京阪電鉄 8000系30番台(旧3000系特急車) 「エレガン都 エクスプレス」

  

1971年に登場し、長きに渡って京阪電車のイメージリーダーを務めた3代目テレビカー「3000系」特急電車。
冷房や自動座席転換装置を装備し、テレビカーにカラーテレビを採用するなど、京阪特急のグレードの高さを知らしめました。

4代目の8000系登場後には廃車が進みましたが、特急の運転数確保のため1編成が存続され、花形の特急で活躍を続けています。
1995年には8000系に先駆けて2階建て車を組み込み人気を呼び、これを踏まえて8000系にも2階建て車が追加増備されました。

中之島線開業に伴い登場した新型車両が「3000系」を名乗ることとなったため、現行の3000系は2008年6月に8000系へと形式移行。
今後は新CI導入の伴う車体の塗装変更が予定されており、伝統のツートンカラーから「エレガントサルーン」へと生まれ変わる予定です。

「京阪特急=3000系」というファンは今でも多く、数度の改造を経ながらも、登場以来の個性的なスタイルが高い人気を集めています。




ボディ上部:マンダリンオレンジ
ボディ下部:カーマインレッド






レギュラーシート

客室は転換クロスシートがズラリと並び、優等列車らしい雰囲気に満ちています。
一見、8000系とほとんど同じような印象を受けるのですが、座席の色がブラウン・ピンクとも8000系より若干濃い目の印象。
(と、言うより8000系の座席の表面がヘタって、白っぽくなってしまってしまっている可能性が高いような気も・・)

窓が8000系は2列で1窓のワイド仕様ですが、こちらは1列1窓。全景を見た時にどことなく古めかしさを感じます。
窓からの遮光はカーテンではなく上下可動のブラインド。フリーストップ式なので任意の位置で止める事ができます。

シートピッチは900mm。8000系のシートピッチ920mmより20mm狭いピッチ数値となっています。
前座席の足元は刳り貫かれていて、その下に足を投げ出すことができるので、数値で見るより狭さは感じません。
しかし、8000系に乗り慣れてしまうとやはり膝先が若干窮屈に思えます。
リクライニング機構は当然ながらありませんが、傾斜が適度に付けられているのでリラックスした体勢が保てます。
ちなみに現在の8030系の座席は、1995年の更新工事の際に8000系と同一の座席に交換されていますが、
なぜか不思議と8000系に比べて8030系のほうはビョンビョンと跳ねるようなスプリング感があるように感じられました。

肘掛は窓側席にも設置。ちゃんと生地張りになっているので、肘をかけた時の冷たさや固さはありません。
窓の框部分にも若干の余裕があるので、ペットボトル飲料程度なら置けます。

座席には自動転換装置が組み込まれていて、終点駅での折り返し時には全座席が一斉に向きを替えるシーンが見られます。
もちろん手動で向きを変えることも可能で、4人で向き合わせのボックス席とすることもできます。
手動転換時は若干力を要し、「よっ!」と持ち上げて、あとは軽い力で勝手に座席がバタンと倒れて向きが変わります。

両先頭車の運転席直後席は、視界が開けている「展望席」。伝統のテレビカーは5号車。
各車両とも淀屋橋側の車端部区画は「優先席」となっています。



 両先頭車の運転席直後にはこのような「展望席」が設けられている。
 地下区間では運転席側の窓にはブラインドが下ろされるが、助手席側は地下区間も基本的に開放状態で走る。
 展望席最前列。簡単ながらテーブルが設置されているのが嬉しい。
 さすがに食事しながらは気が引けるが、飲み物片手に乗り込んでの前展望を洒落込むことができる。
 各車両「淀屋橋」方の車端部は「優先席」となっているが、これは淀屋橋方先頭車も同じ。
 (現在、淀屋橋方先頭車の優先席は展望席側ではなく、後方に変更されているそうです)
 座席下は完全に空けられていて脚を伸ばすことができる。
 ピッチ900mmは数値の上では狭さを感じるが、足が伸ばせるので実際に乗ってみると、さほど狭くない。
 窓は各列に1枚を配置。これは登場時より変わらぬスタイル。
 上段上昇・下段固定の2段式窓で、真ん中に通された桟がどことなくレトロな雰囲気を醸し出している。
 京阪伝統の「テレビカー」。今では、2階建て車のほうに乗客が集まる傾向にあるが、
 始発駅での乗客流動を見ていると、「テレビ」が良く見える席を狙って並んでいる利用者はけっこう多い。
 テレビは「出町柳」方のみにあり、「淀屋橋」方には設置されていない。
 「淀屋橋」行きの電車では、テレビ付近の座席はテレビ向き(進行方向と逆向き)にセットされる。
 デッキ寄りの壁面には窓は無い。この部分は普通だと広告枠なのだが、京阪特急では絵画が飾られている。
 車内壁面に広告が一切無いのは、京阪の「特急」というステータスシンボルに対する考え方からきている。
 特急車の運用による車内では、なんと乗車記念の「スルっとKANSAI Kカード」が車内限定販売されている。
 販売区間は京橋〜七条間の昼間限定。車内巡回中の車掌さんに声を掛ければ販売してもらえる。







4号車に連結されているダブルデッカー「2階建て車」は、1995年12月にお目見えしました。
京阪初のこの2階建て車両は、予想通りに好評を持って迎え入れられ、その後の8000系への2階建て車導入の布石となりました。
2階建て車は全て京阪の自社工場で製造されていますが、この車両は第一号ということでどこか「試作」的な雰囲気があります。

2階席は2+2の座席配列。背ずりが低く、8000系と比べると空間が比較的広々としている感じを受けます。
座席は転換式ではなく固定式。客室中央部で向きを変えている「集団離反配置」を採用しており、出入り口向きに固定されています。
座席の向きが変わる部分には、目印としてか金属パイプにクッション材を巻きつけた簡易パーテーションバーが設置されています。
シートピッチは880mmで、平屋車両のシートピッチよりさらに狭くなっています。
しかし、こちらも前の座席の下は空洞となっているので、足を思い切り伸ばすことができるように配慮されています。

階下席は2+1の座席配置。しかも2階席と異なり、2人掛け席もそれぞれが独立した座席となっていているのが特徴的。
こちらも「集団離反配置」となっていて、中央部には簡易パーテーションバーが設置されています。
窓割りを2階席の配置にあわせた結果か、2階席とは席位置が若干異なる階下席では、座席と窓割りが一部で合っていないのが残念。
階下席のシートピッチも880mmですが、各席が独立したスタイルになっているので、こちらの方がプレミア感があります。

各座席の天井部分には、スポット空調と読書灯が設置されています。
これは通常、有料特急車や首都圏の普通グリーン車で見られる設備で、特急車とはいえ特別料金不要でこの設備は破格のサービス!
(ちなみに、この後登場した8000系の2階建て車では、このスポット空調と読書灯の設備は省略されています。)


 2階席の天井部分には、ささやかながら荷物棚が設置されている。
 2階席のスポット空調と読書灯。
 階下席の2人掛け席のスポット空調と読書灯。
 階下席の1人掛け席のスポット空調と読書灯。
 「淀屋橋」方の2階建て車デッキ。階段脇には補助椅子が収納されている。
 「出町柳」方の2階建て車デッキ。階下席へと続く階段上の間接照明がオシャレ。
 ダブルデッカーのロゴマーク。「1995」はこの車両が登場した年。
 階下席から見た階段部分。1人掛け席側にはパーテーションが設置され、目線のバッティングを防いでいる。
 階下席の階段付近には補助椅子。時間・区間に関係なく、いつでも使える。引き出すとこんな感じになる。


 外観の2階窓と1階窓の間に描かれているイラストは、京都三大祭の一つ「時代祭」。
 祭りの行列が細かに描かれている。車体の左右ではイラストが異なっている。







デッキ 運転席

乗降ドアは平屋車両・2階建て車両ともに全て片開き。開口幅1メートル強の広さなので乗り降りはスムーズです。
客室同様に、デッキ部分にも広告の類のものは一切掲出されていません。
ドア上に路線図と停車駅案内表示があり、ドア脇の金属脇には広告ではなく京都の風景写真などが飾られています。

補助椅子は1人掛けが2つセットで収納されていて、各々で引き出せます。
通常の昼間時間帯では、下りでは中書島発車後、上りでは京橋発車後に補助椅子のロックが解除されて利用できます。
補助椅子の引き出しが施錠されているときは「ただ今補助いすは使えません」のランプ表示が表示されています。
(私が淀屋橋行きに乗った時、七条発車後で通路・出入台とも立ち客で溢れ、この時は全区間で補助椅子が開放されなかった)

5号車のテレビカーのテレビ設置側には電話室があります。
8000系の電話室ドアは1枚折りの引き戸となっていますが、こちらは1枚ドアの押し戸となっています。
また、電話室内部も8000系とは若干異なっています。









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