小田急電鉄 60000形ロマンスカー
MSE
−Multi Super Express

 

2008年3月に登場した、小田急〜東京メトロ直通ロマンスカー「MSE−マルチスーパーエクスプレス」
首都圏各線では、都心の東京メトロを介しての相互直通運転が盛んに行われていますが、有料特急では初めて。
地下鉄線に民鉄のロマンスカー特急が乗り入れるというのも、もちろん初めてのことです。

平日は通勤特急、休日は箱根行き「ロマンスカー」として、2面性を併せ持った車両として「マルチ」の愛称が冠せられました。
「フェルメールブルー」に「バーミリオンオレンジ」のラインを纏った、精悍な「青いロマンスカー」。
薄暗い地下区間、太陽眩しい地上区間、夕刻から夜の街明かり、どの区間・時間帯にも印象的な輝きを放ちます。








普通車

車内は、(EXE+VSE)÷2 といった雰囲気で、通勤型特急車にVSEの観光要素をミックスさせた感じです。
VSEでは車内の至る所で木製パーツがふんだんに使われていましたが、MSEでは地下鉄乗り入れの規制があるためか、
木製の代わりにアルミ合金が使われているのですが、部分によっては安っぽい素材が使われているのがちょっと残念。

シートピッチは983mm。EXEの1,000mmよりも狭いですが、座席の背もたれを薄くすることで足元をEXEより広くしたのがポイント。
シート全体のフォルムは、VSEのカジュアルさを踏襲したようで、両者をデザインしたデザイナーのこだわりでしょうか。

座席はかなり固いです。バックレストも座面も、クッション材に包み込まれるような感じが全くありません。
正直なところ、近郊通勤型電車のボックスシート並みの座り心地しか感じられないような気がしました。
確かに足元の広がりは感じられますが、リクライニング量も少ないため、「寛ぎ」には程遠いような感じです。

VSEの座席で見られた後方への座面チルト機構は、MSEでは採用されていません。
ただ、座面の基本設計はVSEと同じなのか、チルト機構が無い分、お尻の奥のほうにスカスカ感があり、落ち着かないようです。

座席はテーブル展開状態で回転できるようですが、これは利用者には何のメリットもないですね。
(おそらく車内清掃や、折り返し運転時の座席自動回転をスムーズに行うための、運行側のメリットだと思います)
そのため、テーブルがなんとも中途半端なサイズになってしまい、あまり使い勝手が良いとは言い難いようです。
「A4ノートパソコンが置ける」というのがウリのようですが、置くことはできてもキーボードを打つのには不安定そう。
休日の「メトロはこね」号の車内でお弁当を食べる機会も多そうですが、実際弁当がテーブルから落ちそうでヒヤヒヤでした。

「メトロさがみ」や「メトロホームウェイ」の比較的近距離を走る「通勤特急」としてのグレードは感じられますが、
行楽気分で乗る「メトロはこね」で2時間を過ごすには、このシートではかなりキツいと感じました。
車内全体の雰囲気はイイので、座席がせめてEXE並みのクッションが効いたシートだったら・・・・と強く思いました。


 テーブルはブーメラン型の特殊なもの。テーブルを出したまま座席回転を可能にしたため、このカタチに。
 行楽気分でお弁当や飲み物を広げるには、このテーブルでは「役者不足」の感は否めません・・・・
 ヘッドレストカバーには「MSE」のロゴが、さりげなく金色で刺繍されています。
 ちなみにヘッドレストもかなり固めです。
 座席背面にテーブルは無く、袋や上着を掛けられるフックが取り付けられています。
 スーツの上着を掛けると下がカーペットにスレスレなので、コートを掛けるのは無理そうです。
 窓の框部分には木調パネルがはめられていて、飲み物などを置くことが出来ます。
 車椅子対応席に近いデッキ仕切りドアは、観音開きになっています。
 座席背面下部にはマガジンポケットがあります。
 ポケットの口が大きく開かないので、ペットボトルは入りませんでした。
 座席背面のフックに傘を掛けた場合、傘がフラフラしないように支えるバンドが付けられています。
 座席上部に取り付けられている手がかりには、さりげなく「MSE」のロゴが入っています。
 天井はVSE譲りの「ヴォールト」調。けっこう天井が高く感じられます。
 荷物棚の下にはLED照明が埋め込まれていて、これもVSE譲りの補助照明。
 車内案内表示機はフルカラーLEDを採用。
 2段スクロール式で「日本語・英語」のあと「中国語(繁体字)・韓国語」が続けて流れるようになっています。
 相模川や富士山などの車窓ポイントの案内もスクロール表示。もちろん4ヶ国語対応です。





サービスコーナー

3号車と9号車には、カウンターでの対面販売を行うカフェコーナーが設置されています。
このカフェコーナーとワゴンによる車内販売は休日の「メトロはこね」のみでの営業で、それ以外の列車ではクローズ。
カフェコーナーには飲料の自動販売機は併設されていて、この自販機は全列車で使えるようになっています。

カフェコーナーの内部は、VSEの「ロマンスカーカフェ」にも匹敵するくらいの設備が整っているようです。
カウンター下には、ショーケースがあり、いろんなグッズをあれこれ見ながら買い物ができます。

カフェコーナーの一角には「AED(自動体外式除細動器)」が設置されていて、
車内で心疾患を起こしたお客さんに対して、迅速な救命活動が行えるようになっています。






デッキ

デッキはVSEのようなヴォールトルーフになっていて、開放感があります。
間接照明なども凝っていて、「通勤特急」としてはかなり上品な雰囲気が漂います。

客室とデッキを仕切る扉はテーマカラーである「フェルメールブルー」があしらわれて、MSEの個性が強調されています。

東京メトロ線内では乗降扱いするドア(駅到着時に開くドア)が限られているので、注意が必要です。
1・4・5・7・8・9号車のみのドアが開き、それ以外のドアは開かないので、降りられません。





サニタリー

トイレは2号車・5号車・8号車に。 うち、5号車と8号車には車椅子・オストメイト対応の「ゆったりトイレ」が配備されています。
洗面台には「のれん」が掛かり、MSEのロゴがワンポイントとしてさりげなくプリントされています。






コックピット
 運転室背後はガラス張りになっているのですが、展望席とは言い難い眺望しか期待できません。
 流線型の先頭車にも非常ドアが装備されていて、先頭部分も異常時の避難経路となっています。





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