真岡鐵道 「SLもおか」号 50系客車



1994年から真岡鐵道で運転されているSL列車の「SLもおか」号。
運転開始からのC12-66に加えて、1998年からはC11-325も牽引機に加わり、2台のSLを所有してます。
一方SLに牽引される客車は、JR東日本から譲渡された3両の50系を使用。旧型客車のイメージで茶色に塗り替えられています。
50系客車自体は、北海道や九州などでイベント用車両としてごくわずかな数が活躍中ですが、いずれも大きく改造されたもの。
真岡鐵道の50系客車のみが、日本で唯一原型を留めた姿で活躍する50系となっています。










50系客車は、国鉄の地方路線に残っていた旧型客車を置き換えるため1977年に登場した普通列車向けの客車です。
しかし、1980年代に入ると地方路線でも「短編成による高頻度運転」が推進された結果、ローカル線でも気動車や電車への置き換えが急速に進行。
結果、機関車の付け替えや機回しを必要とした50系客車は、登場からわずか数年で余剰車が大量に発生する結果となりました。

JR化後は、東北と九州のごく一部で定期運用が残ったほかは、ほとんどの車両が用途を失い、車齢10年にも満たないうちに廃車となった車両も大量に発生。
気動車への改造や青函トンネル用の快速「海峡」用客車への転用、あるいはイベント列車などへの改造が施された車両もごくわずかですがありました。

真岡鐵道でのSL運転開始に先立って、SLに牽引される客車はJR東日本から余剰となっていた50系客車が譲渡され、大宮工場で赤から茶色に塗り替えられました。
車内は大きな改造が施されることは無く、ドア付近はロングシート、客室中心部はボックスシートが並ぶ、セミクロス仕様となっています。
ロングシート部分には、つり革もそのまま残されています。
ボックスシートのシートピッチは、50系客車のカタログ値で1,470mm。ピッチ拡大工事も行われていないので、この数値のままで現在も活躍中です。
イベント列車のボックスシートとしては、なんとなく物足りなく見えるのは、窓側にテーブルが全く無いためではないかと思われます。
テーブルが無いという仕様も50系客車登場当時からのことで、真岡鐵道への転出に伴う改造でもテーブルは追加設置されなかったようです。
客室は全て非冷房。そのため、夏の時期は天井の扇風機が大活躍。

「SLもおか」号では、定員制の「SL乗車整理券」を購入し、車内は全車自由席となっています。

(画像はクリスマス時期に乗車したため、車内はクリスマスのモールやオーナメントの装飾がなされています)























乗降口は片側引き戸の1枚ドア。ステップが1段あるので、乗車・降車の際は段を踏み外さないように注意が必要です。

SL列車運転時には、全区間で車内販売のワゴンがお菓子や飲み物、お弁当、SLグッズを満載して車内を回ります。
(お弁当は搭載数が非常に少ないので、事前に予約しておくことをおすすめします)


   


トイレは下館寄りの1号車のデッキの1ヶ所だけです。昔ながらの和式トイレで、中はあまり広くありません。

   


写真はC11型の運転台です。真岡鐵道のC11型はJR東日本各地での出張運転にも活躍しているので、見かけるチャンスも多いです。






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