで座る時や、子供を寝かせる時などには便利に使える。
 座面は前方が持ち上がったかたちに成形され、太腿部分をすくい上げる様な感じなっている。
 しかし、一番重心の掛かるお尻部分のクッション材が薄いので、リラックス感としての効果は正直薄い。








サービスコーナー ミニショップ/SERVICE BOOTH


かつて、7号車と11号車には売店を設けたサービスコーナーがありました。設備やレイアウトはJR東海のJ編成と同じです。
ショーケース脇の電照広告には、JR西日本のイメージリーダー“500系”の紹介パネルがはめ込まれていました。

2003年10月のダイヤ改正で売店での物販は終了となり、以降は順次カウンターの撤去工事が行われました。
晩年は、このスペースは壁が設けられて、かつての売店の内部は、車内販売準備室となっていました。









洗面台/トイレ トイレ・洗面室/TOILET・SANITARY SPACE


サニタリーコーナーは、奇数号車の東京寄りに、洗面台・和式個室・洋式個室・男性用個室がセットになって設置されています。
洋式個室には折りたたみ式のベビーベッドが設置されています。
車椅子対応の大型個室は11号車に。ドアは大型スライドドアで、個室内は手すりが設置されています。







デッキ設備 乗降口・デッキ設備/ENTRANCE・DECK SPACE



デッキの設備構成は全て、JR東海の300系J編成の順じており、共通化が図られています。
各エントランスドア脇にはゴミ箱が設置されていますが、J編成の初期製造車ではゴミ箱が小さすぎて、
デッキにゴミが散乱してしまう事例が発生したため、その後ゴミ箱の大型化が行われた経緯がありました。
JR西日本のF編成も大型・大容量のゴミ箱が設置されています。

電話コーナーは2号車・6号車・12号車・16号車に設置されています。
公衆電話機の脇にはテレホンカード販売機が設置されていましたが、
F編成では、JR西日本のイメージリーダーでもある500系のぞみの絵柄のテレホンカードが販売されていました。








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