鹿島臨海鉄道 7000型 マリンライナーはまなす

 


1992年に茨城県が沿線利用者の活性化と観光客の誘致を目的に製作した、世にも珍しい「県所有」の車両。
登場当時は鹿島臨海鉄道の定期快速として活躍していましたが、その後に定期運用は廃止。
現在では正月の鹿島神宮輸送や潮来のあやめ祭り、お盆や海水浴シーズンなど、
年間のごく限られた時期だけ本線上に姿を見せる「幻」のような存在です。

「県所有」ということで、茨城県内の常磐線や水郡線、関東鉄道や鹿島鉄道などで走らせても面白そうなのですが、
今でも鹿島臨海鉄道とJR鹿島線の一部区間のみの運行に留まり、他線区への入線実績はありません。







普通車


車内は常磐特急「フレッシュひたち」も真っ青のアコモデーション。
座席はフリーストップリクライニング。シートピッチは推定980oで、ジャンプ式のフットレストを全席に装備。
座席が通路面から一段高く設置されている「セミハイデッキ」構造となっています。

シートモケットの色あせは少ないことから、その利用実績の少なさを感じさせますが、
シートそのもののヘタレ具合はハンパではなく、短期間の定期運用時代にかなり乱暴な扱いを受けてきたことが伺えます。
座席背面の網ポケットはご覧のとおりにダラーンと伸びきっており、これだけでかなり印象がX。
リクライニングもいくつかの席でストッパーが効かず、倒したそばから元に戻ろうとする始末。

車内は全てカーペット敷きになっているのですが、これも飲み物をこぼしたと思われるシミから
全席禁煙のはずなのにタバコを足で踏んで消したと思われるコゲまで、その汚さたるやハンパではありません。
およそデビュー後から一切のメンテナンスが入っていないと思われる客室。
「県所有」ということで、実際に車両を運行をする「鹿島臨海鉄道」側では勝手に手入れができない事情でもあるのでしょうか。
(鹿島臨海鉄道のほかの一般車はわりあい良く手入れがされていて、きれいな印象を受けるのでこのギャップが・・・)

貸切列車を想定してか、カラオケ装置と大型ディスプレーを客室のデッキ寄りに装備。
車両の屋根上には、以前の651系グリーン車でも積んでいた円形の衛星放送受信アンテナが搭載されていることから、
このディスプレーは衛星放送の放映が可能なものと思われます。
ちなみに鹿島神宮寄りの先頭車デッキ寄りには車椅子スペースがあります。







展望ラウンジ


運転席の直後には展望ラウンジが設けられています。
運転席からの展望はかなりの眺望で側面窓も大型化されており、かなりの開放感があります。
3人掛けのソファーを合い向かいに配していますが、テーブルなどは特に設置されていません。

「マリンライナーはまなす」では座席指定で運行されることはまずないのですが、全ての席に座席番号が附されています。
このラウンジコーナーのソファー席にも「L*」と座席番号がついています。







サニタリー デッキ

水戸方先頭車のデッキにはサニタリーコーナーがあります。
洗面台と男性用トイレ・洋式トイレと、JR特急並みの設備で、洋式トイレは車椅子での利用を考慮して手すり付き。

ちなみに洗面台は自動給水ではなく、蛇口をひねって水を出すという旧来のタイプ。
正月運行の同列車に乗車したのですが、お湯のほうの蛇口をひねってもお湯は出てきませんでした。

デッキにはステップが1段あり、車椅子対応スペースのある車両のほうも同様にステップが。
ドア幅も特別広くしてあるわけでもなく、「なんだかな〜」って感じです。

デッキの壁面に貼られたシールによれば、なんだかの交付金によって作られた車両である旨が記載されています。
この交付金は『実用原子力発電施設の初号機が設置される都道府県に交付される交付金』とのことで、
いわば茨城県が東海村に原発を持つ見返り(やっぱ“危険”だからこうしたお金が出るのかな?)に国から頂いたお金です。
・・・・ってやっぱモトを辿ればそれって「税金」じゃん?! 茨城県よ、もっと県民のためにこの車両を活用すべし!







コックピット


この7000型は、鹿島臨海鉄道の主力気動車6000型のディーゼルエンジンを積んでいて、
床下機器などもすべて6000型と共通となっています。メーターは120km/hまでありますが、最高運転速度は90km/h。






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