車内に入ると、まずビビッドな色使いに驚かされます。 大手民鉄の車両だと、落ち着いたトーンのブルーやブラウン系・ボヤけたオレンジの座席カバー・モケットを用いることが多いのですが、 この京急2100形はパープルブルーにレッドのドット模様、さらにヘッドレストカバーもレッドという、かなり破天荒なイメージ。 日本全国を旅した方だと、この電車の車内に入ってハッと思いつくのがJR北海道の「新千歳空港」じゃないかなと思います。 あちらは「デンマーク国鉄」との共同デザイン、そしてこちらは座席カバーはスウェーデンデザイン、座席自体はノルウェー製。 スカンディナヴィア諸国共通の、暖かみのあるポップなデザインがよく反映されていると感じられます。 扉間の座席は、オール転換式シート。車端部もすべてボックス席となっていて、車内にはロングシートが存在しません。 関東の民鉄では唯一の座席設備で、料金不要の電車としては「関東屈指の豪華列車」の名を欲しいがままにしています。 座席ピッチは850mm。座ると足を組む姿勢を取ることはかなり困難。普通に座っていても、ちょっと足を伸ばすと前席に膝がつきそう。 転換シートは全て自動転換・方向固定となっていて、京阪電車などのように乗客が自由に向きを変えることはできません。 座席の向きは、全て進行方向向きで固定されるので、ドア間の転換シートは向かい合わせのボックス仕様になることはありません。 (登場初期に乗客が無理やり向きを転換させようとして座席を損壊する事例があったらしく、 各席のヘッドレスト上部には「イスの向きは変えられません」と、注意書きが追加されています) 座席を真横から見ると、腰部分は傾斜が付けられ、ヘッド部分が立ち上がる姿勢になっていますが、これは転換時に連動する仕組み。 向きが変わる瞬間を見ていると、ちょうど背中部分とヘッド部分の境目がグニュッと曲がってリクライニングの姿勢になります。 背ずり部分のクッション材が比較的柔らかめなのに対して、座面は固めの仕上げ。 品川から三崎口まで「快速特急」で駆け抜けても、終点間近の頃にはお尻がちょっとムズムズと疲労感を感じてきます。 とはいえ、時間帯を問わず乗客が溢れんばかりの混雑路線で、これだけのハイグレードな設備に洗練されたデザインを採用する京急。 やはり、東武・小田急のロマンスカーや東急・西武の通勤電車とは一味違う、「京急」の確固たるスタイルは格の違いを感じさせます。 |
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運転室直後には、1列4席の展望席が設置されています。 前面には地下線乗り入れのための非常ドアが設置されていますが、窓がワイドサイズなのもあって、前面展望は想像以上に良好。 電車好きならずとも座ってみたい座席で、たいていの場合は始発駅ですぐに埋まってしまいます。 2109編成と2133編成には「トレビジョン」なる液晶モニターが天井に設置されています。 これは無線LANにより各モニターへ映像を配信するサービスで、現在はまだ実験段階。京急の沿線情報のほか、NHK番組も配信中。 テレビ番組の音声は手持ちのラジオがあれば、FM88.0MHzで聞くことができます。 ちなみに、京急はウェブサイトで2100形の「運行行路」を公開している極めて珍しい会社。 この「トレビジョン電車」のほか青い京急「ブルースカイトレイン」の運行行路も公開していて、乗る・撮る際にはとても便利です。 |
デッキは広々としていて、このあたりは「通勤電車」としての力量を発揮。 クロスシートの電車ながら、乗り降りはけっこうスムーズにできます。 デッキ部には、跳ね上げ式の補助椅子が設置されていて、これがデッキと客室部の仕切りとしても機能しています。 補助椅子が使える時間帯は決められており、ランプが点灯している時間帯ではロックが掛かり引き出せなくなっています。 |