JR東日本 E657系 常磐線特急「スーパーひたち」「フレッシュひたち」

  

常磐線特急で活躍してきた651系とE653系の2形式を置き換えるべく、2012年3月に登場したのがE657系。
651系は登場から23年、E653系も登場から15年が経過していて、旅客から求められるサービス水準が満たせなくなってきたため、
車内サービスの向上と使用形式の単一化による旅客案内の統一が、このE657系新型特急によって図られることになりました。

車両デザインは「近畿車輛デザイン室」。
E259系「成田エクスプレス」をベースに、先頭部はダイナミックな流線型で651系やE653系の流れを汲むシルエット。
E653系のような、編成ごとに異なる茨城のテーマカラーは採用されませんでしたが、外板色は「偕楽園の梅」のイメージとなっています。
車内サービスには全席に電源コンセントが設置され、WiMAXやWiFiによるインターネット接続システムも採用。

2012年3月に「スーパーひたち」の8割方と一部の「フレッシュひたち」に投入が開始され、2013年までには全列車が新型化される予定です。



−E657系 New Hitachi Express デザインコンセプト−

トータルコンセプト
堂々とした風格と印象に残る斬新さ
ボディベース:白梅色
エクステリアテーマ
Dynamic&Smooth
ボディライン:紅梅色
インテリアテーマ
和のテイストとモダンを兼ね備えた空間
裾部ライン:ラベンダーグレー







グリーン車







グリーン車は、5号車の半室がグリーン客室として充てられています。
5号車にはバリアフリーの大型トイレや多目的室、車内販売準備室などが設置されたため、グリーン客室は半室という小さな空間に。

651系では2-1配置で大型の座席が配置されていましたが、新型車両では2-2の横4列配置となりました。
これまでの651系「スーパーひたち」に比べると、やはりサービスグレードのダウンは否めない感じです。

客室内は、窓下や妻面壁面が濃い色の木目調に、床面は全面に黒系のカーペット敷き、座席もトーンの低い紫と黒で仕上げられ、
全体的に重厚感と高級感のある落ち着いた雰囲気。
座席の紫色の部分をよく見ると、梅の花の模様があしらわれていて、ここにも「偕楽園」イメージが隠れデザインされています。

座席間のシートピッチは1,160mmで、これはこれまでの651系「スーパーひたち」と同じ広さとなっています。
足元のフットレストは跳ね上げ式となっていて、座席下の支柱は1本支えなので、前の座席下に足をグンと伸ばすことができます。
ヘッド部分には上下可動式のマクラを装備。任意の高さ位置で止められるので自分の最も寛げる体勢にマクラ位置を合わせられます。

外側のアームレスト先端には電源用コンセントが設置されています。
背面収納テーブルはA4サイズのノートパソコンが置ける大きさで、展開後さらに手前へテーブルを引き寄せることが可能。
車内では、WiMAXとWi-Fiによるブロードバンド環境が構築されているので、車内インターネット利用が可能となりました。
これらコンセントと大型テーブルの設置とネット環境の整備で、自席でのパソコン使用環境が大きく向上しました。
座席背面には、上部に小物掛けのフック、下部にはドリンクホルダーとユーティリティポケットが設置されています。

グリーン客室のいわき方2席(8番AD席)は、車椅子対応席。両側の肘掛が持ち上がり、車椅子からの移動が容易になっています。
この2席は肘掛の構造上、肘掛先端に電源ポートが設置できないため、肘掛奥下(旅客の腰部脇)に電源ポートが設置されています。
列車がいわき向きの場合、車椅子対応席の次列(7番ABCD席)にはテーブルがなくなってしまうため、ここだけ肘掛収納テーブルを装備。

通路を移動する時の手掛かりとなる部分には木製パーツを使用。ちょっとした高級感を感じられるアクセントとなっています。




大型ハイバックシートが横3列で並ぶ651系のグリーン席。その後継となるのが、このグリーン席なわけですが・・・。
初営業運転の「復興いわきフラガール号」にて、満席のグリーン席に乗ってみました。

車内の照明が電球色で、照度も抑えられていると、車内インテリアのカラーコードがブラック系でとてもシックな雰囲気。
リクライニングもかなりの角度まで倒れて、足元も1,160mmのピッチ数値以上の広々さが感じられます。

しかし、651系のグリーン席のようにちょっと料金を上乗せしてもリピートして乗ろうという気にはなれませんでした。
まず隣の席の人との距離があまりに近すぎで、プライベート感は全くありません。
夫婦、恋人、親友同士などの知った仲の2人で乗るなら旅の楽しみが共有できる距離感ですが、そうでない場合は苦痛そのもの。
隣の席の一挙一動が視線に入ってくるほどで、この「近さ」に普通車との差が何なのか全く理解不能。
座席中央の肘掛は「占有争い」以前の、単なる仕切りでしかなく、肘掛としての機能はほとんどありません。
頭の部分から腕に掛けて、隣席との距離を完全にシャットアウトする壁のようなものが欲しくなります。
(→ANAプレミアムクラスのシートディバイダーのような仕切りがあるといいですね)

腰掛そのものも、ちょっといただけないチープさ。
普通車座席がちょっと肉厚になったかな、という程度の感覚で、柔らかさはなく全体的に「硬い」という印象。
着座面はほどよい弾力がありますが、背もたれ部分は少しのフカッとした沈み込む感じありませんでした。
「新型成田エクスプレス」のE259系のように、革張りシートであったならまだ普通車との差がつけられたでしょうが。
リクライニング時に座面の奥が沈むチルト機能が備わっていますが、落ち込む角度が小さすぎてほとんど意味を成していません。
全体の成型はそこそこの出来栄え。座面と背面の繋ぎ目にもうちょっとメリハリをつけて横からのサポートが欲しいところです。

床面は数層の防音材の上に全面カーペット敷きで静粛性を高めているようですが、客室の半分が台車直上という車輌構造。
台車からの騒音がそのまま客室内へと響いてしまっていて、「静かな環境」とは程遠いように感じられました。
車体の揺れを抑える「フルアクティブ動揺防止制御装置」なるものが装備されているそうですが、これは効果ありのよう。
普通車に乗っているときよりも特に横揺れは少なく、テーブルに置いた携帯端末も微動することもありませんでした。
客室を車両中央部に寄せて、できるだけ台車から離れた部分に設定すれば、もうちょっとよい環境になったかもしれません。










普通車





                                      

                                        

普通車は、これまでの651系・E653系と比べると大幅にサービスレベルが向上。快適な環境で旅が楽しめます。

シートピッチは960mm。これはE653系の910mmと比べてかなり広くなっています。
651系の970mmと比べると10mmの後退ですが、651系では前席下部が塞がれた状態だったのに対して、E657系では足元が広々。
前の座席の支柱が中央1本支えとなっていて、前の席の下に足が伸ばせるので、651系の970mmより快適さが増しています。

座席はブラックベースのシックな雰囲気。
「霞ヶ浦のうねり」をイメージしたラインと、「霞ヶ浦の水面(みなも)」をイメージしたドット柄を座席表面にデザイン。
フリーストップ式のリクライニングシートとなっていますが、E653系のような座面スライド機能は付いていません。
座席背面には収納式のテーブルのほか、上部にフック、下部にはドリンクホルダーとユーティリティポケットが設置されています。

普通席にも全席に可動式のマクラと電源コンセントを設置していて、これだけでも旅客サービスはかなりの向上。
パーソナルコンセントは外側肘掛の先端に設置されています。
WiMAXによるブロードバンドインターネット環境も、普通車全席で利用が可能となっています

車椅子対応席は6号車の上野方に2席。肘掛が跳ね上げ式となっていて、車椅子から座席への移動を容易にしています。
車椅子対応席の次の列になる席(2番ABCD席)は、上野向きの場合にテーブルがないため、肘掛先端に小型収納テーブルを装備。
この2列の座席は肘掛先端にコンセントが設置できない構造のため、旅客の腰脇の部分にコンセントが設置されています。



E259系「新型成田エクスプレス」でも感じたのですが、最近のJR東日本の特急車は普通車座席の完成度が非常に高いです。
このE657系「新型ひたち号」でも同様に、普通車座席がとても快適な仕上がりとなっていました。
これは、オススメです!!

シートピッチが960mmで、651系より10mm狭い設定なのですが、前席下に空間があるので足が思い切り伸ばせます。
そのおかげで数値以上にかなり足元が広く感じられ、これだけでも乗車中のストレスが解消されています。
リクライニングも普通車としては充分な傾斜量。それに加えて全席に枕が備わっているという快適さ。
この枕はかなり柔らかで、おそらくE5系「はやぶさ」型新幹線の普通車で採用されているものと同じものではないでしょうか。
E259系と同じ枕が使われているのかと思っていましたが、E657系の方がグレードが高くなっています。

座席は全体的に硬めの仕上げ。
特に背面部分は硬い上に、後ろの席でドリンクホルダや網ポケットの物を出し入れするのがモロに背中に伝わってくる薄さ。
着座面はそこそこの柔らかさを持っていますが、やはり硬いという印象です。
ただ座っているだけなら1時間から1時間30分程度で、背中やお尻に疲労感があるかもしれませんが・・・。
それを上野−いわき間のフル乗車でも快適なままで過ごせるのが、電源ポートとWiMAXによるインターネットサービス。
全席で電源ポートとWiMAXによるブロードバンド環境が享受でき、これが乗車中の長さを感じさせないポイント。
(WiMAXによるインターネットサービスは、事前にプロバイダ契約が必要です)
特に電源ポートの使い勝手の良さは、ビジネスマンだけではなく一般客にもウケが良さそうです。

座席は全体的なホールド感があり、背面の頭・背中・腰へとつながる成型は絶妙な仕上がり。
自然な体勢で背中を任せ、頭をマクラに乗せて、体全体をリラックスさせたスタイルが取れます。

大胆なストライプが入ったどこかポップな印象もある座席は、見た目にも好印象。
ただ、全体が黒系の色調のため、ちょっとしたホコリでも目立ってしまうので、お手入れが大変かもしれません。








洗面台/トイレ


サニタリースペースは、奇数号車のいずれもいわき方に設置。洗面台・洋式トイレ・男性用トイレで構成されています。
このうち、グリーン車の5号車は車椅子対応の大型バリアフリートイレ。
電動式車椅子でも入ることができる広さを確保しているので、かなり広いトイレとなっています。
洋式トイレには、折り畳み式のベビーベッドとベビーチェアを設置し、赤ちゃん連れの乗客にも配慮。
洋式トイレにはさらに、除菌シートによる便座クリーナー、乗務員につながる非常通話装置が設置されています。







デッキ設備 マルチスペース



多目的室は5号車に設置。着替えや授乳、気分が悪い時などの場合に車掌に申し出れば使うことができます。
5号車のデッキには、AED(自動体外式除細動器)が設置されています。
車内のカード式電話は、携帯電話の普及によって車内から撤去が行われていましたが、ついにE657系では完全に設置がなくなりました。

客室とデッキを仕切るドアは全てタッチセンサー式となっています。
これにより、デッキに乗客があふれても自動ドアの無用な開閉が解消されることになりました。

全ての乗降ドアの上部にはセキュリティー向上のための防犯カメラが設置されています。











JR東日本 E657系 常磐線特急「スーパーひたち」「フレッシュひたち」 座席表 シートマップ


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1号車


2号車


3号車


4号車


5号車(グリーン車)


6号車


7号車


8号車


9号車


10号車



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