近畿日本鉄道 23000系 伊勢志摩ライナー

 

近鉄「初」の本格リゾート指向特急車、23000系「伊勢志摩ライナー」。

近鉄特急のスタンダードカラーであるオレンジとダークブルーを脱ぎ捨てたエクステリアカラー。
「アーバンライナー」とともに近鉄の顔として、伊勢志摩以外の路線でも大活躍中です。







デラックスシート


モケットの赤があまりに鮮烈すぎる「デラックスシート」。
「アーバンライナー」の落ち着いた雰囲気から一転、完全に“遊んだ”リゾートデコレイトのインテリアとなっています。

座席自体は、後述の「レギュラーシート」をベースに座席幅を広げて、ヘッドレスト部の詰め物を多めにした程度で、
「アーバンライナー」の「デラックスシート」ほどの特上感と座り心地はありません。
ヘッド部分がウィング形状になっていますが、プライベート感はそれほどでもなく、実用面ではあまり効果はありません。
バックレストからヘッドレストへの繋がる部分でそそり立つ角度が変わるのですが、
この角度が浅過ぎで、座席にもたれかかると頭が中途半端に起こされるような姿勢になります。

バックシェルに彫り込まれたスタイルになっている網ポケットはかなりの容量があります。
テーブルはインアーム式を装備。
このテーブル、ちょっとデザインしてみたようなのですが、こうした部分は実用性を主眼において欲しいですね。
使い勝手の悪さが目立つテーブルになってしまっています。

「デラックスシート」としてはちょっと不満が残る座席なのですが、徴収されるエキストラチャージの安さから考えると、
座席まわりでの空間占有の大きさから、長距離乗車なら買って損は無いかもしれません。











サロンシート


近鉄特急はもちろん、日本の特急車の中でも一番のキワモノ設備がこの「サロンシート」。
まさに「伊勢志摩ライナー」のコンセプトが凝縮されている空間です。

車内はボックスシートが配置されていますが、そのバックレストの高さが独特な空間をさらに際立たせています。
全体的に圧迫感があり狭そうな印象があるのですが、いざこのソファー席に座ってみると・・・
「デラックスシート」を越えるぶっちぎりの快適さです。

バックレスト部にかなりの傾斜が付けられているのですが、意外とこれが身体にフィットします。
足元もかなり広く、2人/4人で使ってもおそらく狭さは感じないのではないでしょうか。

バックレスト後方にはバゲージラックが収められています。4人掛けのサロンシートのバゲージラックはかなりの収納力がありますが、
奥まで荷物を突っ込むと、今度は荷物を取り出すのに一苦労なのでご注意。

巨大窓は電動ブラインドが装備されていて、窓下のコントロールパネルで上げ下げします。
このパネルの手前にはパイプで組まれたマガジンラックがありますが、ここに本が入るとパネルが隠れてしまうのは“設計ミス”?!

窓の大きさとソファーの大きさから、ぜひマッタリ、トローンと過ごしていただきたい空間です。










レギュラーシート


レギュラーカーは4号車から1号車までの4両。4両それぞれにテーマカラーが設定されていて、
4号車はブルー・3号車はイエロー・2号車はグリーン・1号車はレッド、となっています。

座席は、他の座席評論サイトでも書かれている通りにかなり固め。
JR東日本の「走るんです」シリーズまでいかないまでも、特急車としては「どうなのよ?!」という固さです。
おそらくこの「伊勢志摩ライナー」の前の「ACE」シリーズで開発した座席と同一タイプのようですが、
「ACE」の時に利用者から苦情や意見が出なかったのでしょうか。
さらにセンターアームレストも小型で寸足らずなものに。単なる座席仕切りになってしまったのは残念。
シートフォルムがしっかりした出来のように見えるだけに、ちょっとばかし失望させられる座席です。

テーブルはインアーム式を採用。レギュラーシートのテーブルは真四角で、そこそこ使い勝手も向上しています。
フットレストは完全に跳ね上がるタイプで、さらに座席下にも蹴り込みが設けられているあたり、
「お好きなように足を投げ出してください」という近鉄側のささやかな配慮というかサービスマインドが感じられます。
もっともフットレストは全ての座席で、上へと戻ろうとするチカラが強すぎ。下げた状態で固定できないのであまり使えません。

車椅子対応席は2号車に。ここだけデッキ仕切りドアが観音開きになっています。










シーサイドカフェ


4号車デッキ(5号車寄り)に設けられている「シーサイドカフェ」
優雅な半円形カウンターとビデオモニターを備えた本格的なサービス設備ですが、現在は使われていません。
休日の車内販売が復活した「伊勢志摩ライナー」ですが、ワゴン販売で行われ、このカフェコーナーは閉鎖中。

カフェとして活用されていた頃には車内販売品にほか、スペイン村グッズなども販売されていたようで、
ビデオモニターではスペイン村のコマーシャルやビデオなんかが放映されていたそうです。

また、ここから先は5号車「サロンカー」・6号車「デラックスカー」と、エキストラチャージが必要となる
上級空間が続いているため、レギュラーカーの乗客の無用な進入を(心理的に)防ぐ意味合いもあったのでしょう。










洗面台・トイレ


サニタリーコーナーは2・3・5号車に設置。 2号車は車椅子対応の大型洋式トイレを備えています。
洗面台は各所とも大きめのシンクになっていて、スペースも広め。
「おしぼり」サービスは洗面台の壁面にボックスを備え、セルフサービスで対応しています。










デッキ設備


デッキの付帯設備は各所バラバラに散っていて、統一感・規則性のようなものがありません。
自動販売機は2号車。電話ブースは1号車。荷物置き場は天井に荷棚が無い5号車「サロンカー」のみに設置。
(ちなみにこの荷物置き場、完全に客室外にあり、とてもではありませんがこんなとこに荷物を置いておこうという気になりません)










コックピット

 21000系「アーバンライナー」で好評だった運転席直後の展望スペース。
 「伊勢志摩ライナー」では、パイプ椅子を設置して「パノラマデッキ」になっています。
 窓も大きく、前展望は大変良好。座席に居るよりついつい長居してしまいそうです。





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