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1990年4月にデビューを飾った251系「スーパービュー踊り子」。 |
リゾートに特化したコンセプトは大ヒットし、登場後も人気が衰えることはありませんでした。 登場から約10年が経つ頃には、さすがに内装外装とも陳腐化が進んできたことから、 2002年からリニューアル工事が始まりました。 ユニークな形状のエクステリアはそのままに、塗装はメリハリの強いカラーリングに。 インテリアも、普通車を中心に座席の交換やモケットの張替えが行われました。 この時に、9号車と10号車のグループユニット(セミコンパート席)も一般普通車に改装されました。 2004年に全4編成のリニューアルが完了しましたが、さらに2007年にも改装が行われました。 この際にグリーン車の座席は新しいものに交換され、1号車展望席は3列から2列に変更。 それまでは展望席は非リクライニングでしたが、リクライニングシートに交換されました。 その後も屈指のリゾート特急として高い人気を誇ってきた「スーパービュー踊り子」ですが、 2020年春のダイヤ改正で「踊り子」系統の抜本的な変更がJR東日本から告知されました。 「踊り子」にE257系を投入して185系を置き換え、と同時に新型車両E261系の登場を発表。 「サフィール踊り子」と名付けられたこの新車両は、ラグジュアリー志向の強いコンセプトで、 実質的な251系「スーパービュー踊り子」の後継車両となるものでした。 251系はE261系に取って代わられ、2020年3月をもって全4編成が引退となりました。 同時期に登場した651系、253系、255系などがが第一線を退き、廃車も進行する中、 251系は、登場から引退までの30年という長きに渡って主力を務めた稀有な存在でした。 独特な構造の251系は、余生を送るための転用も効かず、全車両が2020年中に廃車解体に。 一時代を築いたこの車両が1両も保存されなかったのは、非常に残念です。 1991年 鉄道友の会ローレル賞受賞 エクステリア・インテリアデザイン:TDO(Transportation Design Organization)+剣持デザイン研究所 (撮影時期:2003年・2006年・2008年・2010年・2015年・2019年) |
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以前のグリーン席は、山側がブラウン系・海側がパープル系のモケットでしたが、リニューアル後はグレートーンのモケットに統一。 登場時のポップな感じは無くなり、全体的に落ち着いた「大人のリゾート」な雰囲気になりました。 収納式のレッグレスト、インアームテーブルも引き続き装備。 アームレスト内側にあったAVコントロールパネルは撤去されて、オーディオサービスは終了となっています。 2007年にグリーン席は再度リニューアル改装が行われ、客室インテリアのカラーコードはグレートーンそのままに、 座席の交換・カーペットの張替えなどが行われました。 新しい座席は以前の座席に比べて、背もたれ部分のホールド性が良くなっていて、クッションも柔らかめになっています。 この時の改装で大きく姿を変えたのが1号車の展望席で、3列配置:総席数9席から2列配置:総席数6席となりました。 1列減らしたことでシートピッチを大幅に拡大、リクライニング機構・レッグレストを持った座席が設置されました。 床面の嵩上げが行われ、最前列は以前の2列目の高さに設置されたので、座席からの目線の高さが高くなっています。 (残念ながら、目線が高くなったことで前方の視界が若干悪くなってしまいました。) 「スーパーひたち」から「成田エクスプレス」あたりまでは、グリーン車でおしぼりやドリンクサービスを行っていたJR東日本ですが、 現在の在来線特急でこのサービスが行われているのは「スーパービュー踊り子」のみとなってしまいました。 登場当初は「SVO」のエンブレムマークがプリントされた紙コップでしたが、現在はコスト削減のためか「はやて」と同じ紙コップに。 ドリンクは、ホットコーヒー・紅茶・アイスウーロン茶・オレンジジュースから選べます。 |
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2号車の1階のグリーン個室も3室が健在です。 こちらもソファー自体はモケット張替えのみに留まり、電動リクライニング機構はそのまま。 中央のテーブルにあったビデオ再生可能のビデオデッキとオーディオモニターは撤去されました。 また、窓の下にあったオーディオサービスのコントロールパネルも撤去されています。 通路奥は行き止まりとなるため、非常時用のエマージェンシーハッチが設置されています。 |
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1号車の1階にあるサロン室も基本的なレイアウトに変更はありません。 ソファーのモケットがパープル系からエメラルドグリーン系に変更されて、明るい雰囲気に変わりました。 リニューアル以前、このサロンの上のオープンキャビンは禁煙席で、階下のサロンは喫煙OKでした。 タバコの煙は当然下から上へと流れるわけで・・・・・ 階下のサロンから、らせん階段を伝って階上のオープンキャビンへ煙が漏れて「タバコ臭い!」という苦情が相次いだため 今回のリニューアルで、サロン室は完全にノンスモーキング・エリアとなりました。 軽食として「カレーライス」と「ミックスサンド」が用意されています。「ミックスサンド」のほうはパック詰めのを皿に並べただけですが、 「カレー」のほうはレトルト品のレンジ調理とはいえ、ギャレーで暖かいものを準備してくれるのが嬉しい!! 2015年の上野東京ライン開業後は、所属区が田町から大宮へ変わった時にサロンでの食器類の取り扱いが終了となりました。 軽食類は紙製やプラ製の容器に、ドリンク類はすべて紙コップでの提供に変わっています。 この変更は、車両基地の地上設備の関係によるものというという話です。 |
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今回のリニューアルで最も大きく姿を変えたのが、普通車に相当する「カスタムユニット」です。 座席そのものが全て交換され、その座席モケットも奇数号車はオーシャンブルー、偶数号車はハイビスカスピンクに。 251系のデザインコンセプト「乗った時からそこは伊豆」を大きく超え、「乗った時からそこはハワイ」ぐらいの勢いがあります。 座席は全席が回転式のリクライニングシート。 以前の包みこむようなシートのもつ独特な雰囲気はありませんが、一般利用者からすればこちらのほうが印象はいいようです。 リクライニングのほかに、JR東日本の特急車座席の標準機構「座面スライド」ももちろん装備しています。 その「座面スライド」機構ですが、E653系「フレッシュひたち」やE257系「あずさ」などのものに改良が加えられています。 今までは座面が前方にスライドするだけでしたが、251系装備品ではスライドと同時に腰にあたる部分が沈むようになります。 なかなかの座りゴコチなので、今度の「スーパービュー踊り子」は普通車でも充分満足できます。 荷物棚は登場当時から変わらず、旅客機のような「オーバーヘッド・ストウェッジ」スタイル。 開くまでえらく時間がかかるものから、ガツン!と勢いよく開くものまであり、相変わらず油圧の利きがまちまちです。 各車デッキ仕切りドアの上にあった、投影式のビジュアルスクリーンは全て撤去されました。 |
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9号車・10号車にはかつて「グループユニット」と呼ばれたセミコンパート席がありました。 今回のリニューアルではセミコンパート席は全て撤去されて、「カスタムユニット」化。普通の座席車になってしまいました。 混雑時には相席も常態化していたようですし、やはりコンパート単位でのマルス管理が難しかったのでしょうね。 この9号車と10号車は、窓割りがセミコンパート席時代のままで、改造の手を付けられていません。 普通車ピッチ1,000mmで座席を展開したために、窓の柱が目の前に来る「外の見えない窓側席」が出来てしまいました。 指定券購入時に、空席に余裕があるようなら9号車と10号車は避けたほうがいいでしょう。 乗車当日にハズレ席を引いてしまってガッカリ・・というリスクは少なくて済みます。 |
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10号車の展望席も大幅に手が加えられました。 ここには以前、フランスのTGVで使われているコンパン社製の座席が並べられていましたが、今回のリニューアルで舶来品のバブリーな座席は撤去。 普通車「カスタムユニット」に導入されたものと同じ座席が装備されました。 また、以前はシートピッチ810mmで4列が設定されていましたが、座席交換と同時に3列に変更。 シートピッチ1,000mmという余裕の配置になり、窓割りにピッタリ符合した座席配置となりました。 グリーン展望席は非リクライニングシートですが、こちらの展望席はリクライニング、座面スライドとも可動します。 展望席は、夜間走行の際は天井照明は全て消灯。 室内は真っ暗に近いぐらいになりますが、窓ガラスへの映りこみが全く無いので、夜のダイナミックなパノラマが楽しめます。 大幅にリニューアルされたカスタムユニット展望席ですが、眺めはというとグリーンユニット展望席同様に2・3列目は大ハズレ。 1列目だけに「展望席」としての価値が見出せるので、まさにチケット購入時に「早い者勝ち!」となります。 私の経験から言うと「金曜を除く平日の午後・下り便の後ろ展望最前列」は当日でも余裕で買えることが多いです。 |
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5号車のサービスカウンター(売店設備)はリニューアル後もあまり変化がありません。 100円ショップのプラ製カゴにお菓子入れてズラズラ並べた商品陳列には、どうもチープさを感じてしまいますが。。。。。 軽食やお弁当・ドリンク類のほか、伊豆や東京のお土産品や鉄道グッズなども販売されています。 |
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日本の鉄道界きってのキワモノ設備、10号車1階「こども室」も健在です。 カラフルなウレタン樹脂は、パステル調のものからドギツイ暖色系になりました。子供ってこういう強い色調、好きですよね。 以前はブックポケットに絵本がいろいろと揃っていたようですが、今はJR東日本の通販カタログがギッチリ入っていました。 必ず利用者がある(いつ来ても子供とお母さんが遊んでる)設備ですから、他の列車にもどんどん増やしていって欲しい設備です。 9号車のデッキに「多目的室」があります。室内には簡易ベッドになるソファーや折り畳み式の車椅子があります。 |
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サニタリーコーナーは10号車を除く各車輌に設置されています。 9号車の「多目的室」の反対側にある車椅子対応サニタリーは、今回のリニューアルでタッチセンサードアに改造されました。 |
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普通車のメインエントランスは3号車、5号車、7号車、10号車。 メインエントランス以外の車輌にも乗降ドアがありますが、「このドアは終着駅以外では開きません」との注意書き。 決められた乗降口以外では乗降できないのは、この特急の登場以来の施策ですが、今もって乗客には混乱が見られます。 3号車と7号車には自動販売機(現在順次撤去中)と大型荷物置き場・喫煙コーナーがあります。 リゾート向け車両に特化した251系ですが、 全4編成のリニューアル工事が完了した2014年3月から「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」の運用が始まりました。 ライナー運転時には、グリーン席はグリーン料金徴収の上で開放されていますが、 サロン室・個室・こども室は画像のように赤いラインテープで封鎖され、空間への出入りができないようになっています。 |