岡山電気軌道 9200型超低床車両 OLRV-MOMO



2002年に登場して以来、すっかり岡山の街のアイドルとなった岡山電気軌道の新型路面電車「MOMO」。
環境への有利さ・エコロジカルさが世界的にその存在が見直されつつある路面電車(ライトレールビーグル)ですが、
その動きと復興活動は日本でも徐々に機運が高まりつつあります。

ヨーロッパ「ボンバルディア」社の車輌をベースに、いまや日本の鉄道車輌デザインでは右に出る者はいない
水戸岡鋭冶氏+ドーンデザインが手がけた「MOMO」は、多くの人を路面電車の存在へと振り向かせました。

おちゃめな「MOMO」の歴史と挑戦は、いま、始まったばかりです。







車内ベンチ


普段から「路面電車」というものと付き合いが無い生活を送っているので、
チンチン電車に乗るということが「非日常」な私です・・・。
生活の中で少しばかり縁のある「路線バス」と比べてしまうのは強引なハナシですが、
この「MOMO」はチビっこい存在なのに、こんなにも日常の乗り物の退屈を払拭させるパワーに溢れていました。

水戸岡鋭治+ドーンデザインが手がけている車輌というだけあって、ハンパな凝り様ではありません。
この「MOMO」の頃には、すでにJR九州885系「白いかもめ」で天然素材に使う手法を確立させていました。
この特急車で木材は床面に使われ、およそ鉄道車両の車内とは思えない美しいフローリングを作り出しましたが、
「MOMO」では人が直接腰掛けるベンチにまで木材を使ってきました。

座席を構成する木材はベニヤ合板ではなく、なんと天然木のムク板。
材木職人が1枚1枚削りだしたという、文字通り「ハンドメイド」の逸品です。

各座席は『○○ベンチ』とネームを付けて、「MOMO」というキャラクター性をさらに強調。
(ただ、この『なんちゃらベンチ』という呼び名が岡山市民の間で浸透しているかは微妙)
2両編成のうち、「岡山駅前」方は「シルキーオーク」、「清輝橋/東山」方は「ウォールナット」と、
それぞれで違う種類の木材を使って変化をつけています。

ベンチの座面、ちょうどお尻が当たる部分は丸く削りこませていますが、やはり「木」は「木」です。
「サロンベンチ」に敷いてあるクッションが各席にも敷かれているとありがたいのですが・・・。

窓がとても大きいので車内は閉塞感がまったくなく、まるでストリートをそのままに移動しているような気分。
ちなみに各窓にはロール式のブラインドが装備されていて、これがなんと「すだれ」!

ちょっと気になったのが、電車を降りるとき押す「降車ボタン」のデザイン。
黄色いベースに赤のボタンとなっているのですが、
これってJRの駅などでは「列車非常停止ボタン」のデザインとして採用されているんですよね。
車内で目立つようにとこのカラーデザインになったのでしょうが、押すたびにココロに緊張感が走ります。
そもそも「赤」ボタンって、ユニバーサルデザインとして「緊急時」の意味合いが強いので、
この点だけはできれば「MOMO」のテーマカラーであるブルーにでも変えたほうが良いような気がします。


地元民の足としてだけではなく、観光で岡山へ来た人も楽しめる「日常/観光 ハイブリッド仕様」の電車です。
今後の増備に期待したいですね!!







デッキ設備


「超低床車輌」なだけあって、フロアーレベルは限りなく低く設計されています。
各電停でも乗り場改修がほぼ完了しており、乗り場から車内まで段差なく乗り込むことができます。
乗降用のドアは観音開きで、まるでストリートに立ち並ぶショップに入るような感覚です。

もちろん車内の床面は段差なし! 運転席の直後は車椅子での利用者のためのスペースになっており、
車椅子固定用のベルトや低めに設定された「降ります」ボタンが設置されています。

連結部は丸いターンテーブルフロア。壁面には各賞の受賞記念プレートが誇らしげに掲げられています。
(登場直後には日本で初めての「車内郵便ポスト」が設置されていた時期がありました。)







コックピット

 ラウンド型のコックピットは完全なヨーロッパスタイル。丸ボタンが並ぶ様子はまるで上質な玩具のよう。
 ちなみにコックピットのいたるところにも、木製素材が使われています。





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