台北と高雄を結ぶ空路と鉄路が激しいシェア争いを繰り広げていた1980年代。 台鐵が特急「自強」号の高速化の切り札として1989年に投入したのがEMU300型です。 車輌はイタリアの「ソシミ」社製造。 最高時速は台湾の列車では初の130Km/hに達し、台北−高雄間の停車駅が台南だけという超速達列車に投入されました。 しかし「ソシミ」社の倒産により予備部品の確保が困難になり、さらに台車の亀裂発生による全車台車交換を迫られるなど、 1990年前半には早くも最高速度130km/h運転は打ち切られ、主役の座を次の世代のE1000型に譲ることになります。 2008年から車内外のリニューアル工事が行われ、現在の姿となりました。 現在は台湾北部の西部幹線の区間運転の自強号に限定投入されています。 |
EMU300型は3両で1ユニットの編成組成となっていて、それらを3ユニット組み合わせた9両で運転されることが多いです。 座席はおそらくデビュー当時からのものと思われる、やや古めかしいデザインのものが2+2の横4列で配置されています。 座席のモケット柄は、リニューアルの時期による差異なのか青緑色っぽいものとスカイブルーの2種類があります。 座席周りにテーブルは無く、壁側に小さなドリンクホルダーが付いているだけ。座席背面にはマガジンポケットがあります。 足元は他の自強号用車両に負けず劣らずの広さで、フットレストも設置されています。 フットレストは上下可動式で、足置き面が手前に展開できるようになっています。 荷物棚下には読書灯とスポットライトがあります。 カーテンは、これもリニューアルの時期の違いによるものなのか複数の柄があるようです。 撮影した車輌のカーテンはなぜか、子供部屋のようなかわいらしい動物のキャラクターが描かれたものでした。 |
サニタリースペースはトイレ個室のみで、運転室のある車両についています。(9両編成の場合、1・3・4・6・7・9号車) 洗面台は独立したものは無く、全てトイレ内に設置された小さなもののみとなっています。 中間車のデッキ寄りには給湯器があり、乗客はお湯を自由に使うことができ、紙コップも用意されています。(お湯はかなりぬるい) デッキのステップには、「ソシミ」社のプレートが貼られています。 |