JR西日本/JR九州  N700系新幹線7000番台/8000番台
山陽・九州新幹線「みずほ」「さくら」「つばめ」

   

2011年3月、ついに九州新幹線が全線開業。新八代駅までだった線路は博多駅まで伸び、山陽新幹線と直結。
それまでは800系で「つばめ」のみの運転だったところへ、新大阪からの鹿児島中央まで直通する新幹線が走り始めました。
山陽・九州直通新幹線列車には、N700系をベースとした、山陽九州直通新幹線専用の車両が登場。
愛称は公募で「さくら」に決定。さらに最速達列車の愛称に「みずほ」も登場し、往年の九州ブルトレのコンビが復活。

「日本らしさ」「和のおもてなし」「伝統工芸を表現した色使い」と、徹底的に「極上の日本」を具現化したコンセプト。
まさに日本一の「和装のデザインを最上まで追求した新幹線」が出来上がりました。

まるで青磁器のような柔らかい艶かしさを輝かせ、和の情緒を乗せた新幹線は、南風と共に走り始めます。




−N700系-7000/-8000 山陽・九州新幹線 デザインコンセプト−

デザインコンセプト
「凛」−日本の美しさ・力強さ・りりしさ
「白藍(Shira-ai)」−青磁器を連想させる、洗練された美を表現
エクステリアテーマ
洗練された美しさ・力強さとスピード感・品格とプレミアム感
「濃藍(Koi-ai)」−紺色の手前にある最も濃い藍色で、力強さと速さを表現
インテリアテーマ
「和」と「寛」−品格ある洗練された居住空間
「金(Kin)」−古来から漆器の蒔絵に用いられ、品格とプレミアム感を表現









グリーン車








6号車の新大阪寄りの半室にはグリーン席が設けられています。2+2が6列配置のわずか24席というプレミアムな空間。
座席は濃藍色、床面の絨毯は紫紺色をベースに、通路部分には金色の花唐草模様が入り、座席部分は濃淡で市松模様を表現。
手すりや荷棚の縁に「古代桜」調の木材を使っていて、空間そのものが全体的に濃い色調になっています。
しかし「暗い」というイメージは全く無く、むしろそのこの空間に収まることで心安らぐような上品さが感じられます。

座席は先に「のぞみ」で登場していたJR東海/JR西日本のN700系のグリーン席「シンクロナイズド・コンフォートシート」がベース。
リクライニングすると座席後方が沈み込む機構はすでにお馴染みのもので、しっかりした腰へのサポート感が得られます。
さらにこの新しいN700系では、足全体を支えるレッグレストを追加装備。
こちらはエアシリンダ駆動で、展開・収納共に手元のレバー1つの操作でスムーズに動かすことができます。
もちろんフリーストップ式なので、リクライニングと合わせて自分の体格・姿勢に合った、最も落ち着く体勢を取ることができます。

座席は平織生地を使い、花唐草模様を細かく入れるという凝り様。さらに生地そのものに消臭効果のある素材を使っています。
中央肘掛先端やインアームテーブル、背面収納テーブルも古代桜調の木材パーツを仕様。細かいところでも上質さを欠いていません。

シートピッチは1,160mm。各座席の幅は480mm。
そのほかのアメニティとして、全線でオーディオサービスを展開。電源ポートは中央肘掛先端に2口を用意しています。
「さくら」「みずほ」での運用時には、おしぼりサービスが、さらにJR九州管内ではキャンディサービスも行われています。
オーディオサービスは、JR九州管内では4チャンネルを放送中。
(1-クラシック 2-英語ポピュラー 3-日本語ポピュラー 4-インストゥルメンタル)

「のぞみ」用のN700系にあったレッグウォーマーは、レッグレストが装備されたため、こちらでは省略されています。
客室とデッキを仕切る壁面も「古代桜」調の木目による深い色合い。
この壁面部分には木製のアートパネルが掲げられ、室内の「和」の雰囲気をより深く、一層上質なものにしています。
鹿児島方のパネルはJR九州デザイン顧問の水戸岡鋭治氏が、新大阪方はJR西日本デザイン顧問の木村一男氏がそれぞれ手掛けました。




手すりには座席番号の点字プレート


ヘッドレスト内側には読書灯を装備


大型ピローは上下に可動


テーブルは手前に引くことができる


中央肘掛先端には電源ポートを2口装備


外側肘掛の内側には小型テーブルを内蔵

リクライニングとレッグレストの操作レバー

レッグレストはエアシリンダ駆動

オーディオと読書灯の操作パネル

窓下には小物トレイ

シートは花唐草模様があしらわれている







普通車








山陽九州直通列車の「さくら」は、これまでの「ひかりレールスター」の置き換えも念頭に置いて設定されたので、
普通車指定席には「ひかりレールスター」で好評だった「サルーンシート」同等の大型シートが採用されました。

空間の雰囲気作りには、グリーン席よりグッと若々しい色合いの「朱桜(しゅざくら)」調の木目パーツを使用。
手すりや荷棚縁・デッキ仕切り壁のほか、テーブルや肘掛にも「朱桜」を使い、空間全体から木の温もりが感じられます。

座席は、「レールスター」の「サルーンシート」を踏襲。2+2シートで新幹線普通車指定席としては破格のサービスを展開。
さらに「レールスター」では中央肘掛が固定式だったのを、こちらでは肘掛を座席間に持ち上げて収納できるようにしています。
これにより、大人2名に子供1名という1家族が、2座席をベンチシートにして座ることができるようになりました。

座席柄は「濃菜種(こいなたね)色」という金色と茶色に近い明るい色を採用。
座席そのものの大きさともあいまって、これまでの新幹線車両では見たことの無い、圧倒的な雰囲気が空間全体に漂います。
表面には、日本の山並みを表現した「遠山模様」。秋のススキにも見え、風情ある表情を持った座席です。

リクライニング時には座面後方がわずかに沈み込む機能を持ち、グリーン席同様に腰部のサポート力がアップ。
肘掛先端には「ひかりレールスター」でお馴染みとなった「ペットボトルホルダー」を装備しています。
シートピッチは1,040mm。座席幅は465mmにもなり、グリーン席との差はわずか15mm。
窓下床面近くには電源ポートが1口、さらに客室最前部・最後部席にはデッキ仕切り壁面に2口が用意されています。
床面は薄く緑がかったリーフグレーのナチュラルな色合い。和の装いを意識して、石畳み風の石目柄があしらわれています。

このほか、7号車には車椅子対応席が2席あるほか、6号車の2番列席荷物棚には自動体外式除細動器(AED)が設けられています。




テーブルは「朱桜」調の木目柄


外側肘掛先端にはドリンクホルダー


中央肘掛は座席間に収納可能


床面近くには電源ポートを1口装備


手すりには座席番号の点字プレート


シートは遠山紋があしらわれている







普通車





普通車自由席は、これまでの新幹線車両同様に2+3の横5列配置となっています。
(東海道・山陽新幹線の車両を基準に考えた場合であって、九州専用の800系は自由席でも2+2配置であった)

自由席の客室にはデッキ仕切り壁や荷物棚の縁に「若桜(わかざくら)」調の木目張りを施しています。
明るい色合いは、カジュアルな雰囲気ながらも、木目調特有の柔らかさと温かみを持っています。

座席には市松模様を大胆にあしらい、2列席には「茜色(あかねいろ)」を、3列席には「縹色(はなだいろ)」の2色を使用。
自由席にも、サルーンシート同様に窓下床面近くに電源ポートを1口設置。
客室最前列席と最後列席にも、デッキ仕切り壁面に各席1口づつの電源ポートを設置しています。

シートピッチは1,040mm。座席幅は440mmで、一番不人気の3人掛け中央席だけは460mmとちょっぴり広めになっています。





座席間の肘掛は収納が可能


座席背面には網ポケット


床面近くには電源ポートを1口装備


窓下には小物トレイ


手すりは「若桜」調の木目パーツ


座席は「縹色」と「茜色」に市松模様








サニタリー


サニタリーコーナーは奇数号車の新大阪寄りデッキに。1・3・5号車には洋式トイレ・男性用トイレ・洗面台。
7号車にはオストメイト・車椅子対応の大型多機能トイレと、間口の広い車椅子対応の洗面台が設置されています。

5号車には女性客のニーズに応えて、女性専用トイレとパウダールームが設置されました。
女性専用トイレは、室内が桜色に彩られていて明るい雰囲気。ベビーキーパーやおむつ交換用のベビーベッドも備えています。
その対面にはパウダールーム。全身が映せるように足元から天井までの巨大カガミによる三面鏡となっています。
小物が置けるテーブルもあり、下車前の身だしなみチェックや化粧直しができるようになっています。







デッキ設備


デッキは全体的に「朱桜」調の木目シートが貼られた壁となっていて、森の家のような温かみのある雰囲気。
全席禁煙なので、3号車と7号車の鹿児島寄りデッキには喫煙ルームが設けられています。
喫煙ルームは扉によって通路と隔てられている上に、強制排気装置によって室内の煙や空気が外に漏れないようになっています。

自動販売機は3号車と7号車に、電話コーナーは3号車と8号車に、着替えや気分が悪い時の休憩に使える多目的室は7号車にあります。









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