富士急行 2000系 「フジサン特急」

  

2001年に引退した、JR東日本の人気ジョイフルトレイン「パノラマエクスプレス・アルプス(PEA)」。
退役→廃車の道にすかさず救いの手を差し伸べたのが、現役時代からPEAと縁が深かった「富士急行」でした。
河口湖観光や富士登山、そしてなにより自社の「富士急ハイランド」という沿線の一大観光地を沿線に抱え、
ハレの気分を盛り上げる存在の観光電車を模索していた富士急にとって、PEAの引退は大きなチャンスでした。

JRから富士急への移籍もスムーズに進み、第二の人生を富士山麓で過ごすことになったPEA。
オレンジカラーから一転、イメージキャラクター「フジサン君」を101個纏った、吃驚仰天の姿に大変身。
今はすっかり「富士急」のイメージリーダーとして定着し、人気の展望特急として活躍しています。





レギュラーシート

車内はパノラマエクスプレス・アルプス(PEA)時代のまま、ほぼ原型を保っています。
PEAでは3両+3両の6両で固定編成となっていましたが、フジサン特急ではそれを2分割して、1編成が3両編成となりました。

かつてが「全席グリーン車ジョイフルトレイン」だっただけあって、客席は余裕あるレイアウトとなっています。
シートピッチは1,350mmというワイドピッチ。グンと足を伸ばしても前の席に突っかかることもありませんし、
座席を向かい合わせにしても、足元が窮屈に感じることもありません。
ワイドピッチと同時にリクライニング量も大きく、格安の特急料金で利用できる座席としては破格の装備です。
(PEA時代の初期にはさらにレッグレストが装備されていましたが、改装が行われ現在の座席へと換装されました。→

3両編成の3両ともが同じ座席ですが、1号車は展望席を擁する「展望車両」ということで着席整理券が必要となっています。
そこで1号車と2・3号車(自由席)のグレードに差を出そうという施策なのか、2・3号車に座席は肘掛けにボルト止めがされていて、
インアーム収納テーブルが引き出せなくなっています。
この座席には背面収納テーブルが装備されていないので、2・3号車に乗ってお弁当やお菓子を広げる時はちょっと不便そう。
窓の框部分は幅に余裕があるので、飲み物などをここに置くことができます。

特急料金を含む運賃は、大月→富士吉田が990円、大月→富士急ハイランドが1050円、大月→河口湖が1110円。
かつてのジョイフルトレイン・グリーン車のグレードを誇る列車に、この料金で乗れるのは、かなりオトクです!


 客席は床面から17センチ嵩上げされたセミハイデッキ構造。窓も大きく、ワイドに広がる車窓が楽しめる。
 シート背面のマガジンポケット。かなり大きく開き、ペットボトルも余裕で差し込むことができる。
 1号車「展望車」の一般客席の座席には、インアームテーブルが装着されている。
 2・3号車の客席は、肘掛部分がボルト止めされていて、インアームテーブルが使えなくなっている。
 センターアームレストは、跳ね上げて収納することができる。
 1号車「展望車」のデッキ側仕切りドア。
 ドア上の電光表示板は塞がれ、手作り感のある案内に差し替えられている。
 1号車「展望車」のサロン席側の仕切りパーテーション。
 テレビは一般放送の放映用ではなく、停車駅や観光案内などがビデオ放映されている。
 天井には荷物棚。デッキ寄りの一部の席にはこの荷物棚が無い席がある。
 窓と窓の間には、見慣れたデザインの帽子掛け。
 ヘッドカバーには「フジサン君」のイラスト。(特急運行10周年記念の期間限定デザイン)
 平日・休日問わず、フジサン特急では車内販売が行われている。飲料・菓子・グッズが中心。
 1号車「展望車」は着席整理券が必要。座席位置は指定ではないので、展望最前列などは早い者勝ち。





1号車の最前方は「展望席」となっていて、パノラマエクスプレス時代と変わらないダイナミックな車窓が楽しめます。
PEA時代はフリースペースという扱いでしたが、現在は乗車券・特急券のほかに着席整理券(100円)が必要。
座席は指定ではないので、最前列に陣取りたい場合は「早い者勝ち」ということになります。

シートピッチは一般客席とは比較にならないほど狭く、またリクライニング機構もありません。
また、座席周りにテーブルなどもありません。(最前列は座席前の機器収納カバーの上に物が置けます)
しかし運転席を介さない展望席、まさに「特等席」ともいえる場所に位置するのですから、それらを省いたとしても大満足です。

かつてのPEAは編成の両端が展望車となっていて、現在のフジサン特急ではPEAを2分割した編成になっているので、
上り方に展望席がある編成と、下り方に展望席がある編成となっています。
そのため、大月駅から乗っても後展望となる場合があります。







1号車「展望席」と「一般客席」の間には大型のソファーを配した「サロン席」があります。
ここも、PEA時代はフリースペースでしたが、現在は乗車券・特急券のほかに着席整理券(100円)が必要。
エンジ色のソファーは高級感たっぷりで、一般席よりもフカフカにクッションの効いた席となっています。

窓側には長テーブルがあり、弁当や飲み物を広げて仲間同士でワイワイやりながら過ごすのに向いています。
グループで乗車の時は、展望席ではなくこのサロン席を狙って陣取るのもいいでしょう。









個室

2号車のデッキ寄りには「指定室」と呼ばれる個室があります。
ここはPEA時代は「VIPルーム」という団体旅行の幹事詰め所などとして利用されたフリースペースでした。
現在は乗車券・特急券のほかに指定室利用券が必要。利用人数に関係なく、1室「1000円」という個室売りとなっています。

見たところ最大6人での利用が可能なようですが、大人6人が入るとかなり窮屈そうです。
大人同士だったら4人グループくらいか、子供連れのファミリー向けの個室といった感じです。
通路側にはスライドドアがあるので、完全な個室になりますが、個室側からの視線を遮るカーテンなどはありません。
そのため、通路を行き交う人からは個室の中の様子が丸見えです。

この個室にはどうもエアコン設備が無いようです。(天井には換気扇しか見当たりません)
冷房は窓上の小さな扇風機のみ、ヒーターは窓下の床置き暖房機だけのようです。

この個室は編成に1室しかありません。
どうしても確実に利用したい場合は、事前に富士急行に連絡をして予約を入れておいたほうがいいでしょう。
(2008年8月現在、Webからの予約はできないようです。電話予約のみの受付だけです。→富士急行サイト









洗面台・トイレ デッキ 荷物置き場 車掌室
     
     

トイレは2号車デッキ(1号車と2号車の間)にあります。洗面台1ヶ所と和式個室1ヶ所のシンプルな構成。
トイレ側には「フジレット」、洗面台側には「ウォッシュフジ」というキャラクタープレートが掛かっています。
和式個室に入ると、またさらに「フジサン君」。 そして、トイレの掃除用具にも「フジサン君」が・・・・!!(笑)
ちなみに、PEA時代には3号車にもトイレと洗面台がありましたが、現在は車内販売準備室に改造されています。

さらに2号車のトイレとは反対側の客室車端部には、飲料の自動販売機が設置されています。
ジュースやお茶のほか、「富士ミネラルウォーター」も入っています。
荷物置き場は、PEA時代のかつての「スキー・スノボ置き場」がそのまま残されています。

展望席側の運転席は、展望席の上、2階の高さに。乗務員室ドアの窓が大きいので、運転士さんの様子がよく見えます。
展望席とは反対側の先頭車の運転席は、かつての国鉄の急行電車の運転席。
何かの表示装置の操作機器のプレートには、国鉄時代の懐かしい愛称やたくさんの行先が収録されています。









 現役時代の「パノラマエクスプレス アルプス」です。
 団体用の電車でしたが、シーズン期には中央線の臨時列車としても頻繁に運転されました。







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