エンジ色のモケットが、SSE車とよく似た雰囲気を醸し出しているNSE車です。 このモケットは、1980年代に車内リフレッシュを行った際にSSE車と合わせて張り替えられたものです。 車体長の短さは客室空間にもそのまま反映され、1車輌ごとがとてもコンパクトに感じられ、まさに「部屋」といった感じ。 シートピッチは970mmで、SE車の1,000mmよりも若干狭くなりました。 リクライニング機構は備えておらず、バックレストは窓側席/通路側席が一体化したものとなっています。 座席の回転はペダル式ではなく、バックレストを座面方向に倒しながら回転させるものとなっています。 テーブルは壁側に取り付けられた折りたたみ式のもの。木目の色調がレトロ感たっぷりです。 SE車・NSE車と続いたこの折り畳みテーブルは、小田急ロマンスカーの伝統ともいえるもの。 テーブルの影になる壁面には「せんぬき」が取り付けられています。 客室床面の高さは、SE車ほど低く設計されていないため、窓から外を見た時の「沈み込み感」はかなり軽減されています。 とはいえ、台車高よりも床面が低い点では変わらず、連結面に向かって床がスロープになっているのはSE車譲り。 客室とデッキを仕切る自動ドア(当時の呼び方で「マジックドア」かな?)は、オレンジに着色された透明なもの。 喫茶店の入り口を意識したような感じで、「走る喫茶室」の呼び名をより一層印象付けるものです。 |
「小田急ロマンスカー」といえば「展望席」。そんなイメージ付けを決定的なものにしたのが「NSE」車です。 「名鉄パノラマカー」に遅れること2年。曲面ガラスを多用して、優雅なラインを描く展望席が誕生しました。 展望席は合計10席。2〜3列目の天井は屋上の運転室への入り口などがあるので、かなり圧迫感があります。 展望室の入り口部分の頭上には1964年受賞の「ブルーリボン賞」プレートが輝いています。 |
このページは、イベントで「NSE」の車内見学が行われた時に撮影した画像で作成していますが、 残念ながら「ビュッフェ」コーナーのある車輌は、車内見学コースから外れていたので撮影できませんでした。 そんなわけで、1983年に私が生まれて初めて乗った小田急ロマンスカー、 「第11えのしま号」の車内でもらったメニューの掲載でお茶を濁してます(^_^; 「森永」と「日東紅茶」が華を競うように、両社とも自社ご自慢の商品をメニューに並べています。 現在シートサービスを行っている「VSE」のメニューと比べても、かなり充実していることが窺えますね。 |
洗面台はデッキの乗降口に面して設置されていて、このスタイルは「LSE」車で今でも見られます。 車内公開イベントでは、さすがにトイレの中は公開されていなかったので中の様子を見られませんでしたが、 個室ドア幅の狭さから、個室内もかなり狭そうなことが窺えます。 ドアのピクトグラムから判断するに、男性用と男女共用(和式?)の2タイプが設置されていたようです。 |
「デッキ」は「SE」車同様に客室から独立しておらず、客席のすぐ目の前に乗降ドアが設置されています。 乗降ドアのデザインも「SE」車の流れを汲むかのような、可愛らしいカーブラインを描く優雅なデザイン。 この乗降用ドアは全て手動。ドアの開け閉めは「喫茶室」のクルー(おねいさん)が担当していました。 登場当時のロマンスカーは今ほど途中停車駅が多くなかったのでそれほどでもなかったでしょうが、 シートサービス晩年の「NSE」は、向ヶ丘遊園・町田・本厚木・新松田に停まる「さがみ」号・「あしがら」号も多かったので、 シートサービスをしながらドアの開け閉めも扱うのは大変だったことでしょう。 |
車掌室も、デッキではなく客室の中に小部屋が置いてあるように設置されています。 |
ちなみにこの3100形「NSE」車、設計上の最高速度は170Km/hらしいです。 |