JR東日本 24系客車 寝台特急「出雲」




長年、東京発の東海道ブルトレファミリーの一員として活躍してきた寝台特急「出雲」。
交通アクセスが長年未整備のままだった山陰地方から東京へとダイレクトに繋ぐ「出雲」は人気の列車でした。
2往復体制で運転された時期が長かったことも、利用者からの根強い支持を受けていたことが分かるようです。

1998年に1往復分が寝台電車「サンライズ出雲」へと進化。もう1往復はJR東日本受け持ちの寝台客車で引き続き残りました。
しかし、不況による利用者の激減と客車そのものの老朽化もあり、ブルートレイン「出雲」は惜しまれながら2006年3月で廃止に。

神話の国「出雲」をイメージした雲と真っ赤なヘッドマークは、鉄道ファンの間では絶大な人気を誇っていました。
ここでは廃止の4年前、2002年頃の車内の様子をご紹介いたします。







A寝台1人用個室 シングルデラックス  B寝台  洗面台/トイレ




     







     





東海道ブルートレインの花形設備であったA寝台一人用個室の「シングルデラックス」。
出雲号は廃止のその日までこの「シングルデラックス」を連結して走り続けました。

「富士」や「はやぶさ」など、JR九州受け持ちの列車の「シングルデラックス」は、リニューアルで壁面が木目になったり、
寝台のモケットがドーンデザイン柄に張り替えられるなどで、以前とかなり雰囲気を異なるものにしていましたが、
この「出雲」ではリニューアルの手もそこまで入らず、登場時の姿をかなり残していたことから、コアなファンに人気でした。

室内はソファーベッドに収納洗面台になるテーブルなど、基本的な部分は30数年前の登場時からほとんど変わっていません。
壁に掛けられたプラコップも、まるで“古きよき時代”のままタイムスリップしてきたかのように健在。
アメニティキットの配布はありませんでしたが、「出雲」のヘッドマークが印刷されたタオルが配布されていました。


A個室以外の寝台車は全て開放型のB寝台で構成され、B個室「ソロ」や「デュエット」は連結されていませんでした。
(サンライズ化される前の「出雲2・3号」はJR西日本受け持ちで、「ツイン」「シングルツイン」などを連結していました。)
こちらB寝台も、カーテン交換で明るい柄になっているものの、素っ気無いモケットの寝台などは実に古めかしい印象。
号車によってモケットの色を変えているということも無く、全車両がこの茶色いモケットを纏っていました。

JR化後のJR東日本の受け持ちとなった東海道ブルートレインは「あさかぜ1・4号」とこの「出雲」の2列車でした。
ブルートレインの集客活性化策として「あさかぜ1・4号」のグレードアップが計られ、B寝台はこの時にリニューアル。
「出雲」用客車も同時にモケット張替えやカーテンの交換などのリニューアルが行われ、これが最後の日まで走りました。


洗面台やトイレはけっこうリニューアルの手が加えられていて、洋式トイレも設置されていました。
このあたりは、古い洗面台が末期まで残っていたJR九州持ちの「富士」などとは対照的です。






フリースペース

















「出雲」号の食堂車は1991年で営業終了となっていましたが、食堂車そのものは外されること無く、最後まで連結されていました。
食堂のホール席がフリースペースとして開放されていて、ロビーカーやサロンカーのような設備となっていました。
この車両自体は、博多まで走っていた「あさかぜ1・4号」用のグレードアップ車両と同時に誕生した車両。
「スターダスト・ラウンジ」と呼ばれたこの車両は当初「あさかぜ」で使われていましたが、
後にオリエント急行のダイニングカーをイメージした「レトロ・ロマン」車両が登場すると、この車両は「出雲」へとコンバートされました。

壁には星空が描かれ、天井はカットグラスのような飾り天井と鏡面材が張られ、照明にはシーリングスポットライト。
レトロな雰囲気に改造された食堂車が多かった中で、全体的に金属質でクールな独特の雰囲気を持つ食堂車でした。

連結面側の客席がサロンのようなソファー席となっていたほか、パントリー側には飲料の自動販売機が設置されていました。
さらに連結面側の外にはソファーコーナー(以前の待合スペース)と電話コーナーがありました。








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