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E5系新幹線は、高速試験車両「Fastech360S」の試験結果をフィードバックして誕生しました。 |
当初は最高時速360Km/hでの営業運転を目指していましたが、「Fastech360S」での試験の結果、 環境と安全、コストの面から最高速320Km/hでの運転が望ましいという結論になり、 E5系は最高時速320Km/hでの営業運転を行う車両として開発されました。 E5系では「Fastech360S」のアローライン形状の先頭車デザインが採用されています。 E5系の先行量産車は2009年に登場。 約2年の高速試験走行と長期耐久の走り込みを続け、2011年3月に営業運転を開始。 新しく「はやぶさ」の列車名で、時速300Km/hでの営業運転を開始しました。 新幹線初のファーストクラスとなる「グランクラス」も営業を開始。 運転開始時は東京−新青森間を一日2往復という少なさから、たちまちプラチナチケット化。 その後もE5系は、E2系を置き換える車両として大量増備が続きます。 E5系増備に伴って「はやぶさ」も運転本数が増加し、「はやて」のほとんどが「はやぶさ」に。 「やまびこ」や「なすの」にもE5系の投入が開始され、一気に東北新幹線の主力に君臨します。 2013年3月からは、併結運転無しの単独「はやぶさ」からいよいよ最高時速320Km/hがスタート。 随伴の秋田新幹線「こまち」もE3系からE6系への置き換えが進み、 E6系が出揃った2014年のタイミングで、「はやぶさ」全列車が320Km/h運転を開始しました。 2011年 グッドデザイン賞受賞(グランクラス) 2012年 鉄道友の会ブルーリボン賞受賞 エクステリア・インテリアデザイン:JR東日本 (撮影時期:2011年・2012年) |
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「グリーン車」よりもさらに上位になる「グランクラス」。日本の鉄道車両初のファーストクラスが誕生しました。 E5系は、高度の空力処理能力と環境への配慮から先頭車のノーズが15メートルにもなるデザインが施されています。 そのため、先頭車は客室が極端に小さな空間となってしまっています。 その小空間に、利用者からの要望が高かったと言う上級クラスの客席を設置することで、新幹線版ファーストクラスが計画されました。 当初のプレスリリースでは「スーパーグリーン車」の仮称で発表されましたが、2010年5月に「グランクラス」の名が決定・発表されました。 「グランクラス」の名は、フランス語で「大きな」を意味する「Gran」に、英語の「Class」を合わせた造語。 キャビンデザインコンセプトは「特別な旅のひとときをあなたに −"Exclusive Dream"−」。 客室に使われる素材には、座席に「本革」、床絨毯に「ウール」といった質感の高い素材を厳選して採用。 さらに温かみのあるライトワークによって、非日常的で洗練されたインテリア空間の演出を狙っています。 客室内は、JR東日本自らが「ファーストクラス」を謳うだけあって、思わず息を呑むほどの美しさと高級感。 横3列配置で並べられた座席は、後部がシェルで包まれる独立した斬新なデザインで、半個室に近いプライベート感があります。 この座席は、JR東日本と、設計製造が川重車両コンポとレカロ連合で、シート意匠デザインが日立製作所の共同開発。 鉄道車両の製造で世界に羽ばたく日立製作所と、シートメーカーとして世界トップレベルの川重-レカロが開発に手を携えているという点で、 「グランクラス」の座席は、まさに世界水準でもハイレベルな最高級シートといえるのではないでしょうか。 シートのリクライニングはオール電動。手元のコントロールパネルのボタン1つで操作することができます。 シート全体を、「背もたれの傾斜」「座面の高さ」「レッグレストの伸縮と高さ」と、3つの部位に独立して動かすことが可能となっています。 これにより、自分だけの、自分に最も合った寛ぎの姿勢をキープすることができるようになっています。 背もたれは最大で45度まで倒れます。 座席が体の両脇をホールドするような盛り上がったデザインになっているので、まさに「包まれている」という感覚に。 座席を倒しても後部のシェル部分は動かないので、最大角度で座席を倒しても後ろの座席に干渉することはありません。 シートピッチは、グリーン席標準1,160mmよりさらに広い1,300mm。 前の座席が目の前に倒れてくることもないので、足元はピッチ数値以上に広くてゆとりが感じられます。 たださすがに、2人掛け席の窓側の人が通路に出るには、通路側席の人の足を跨いで出る必要があります。 そのほか座席周りには、付帯設備が豊富に揃っていて、乗車中はまず不便さを感じるところはないでしょう。 アテンダントもグランクラス専任で乗務しているので、いつでも飲み物のオーダーをすることができ、まさにファーストクラス。 |
![]() レッグレストは伸縮・高さの調節が可能 ![]() 座面には通気性を良くするパンチ穴 | |
![]() 曲線デザインが美しい肘掛 ![]() カクテルトレイは広げても使える | |
![]() 2人掛け席のカクテルトレイ ![]() 読書灯はフレキシブルアーム | |
![]() ピローは上下に高さ調節が可能 ![]() シートコントローラーは手元に集約 | |
![]() 肘掛先端にはコンセント ![]() 窓周りはパネルによるLED間接照明 | |
![]() ダイニングテーブルはワイドに広がる ![]() 電光情報表示装置は文字が大きく視認しやすい |
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2人掛け席のセンター部分にはプライベート・シートディバイザー。 | 小ぶりのデザインだが、座席を最大に倒すと隣の席からの視線は完全に気にならなくなる。 ![]()
マガジンラック。1人掛け席側は窓下の壁面に、2人掛け席は前席背面のセンター部分に。 | 車内誌「トランヴェール」・通販誌・座席の使い方シートに、スリッパがセットされている。 ![]()
マガジンラックに入っている車内誌「トランヴェール」・通販誌・座席の使い方シート。 | ![]()
荷物棚は開閉ドアが付いたハットラックタイプ。 | 荷物が乱雑に見えることなく、客室内全体がスッキリとする効果がある。 ![]()
天井には、枕木方向にスリットラインのライト。 | ゆるい曲線を描くデザインが高級感を高めている。 ![]()
夜間・トンネルなど暗いところを走行中の車内はアメ色に包まれる。 | ![]()
通路側にはフットライトが灯り、真っ赤な絨毯とともに印象的な空間を作り上げている。 | ![]()
座席背面を覆うバックシェル。 | この内側には、E5系の製造とグランクラスシートの製作に関わったメーカー名が。 ![]()
9号車寄りのアプローチ部分。 | 壁に収められたマガジンラックには新聞や大判時刻表がセットされている。 ここにアテンダントさんのサービスステーションが設置されている。 ![]()
乗降ドア脇に掲げられたグランクラスのシンボルマーク。 |
「車両テクノロジー」「スペース」「シート」 「インテリア」「サービス」の5つの快適が、 1人のお客様を包み込むイメージを6角形に図案化したシャープなデザイン。 |