東北新幹線「やまびこ」の高速化、そして長野新幹線「あさま」の急勾配走行対応に登場したE2系新幹線。 当初は主に「あさま」専用、そして「こまち」併結専用の高速タイプの「やまびこ」での運用と、限定した活躍でしたが、 JR東日本のフラッグシップ新幹線であった「200系」を置き換えるように増備が進むと、E2系は新たなステージへと突入します。 2002年12月の東北新幹線の八戸延伸で新列車「はやて」が登場すると、E2系にも更にデジタル進化した1000番台編成が登場。 アクティブサスペンションの装備や新開発の低騒音型パンタグラフなど、ハード面でのバージョンアップもさることながら、 客室や座席も、それまでのE2系のインテリアを一新するアコモデーションとなりました。 今や高速型列車「はやて」のほか、「やまびこ」や各駅停車の「なすの」にまで幅広く運用されるようになり、 その活躍は「東北新幹線の顔」になるまでに成長しています。 |
グリーン席は、全体的に「あさま」用として登場したE2系の初期型(0番台車)と同じインテリア・雰囲気となっています。 ただよく見ていくと、細かい部分でそれまでのE2系グリーン席に手を加えたところが所々あるのが見つかります。 座席バックレストの上部にグリップ(手摺り)が追加されていて、車内の移動で「揺れ」に対する安心感を与えています。 天井照明は、それまでの半間接式から直接照明になり天井のデザインに変化が見られます。 0番台車では空間に奥行きがある雰囲気なのに対し、「はやて」タイプでは天井方向に広がりを感じる雰囲気になっています。 また、荷物棚の下部に空調の噴出し口が追加されており、これにより車内温度により均衡さが保たれるようになっています。 シートピッチは0番台と同じ1,160mm。リクライニング角度は26度まで倒れ、深すぎず浅すぎずのバランスをとっています。 ヘッド部分のピローは上下可動式。テーブルはインアーム式のみを装備し、2面展開で大きく広げられるものになっています。 フットレストは下ろした状態でのロックは掛けられるものの、さらに足載せを手前に展開させた場合のロック機構はなく、 足を載せていないと勝手に収納状態に戻ろうとするので、この点はちょっと使い勝手が悪いように感じます。 実際に乗ってみて、シートサイズとしては「さすがグリーン車」の優越感が感じられる座席でした。 E2系「あさま」のページでも述べていますが、ピローとバックレストのクッションのバランスにはやや難ありのように感じます。 フルリクライニングで倒すと、程よくピローが頭を支えてくれるのですが、フルよりも浅めにリクライニングした場合は、 ピローが頭を押し出すようになってしまいます。ピロー自体に張りがありすぎで、もっと柔らかく沈むものでもいいように感じました。 アームレストの後方への傾斜の付け方は絶妙で、実に気分よく腕を委ねることができます。 「はやて」ではグリーン車にアテンダントが乗務して、おしぼりやドリンクのサービスが行われています。 (ただし、東京発着の列車のみ。仙台発着の「はやて」では、これらのサービスは行われていません。) |
グリーン車は0番台「あさま」型と共通した雰囲気がありましたが、普通車は全く異なる雰囲気となっています。 まず、座席そのものが「あさま」型のE2系とは違い、E4系の2+3列席で採用されている、座面が前方へスライドするタイプ。 シートモケットも「あさま」型ではカラフルな3色をランダム配置するという、奇抜な雰囲気を醸し出していましたが、 「はやて」型ではこれを2色で車内カラーリング統一のインテリアへと変えています。 偶数号車がパープルとブルーの柄の、奇数号車はグリーンとオレンジの柄のモケットとなっています。 天井照明は直接照明となり、荷物棚上部が木目カラーに色付けされているのと相まって、暖かみと広がりが感じられます。 そして「はやて」型になって大きく変わったのが、「窓」。 それまでは1列1枚の小窓となっていましたが、1000番台からは2列1枚の大型窓となりました。これにより眺望がグンとワイドに。 ちなみに、下り列車では1号車〜8号車は奇数番号・10号車は偶数番号の席が眺望に優れた座席となっています。 (1号車11番‐3・7号車17番‐5号車15番は、1列1枚の小窓となっています。) シートピッチは980mm。JR東日本の新幹線普通車シートピッチの標準数値となっています。 |
東北新幹線で活躍しているE2系新幹線のうち、新青森開業で増備されたJ70〜J75には、客室内に電源パワーポートが設置されています。 グリーン席は、座席そのものが「E5系はやぶさ型新幹線」のグリーン席を先行したスタイルとなっています。 フットレストに代わって電動式レッグレストが装着され、読書灯はヘッドレスト脇からLED照明によって照らすタイプに。 全席に電源パワーポートが装備されていて、中央肘掛の先端に左右1口づつのコンセントが付いています。 テーブルはサイズが大型化され、手前に倒した後さらに手前へと引き寄せることができるようになっています。 普通車は、座席そのものはこれまでのE2系1000番台車両と同じ仕様ですが、窓下の床面近くに電源パワーポートが装備されました。 1列につき、左右の窓側1口づつなので、実質的に窓側席の乗客が一番使いやすい、ほぼ「窓側席専用」といえます。 各車両最前列となる席では、壁に据え付けられたテーブルが大型化され、手元まで縦長のテーブルが展開するようになっています。 また、壁面据付テーブル間にはコンセントがあり、最前列席となる場合には全席でコンセントを使うことができます。 頭上の荷物棚下には、高輝度LEDによる読書灯が普通車全席に設置されました。 その下に貼られた座席番号ステッカーは、ユニバーサルデザインによりかなり大きな文字で書かれています。 「はやて」「やまびこ「なすの」で使われているE2系は全体で39編成。 このパワーポート付きの編成はそのうちの6編成のみなので、出会える確率は約15%とかなり低く、もし出会えればかなり幸運です。 外観は他のE2系と同じですが、行先表示装置がフルカラーLEDで大型サイズとなっているので、ここを見れば入線時にすぐに分かります。 |
洗面台は、「あさま」型のスクエアなデザインのものから一転、丸いボウル形のシンクへと変化しました。 スクエアな洗面台は、撥ねこぼしが気になっていたのですが、この丸型のシンクはそれがかなり解消されています。 トイレは全てが男性用か洋式となっていて、和式はありません。一部は「女性専用トイレ」で、男性利用が制限されているのでご注意。 車椅子対応の大型トイレは9号車に。折りたたみ式のベビーベッドが装備されています。 グリーン車の洋式個室には、日本初となる「温水洗浄式暖房便座(ウォシュレット)」が装備されています。 各デッキには縦長の荷物収納スペースが設置されています。主に冬場のスキー板・スノボの収納に使われています。 電話ブースは4号車と8号車。飲み物の自動販売機は3号車と7号車に。E2系では「売店」などは設置されていません。 (現在、車内の飲料の自動販売機は全て撤去されています) |