「小田急ロマンスカー」といえば“レジャー指向”に特化した、日本を代表するリゾート特急。 小田原・箱根湯本への直行特急「はこね」号がそのフラッグリーダーでもありますが、 ロマンスカー料金が手軽なものであることもあって、「町田」や「本厚木」といった近中距離での利用者が増大。 平日の日中には、途中駅停車型の「さがみ」号が「はこね」号より多く運転されるようになってきました。 さらには夜間運転の近距離特急「あしがら」号が、全列車満席で新宿を発車していくほどに盛況となり・・・・ 従来の「NSE」「LSE」「HiSE」が必ずしも、ビジネス優先の「大量輸送」にそぐわない部分も出てきたため、 前作「RSE」で開発した2軸ボギー20m車を10両も繋げた、巨大キャパシティの全く新しい「ロマンスカー」が誕生しました。 展望席無し・シートサービス無し・スーパーシート無しの、実用本位の「現実的なロマンスカー」。 最新型にして広告塔の座を2世代前の「HiSE」に奪われるなど、「ロマンスカーらしくない」点が物議を醸し出しました。 愛称「EXE(エクセ)」は「EXCELLENT EXPRESS(エクセレント エクスプレス)」の略。 「手軽な上質移動空間」として、「豪華な通勤空間」として、沿線利用者の“真のヒーロー”は今日も走ります。 |
「EXE」は全席がフラットフロアーの一般席。 登場時は、ロマンスカー史上初の「はこね」号と「えのしま」号の併結運転が行われるため、6両編成と4両編成でインテリアを変えていました。 4両編成(えのしま号)は「海」をイメージしたオーシャンブルー、6両編成(はこね号)は「森」をイメージしたフォレストグリーンに。 これは車内のカラーコードを変えることで、それぞれの列車のイメージにより「誤乗防止」の意味合いを含めた施策でもありました。 1999年度の増備車(3次車?)は、それまでとはやや雰囲気が異なった車両になって出てきました。 まず、座席のモケット柄の「海・森」仕様が止めになり、全席オレンジ色のモザイク模様のものに。 ロマンスシートを仕切っていたセンターアームレストも無くなりました。 (1・2次車はモケット張替のみに留まり、アームレストは健在→■) さらに、リクライニングの角度が3次増備編成から、かなり浅めになりました。 このリクライニング角度の変更は、「EXE」の「箱根輸送」からの大幅撤退が絡んでいるものと思われます。 「EXE」は、小田原から先の箱根登山線の構内有効長の限界から、6両編成でないと入線できないため、 箱根特急に充当された場合、相対的な輸送量が「LSE」や「HiSE」より少なくなるという欠点がありました。 また、展望席のない「EXE」では行楽客のニーズと相反してしまうため、小田急は箱根特急に「LSE」「HiSE」を返り咲かせ、 登場後わずか2年程で「EXE」は、花形である箱根特急から近距離特急へと活躍の場を移していきました。 |
3号車と9号車には「サービスコーナー」があり、カウンター対面販売とワゴンサービスの基地の2面性を持っています。 従来のロマンスカーではアイスストッカーなどが剥き出しで通路に向いて鎮座していましたが、 「EXE」ではコンビニのようなショーケースが並べられています。 乗客がショーケースから欲しいものを取り出し、カウンターで精算する方式が採られていました。 「EXE」の守備範囲である「さがみ」号・「えのしま」号ではワゴンサービスもない場合もあり、 サービスコーナーの営業は「自動販売機」にとって替わられつつあります。 |
| | | |
| | | | |
| |
デッキはダウンライトがほんのり灯る、ちょっとムーディーな雰囲気です。客室とデッキを仕切る自動ドアには「EXE」のロゴ。 電話設備は3号車、4号車、9号車に。こちらはデッキ空間に剥き出しでセットされてます。 10両編成の「EXE」は、6両編成と4両編成に分割併合が可能。6号車と7号車の間の運転室は、貫通路で行き来することができます。 トイレは近年トレンドの「大理石」風。トイレは2号車・5号車・8号車の合計3ヶ所とかなり少なめです。 5号車と8号車は車椅子対応のサニタリーになっています。こちらはベビーベッドも併設。 非貫通先頭車の運転室は、かなり広めですが、貫通先頭車の運転席は窮屈そう。最高運転速度は120Km/hとなっています。 |