JR東日本 C57-180 + 12系客車 SLばんえつ物語号



新たな観光資源の発掘と地域の活性化にと、1990年代に入ると「SL列車の運転」が注目を浴びるようになりました。
古くからの成功例「SLやまぐち号」「大井川鉄道」をお手本に、JR各社では次々と保存機であった蒸気機関車を整備・復活。
首都圏では秩父鉄道が「パレオエクスプレス」を、真岡鐵道が「コットンウェイ・SLもおか号」の運行を開始しました。

JR東日本では会社発足直後に人気のデゴイチ「D51-498」を復活させ、現在のホームベースである上越線で季節に定着した運行を開始。
その後もデゴイチは東北・甲信越へも頻繁に出張運行をするようになり、次第に年間スケジュールが逼迫する程になりました。
一方、D51-498や秩父のC58-363を借りてSL運転を行った新潟・磐越西線地区では、「地元でSLが定期運行できないか」という機運が高まりつつありました。
新津第一小学校に保存されていた「C57-180」を走らせようという運動が起こり、そしてついにはJR東日本をも動かすまでになり、
約1年をかけてC57-180は大宮工場にて大掛かりな修繕が行われ、1999年3月、その火を落として30年ぶりに息を吹き返しました。

1999年4月29日。地元の熱意と国鉄からJRへと継承された技術が融合して、磐越西線「SLばんえつ物語」号は走り出しました。
現在ではSL列車が運行される観光スポットととしてすっかり定着し、C57-180も別線区へ出張運転するほどの人気者に成長しています。





普通車









南秋田運転所(当時)に配置されていた12系客車をリニューアルし、「ばんえつ物語」専用の車両としています。
車内は「大正モダン」をテーマに、シートモケットを青からワインレッドに。
化粧板も木目板に張り替えられ、既存の12系から大きく変化を遂げています。

登場時は従来どおりのボックスシートでしたが、後年に通路側肘掛の先端にミニテーブルが取り付けられています。
(このとき、窓下のテーブルも大型にものに取り替えられています)

2007年4月には、その年の運転開始を前に大掛かりなリファイン整備が行われ、内装・外装ともに大きく変化しています。
内装では、座席背もたれが30センチ高くなり、背もたれもバケットタイプに変更され、座面クッションも肉厚に。
全体的に「コンパートメント風」を強調したものになりました。
さらには、アクリル板だった荷物棚が昔ながらのパイプ式になり、古めかしさがいっそう際立ったいます。

車内照明も大正レトロ客車をイメージさせるもにが取り付けられ、
客室照明は球形カバーの白熱灯、デッキ仕切りドア上部にはガス灯をモチーフにした照明が取り付けられています。

そのほか、機関車寄りの先端に取り付けられた集音マイクから生のドラフト音が
車内放送装置によって客室に流れるなどの演出がなされています。








イベントカー














4号車にはフリースペースの展望車が連結されています。
車内は半分がイベントスペース、もう半分がサロンスペースになっています。

イベントスペースでは、手作りオモチャ教室や演奏会など、運転日ごとに違った催しが開かれています。
このスペースはイベント開催用に場所を広く取るため、ソファーではなくパイプ椅子が設置されています。
また、デッキ寄りには沿線の観光名所を紹介するパンフレットコーナーや大きな液晶モニターが設置されています。

サロンスペースはハイデッカーとなっていて、天井にまでかかる大きな曲面窓が特徴的。
張りのある青い革製ソファーが設置されています。

この展望車は2000年12月に増結されたもので、当初はここに売店スペースが設置されていました。
2007年のリニューアル時に売店は5号車へと移設され、イベントスペースがより大きく取られています。








ミニショップ





5号車には売店が設置されています。
お弁当やお菓子・グッズのほか、ビールサーバーを装備していて、生ビールの販売が行われています。
また、沿線の地ビールの販売も行われており、大人にも嬉しいSL列車の旅が楽しめます。








洗面台






サニタリースペースは、全てリニューアルが施されていて、原型の古めかしさは微塵も残っていません。
トイレは全車両が「洋式トイレ」に改造され、一部には「女性専用トイレ」も設置されています。
洗面台はセンサー式の自動出水タイプになっています。








デッキ






デッキは昔ながらの折り戸・ステップ付きですが、化粧板が木目になっているので、雰囲気がガラリと変わっています。

新津・新潟寄りの先頭車1号車のデッキには「郵便ポスト」が設置されています。
ここでハガキを投函すると、「ばんえつ物語号」オリジナルの消印が押されて郵送されるというもの。
乗車記念証には「ばんえつ物語号絵葉書」が付いているので、これを利用するとよいでしょう。
(ちなみに車内では切手の販売は行われていませんので事前に用意しておく必要があります)

両先頭車の車端部と展望車には記念スタンプが設置されています。






座席探訪 トップページへ  座席探訪 新幹線ページへ  座席探訪 寝台列車ページへ  座席探訪 JR北海道ページへ  座席探訪 JR東日本ページへ  座席探訪 JR東海ページへ  座席探訪 JR西日本ページへ  座席探訪 JR四国ページへ  座席探訪 JR九州ページへ  座席探訪 民鉄各社ページへ  座席探訪 海外の鉄道ページへ  座席探訪 バスページへ  座席探訪 エアラインページへ