1996年9月に登場した、自強号用のプッシュプル式のE1000系車両。 両先頭車に南アフリカ製の電気機関車を配し、中間に韓国製の客車を挟み込むという、フランスTGVなどでお馴染みの動力集中式の電車。 1編成あたりの最大連結数が15両で、満席続きで切符が取れないと不評だった西部幹線の自強号の輸送力アップと、 これまでディーゼル主力に頼ってきたところへ電車化によるスピードアップが同時に図られました。 最終的に400両近くが増備され、電化区間の自強号の多くを賄うと共に、電車自強号=E1000系PP列車というイメージを印象付けました。 2005年頃から故障による大幅な遅延の発生や、運転途中で走行不能になったりなどで運転を中止し、運用から離脱する車両が続出。 故障の頻発が韓国メーカー側がすでに台湾を離れた後で、さらに補償期間も過ぎていたために修理もままならない状態に陥ってしまいます。 その後は2007年のTEMU1000系「太魯閣」型の運転開始で、なんとか運用数が確保できるようになるなど、いろいろとあった車両でした。 現在でも圧倒的な編成数の多さから、電化区間の自強号のほとんどを受け持つ主力車両として活躍中。 流麗なのにユーモラスな顔つきの機関車の風貌から、現地の鉄道ファンからは「ブタちゃん」「ナマズ」の愛称で親しまれています。 |
客車は全て普通車で構成されていて、「商務座」などのビジネスクラス相当の車両はありません。 客室内は、2+2の横4列でリクライニングシートが並んでいます。 リクライニングはかなりの傾斜量があり、日本の国鉄型特急車両のグリーン席並みに倒すことができます。 シートピッチは1,000mm以上はあると思われ、足元にはフットレストも装備。フットレストは高さ調節もできます。 座席間を仕切る中央肘掛は、跳ね上げて座席間に収納が可能。 全体的に高級感ある作りですが、日本人からすると特急車両に「テーブルがない」ことにちょっと戸惑うかもしれません。 座席周りに手元の小物を置いておける場所がなく、座席背面の網ポケットが唯一のスペースといったところ。 窓下のステンレス製のパーツはドリンクホルダー。 客室内の給湯サービスの紙コップがすっぽり収まるサイズで、市販のペットボトル飲料も差し込むことができます。 座席のモケットカバーは数種類あるようで、この編成では3種類が確認できました。 特に規則性があるわけではなく、ランダムでいろいろな種類のモケットカバーの車両が編成内に混ざっていました。 一部に天井の照明にカバーが付いた間接照明式の車両がありますが、これは2000年代に入って増備された2000系列車両。 1000系が韓国メーカーが製造したのに対して、2000系車両は台湾メーカーが製造した、いわゆる「国産車」。 2000系の車両は1000系と比べて、やや重厚感のある仕上がりとなっているので、ちょっと上質な列車の旅が楽しめそう。 外観は1000系車両と(ごく細かい差異があるものの)ほとんど同じなので、普通には見分けがつきません。 また、2000系にはビュッフェ車両も製造されましたが、営業開始からわずか半年ほどで業者が撤退してしまいあっけなく営業中止に。 現在、ビュッフェ車両は13号車(一部12号車)に組み込まれ、ビュッフェ部分はカウンターやテーブルなど飲食設備を全て撤去、 乗客が持ち込んだ自転車が置ける荷物室として使われています。 そのため、13号車(一部12号車)を指定すれば、必ず2000系車両でちょっとだけゴージャスな気分が味わえます。 |
トイレはほぼ全ての車両に設置されています。洋式トイレが基本で、一部は車椅子対応の大きめのトイレとなっています。 日本の特急車両でよく見る、大きな鏡のある「洗面室」は設置されておらず、トイレ内の小さな手洗いスペースを利用します。 一部の車両のデッキ寄りには小さな給湯器と紙コップが置いてあり、乗客は自由にお湯を使うことができます。 日本ではあまり馴染みが無い設備ですが、中華圏ではごく普通の設備。 台湾の乗客は自分で持ち込んだお茶葉やティーパックにこのお湯を注いで、車内でお茶を飲んでいる光景が見られます。 (ちなみにお湯はかなりぬるめなので、カップ麺などは作れなさそう) |