半世紀の歴史を持つ、伝統の「東海道ブルートレイン」。 大阪発の寝台特急も全廃され、最後の最後まで、併結運転で残った「富士」と「はやぶさ」も、2009年3月をもって運行停止。 これにより、機関車が客車を引っ張って東海道線を走るブルートレインは全て姿を消しました。 ここでは末期の2本立て時代、「富士」「さくら・はやぶさ」の頃の車内の様子をご紹介いたします。 |
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東海道ブルトレが「華」だった頃、最高峰の寝台として君臨していた「個室寝台」。 多種多様な「個室」が登場する中で、改めて「シングルデラックス」と命名されましたが、もはや「デラックス」とは言い難いですね… 現行のインテリアはJR九州による第2期リニューアルとなります。壁を明るい木目に変えて、室内全体をリフレッシュ。 ソファーベッドのモケットは以前の787系「つばめ」のグリーン車で採用されていたもので、 カーテンは“ソニック883”調のポップな柄。(ちなみに小倉ステーションホテルで同じ柄のものが使われています) 暗く沈んだ感じの第1期リニューアルと比べると、まるで見違えるほどに明るい雰囲気に生まれ変わりました。 ・・・とはいっても、室内設備の基本的な部分は30数年前の登場時からほとんど変わっていません。 テーブルが洗面台になるという、登場当時は「スゴイッ!」と言われた設備も変わぬ姿で稼動中です。 壁に掛けられた、クリアーブラウンのプラ製コップが泣かせます…。 洗面アメニティキットの提供はありませんが、ヘッドマークの刺繍が入ったオリジナルタオルが配布されます。 九州特急ブルトレの「最高峰」クラスを堅持してきた「シングルデラックス」ですが、もはや“時代遅れ”の何モノでもなく、 かといって現代のアメニティレベルに達するような個室車を新造するほど製造費の回収は見込めない・・・。 今の今までこの「シングルデラックス」が生き残ってきた現実が、 減る一方の乗客数を取り戻せない「悪循環」によるものだというのは悲しいものですね。 ブルトレブームの少年たちが「いつかは・・」と夢見た個室車は、九州ブルトレ全廃の時まで歴史ある愛称と運命をともにするのでしょう。 |
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九州ブルトレの1人用B個室「ソロ」は1989年に登場しました。 登場から10年ちょっとですが、改造前の元の客車が20年前のものなので、疲労が隠せません。 モケットは特急「ソニック」のものと同じです。ドアのロックはカギ式。 開放型B寝台と同じ料金の個室なので、利用者の少ない九州ブルトレでも大変人気が高いです。 この「ソロ」は、「はやぶさ」編成と「富士」編成にそれぞれ1両ずつしか連結されていません。 枕元にはコントロールパネルと読書灯が装備されています。 コントロールパネルの文字は非常に小さく、暗い夜間の走行では使いづらそうです。 パネルの一部が埋められてしまっていますが、ここにはオーディオの操作盤がありました。 2階の寝台は、カーブした窓からの眺めが良い(たとえ夜間であっても、夜空がキレイ!)のですが その反面、立ち上がれるスペースがドア付近ギリギリの階段部分に限られます。 1階の寝台はその逆で、眺めは平凡ですが立ちあがれるスペースが広いです。 上段の個室番号は偶数・下段の個室番号は奇数になっています。 JRの発券システムでは上下段の指定が可能なので、ご希望のある方はチケット購入時に窓口で申し出てみてはいかがでしょう。 ちなみに上段はソファーが東京向き、下段はソファーが大分・熊本向きになっています。 |
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およそ「寝台列車」のイメージとは連想しにくい、ド派手なモケットのB寝台。 この883系「ソニック」にも使われているポップなモケットは24系25型に使われています。 特急「ソニック」では車内を「楽しく」見せるのに一役買っている柄も、今の東海道ブルトレでは、逆に悲しげに浮いて見えてしまいます。 その後「富士」「はやぶさ」の併結運転に伴い、使用車種は全て14系15型に統一されました。 形式は統一されたものの、編成内には前述の「ソニック」柄のモケットを使った寝台車とこのシックなモケット柄の寝台車が混ざっています。 シックで落ち着いた印象のモケットは787系「ありあけ」編成で使われているものです。 化粧板も木目調の明るいものに張り替えられ、ずいぶんと印象が変わりました。 ちなみに床面はカーペット敷きではなく、柄の入ったリノリウムになっています。 |
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「北斗星」のロビーカーも、「トワイライト」のサロンデュノールも、「カシオペア」のラウンジカーも このファルコンウィングを施した元祖「ロビーカー」が、そもそもの始まりです。 この「ロビーカー」は国鉄時代の改造で、ブルートレインへ乗客を呼び戻そうという施策がまだあった頃の産物。 当初は「はやぶさ」に連結され、その後に編成が共通運用となる「富士」にも登場しました。 登場当時はこうしたフリースペースはまだ珍しく、時刻表にも 「ロビーカーを連結。どなたでもご自由にご利用いただけます」という追加記入がなされていました。 JR化後はJR九州の所属となり、B個室「ソロ」に登場の頃にロビーカーも床やソファーモケットの張り替えが行われました。 モケットや床の市松模様など、全体的に485系レッドエクスプレスの流れを汲んでいます。 ロビースペースの九州寄りにはカウンターがあります。中を覗いてみるといろいろと整えられていますが 残念ながら一度も「バーコーナー」のようなしゃれた使われ方はされなかった模様。 東京寄りのデッキには電話ブース、九州寄りのデッキには自販機コーナーがありました。 長旅の旅人のなぐさみとして、いつも誰でも受け入れてくれた初代「ロビーカー」。 残念ながら「さくら」の廃止と「富士」「はやぶさ」の併結化によって編成から外れ、廃車の運命を辿ることになるようです。 |
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まったく手付かずの登場時のままの洗面台。編成中に何ヶ所もあります。 洗面台とデッキ部分、トイレの扉は、「ソニック」をお手本にしたようなアルミカラーでリニューアル。 デッキは、客室仕切りドアがブルーのパネルに交換されている他は、ほとんど手付かずのまま。 寝台特急特有の「侘しさ」が充満する空間です。 |