N700系の大量増備が続く2011年、JR東海はN700系の更なる進化系タイプ「N700アドバンス」の開発・製造を発表しました。 主にブレーキや台車、主動力装置など走行機器に新たな技術を取り入れたものとなっています。 座席や客席などにもマイナーチェンジが図られていて、先発の「N700」とは若干異なるインテリアでデザインされました。 「N700A」は2013年2月から運行が開始され、先に投入されていた「N700」もアドバンスタイプへの改造が進行。 ただし、この改造は走行機器のみで、内装は「N700」オリジナルのまま。 ここで紹介する座席・内装は、車体サイドに巨大な「A」ロゴが入っている「N700A」で見ることができます。 |
グリーン席は、まずパッと見で座席の柄が変わったことがすぐに分かります。 「N700」ではオレンジ・シルバーのドットをブラックのラインに乗せた直線的な柄でしたが、 「N700A」では同じくオレンジ・シルバーを薄くぼやけさせて、幾何学模様のようにデザインした柄になりました。 (JR東海のプレスリリースでは「霞模様(かすみもよう)」と説明) 色合い的には、「N700」の座席より薄くなった感じで、客室全体を見渡した際に「N700」のソリッドな印象よりも落ち着いた感じになりました。 座席の機能としては「N700」のグリーン席と大きな違いは無く、ゆりかご式のリクライニングや大型背面テーブル、インアームカクテルテーブルなどもそのまま。 もっとも、今後しばらくは「N700」と「N700A」が全ての列車で混在することが続くので、乗客が直接触れる部分であまり大きな差を出すことは好ましくないでしょう。 レッグウォーマーも引き続き装備されていますが、車内オーディオサービスの終了後に登場した車両なので、オーディオパネルは最初から装着されていません。 また、細かな違いでは、センターアームレストにあった、左右の席を仕切るラインが省略されています。 「N700A」では日本の新幹線では初めて、100%リサイクルが可能なポリウレタンがシートクッションに採用されました。 そのせいかどうかは分かりませんが、「N700」と「N700A」を短時間のうちに乗り比べると、明らかに「N700A」のほうが全体的に「凡庸」な感じが分かります。 「N700」ではリクライニングと座面のチルト、そしてそこに掛かるクッションとの沈み込みと、全体のバランス感が絶妙であったのに対して、 「N700A」ではリクライニングから座面につながるバランスに一体感がなく、「ゆりかご」からかなり遠くなってしまった感があります。 「N700」を久々のフルモデルチェンジ新型車両として華々しく世に送り出した時からだいぶ経ち、増備車両としての「コスト軽減」が垣間見える部分でもあります。 |
普通車座席も「N700」から変化がいくつか見て取れます。 まず、すぐに気がつくのが、グリーン席同様に座席の柄が変わったことにより、客室全体の色合いが薄くなりました。 「N700」の普通車座席では、濃い目のスカイブルーに薄いブルーのドットを入れた「水玉模様」にも近い柄だったのを、 「N700A」では薄いブルーのドットを流しラインにすることで、全体的に色をなじませて淡い色に見せる演出になっています。 個人的には、「N700」のポップでアクの強い柄が「東海道新幹線の車両」という“マジメで優等生であるべき”的な何かを打ち破った感があり好きだったのですが、 この「N700A」で再び、万人に受ける、個性を強調しないモノになってしまったのがちょっと残念でした。 「N700A」では座席のヘッド部分両脇の張り出しがかなり大きくなり、プライベート感を強調する作りになっています。 |
デッキ部分は「N700」と比べて大きな変化は感じられませんが、照明がLED化されたせいか「N700」よりも明るくなりました。 グリーン車車両にある洗面台は、人感ライトになり、人が洗面室に入ると鏡の脇の照明が明るくなり、離れると自動的に消えるようになっています。 (普通車車両の洗面台の照明は常点等) 掲載中のトイレ画像にはウォシュレット操作パネルが写っていますが、「N700A」の全車両がウォシュレット付きというわけではありません。 2014年4月以降に製造された編成から全てのトイレにウォシュレット装備となっており、編成番号で言うと「G14」編成からがウォシュレット装備編成になっています。 時刻表などから、事前にどの列車にウォシュレット付き編成が投入されるかは分からないので、当日の運任せになります。 |