国鉄時代から引き継いだ200系に替わって、東北/上越/長野新幹線の標準型となるべく生まれたE2系新幹線。 長野新幹線「あさま」のほか、「こまち」併結の速達「やまびこ」へと投入され、 現在までに“ニューバージョン”のE2系-1000「はやて」スタイルへと進化を遂げています。 いまやJR東日本の新幹線フリートの大多数を占めるまでに成長したE2系。 ここでは長野新幹線「あさま」専用として活躍するE2系ベーシックバージョンをご紹介します。 |
グリーン席の照明は、白熱灯のような明るさ。 実際の車内は、画像で見る以上にオレンジ系の色が強調された、今までにない客室空間を演出しています。 縞模様のモケットにイエローのリネンを配していて、落ち着いた中に「賑やかさ」を感じる不思議なインテリア。 パッと見ただけで、上級クラスへの期待感が沸いてくるのですが、 実際にはリクライニングボタン以外にはオーディオパネルなどの付帯装備はなく、 あまりにあっさりした座席設備とのギャップに戸惑いを感じてしまいます。 イエローのリネンが掛けられた枕部分は上下に可動し、任意の位置に据えることができます。 このマクラですが、詰め物の張りが若干硬めであまり頭が沈みません。 フルにリクライニングを倒して、全身をバックレストに委ねるとちょうどいいカンジなのですが、 おそらくほとんどの乗客がとるであろう「ややリクライニング」の体勢ですと、頭が前に押し出されるようで落ち着きません。 テーブルはインアーム式。ワイドに広がる2つ折りのテーブルを備えており、お弁当などを広げるにも苦にならない大きさ。 個人的には、アームレストのこの傾斜角度が絶妙! 幅と高さもちょうどよく、腕がちょうどよい体勢で載せられます。 |
どうでしょう、このド派手なカラーリングのシートモケット! 凡庸で万人受けするようなカラーコードを用いる(往々にしてぼやけた色が多い)場合が多い新幹線車輌にあって、 このすさまじいまでの「色の氾濫」っぷりは、登場からかなり経った今でも鮮烈です。 (ちなみに、長野新幹線開業時のパンフレットには「普通車シートは、ぬくもりのある配色になっています」という記述が(笑)) 座席自体は、モケットカラーから溢れるそのアグレッシブさとは裏腹に「平均点は確保」な出来になっています。 東京−長野の約2時間。そこそこ快適な気分で過ごせる仕上がりです。 ちなみに「座面スライド」機能は備えていません。E2系は、ちょうど「座面スライド席、流行前夜」に登場しています。 さて、ホームで乗車を待つあなたの目に映る車内の光景は、確実に直感的に異質なものを覚えるでしょう。 スタンバイされた座席。異常なまでにそそり立つ、いや、むしろ「前屈み」の体勢で乗客を待つ座席群・・・。 シートピッチは980mm。このピッチでは3人掛け座席は、通常の体勢では回転させる時に前後の席に干渉されてしまいます。 シートピッチを広げることなく座席の回転を可能にさせたのがこの「前つんのめり」体勢の座席で、開発時の苦労がうかがえます。 |
サニタリースペースは奇数号車の長野方に統一されて設置されています。 洗面台は大型のスクエア型シンクを採用していて、実際使ってみると使いやすいのですが、 シンク自体に縁がないために「水はね」しやすい構造になってしまっています。 車椅子用のサニタリは7号車(グリーン車)に設置。この個室には収納式のベビーベッドが装備されています。 ほぼ全てのデッキ部分にはラゲッジスペースが設置されています。 冬季のスキーシーズンには言うまでもなく、普段から成田空港利用者の大型トランクなどの利用が見受けられます。 客室側ではなくデッキ側に設置されているので、客室から目が届かず、利用するにはちょっと心配と不安があります。 電話コーナーは4号車と8号車の東京方デッキに設置されています。 登場当時は2・4・6・8号車と、2両おきに設置されていましたが、携帯電話の普及で2・6号車は順次撤去されました。 ドリンクの自動販売機は3号車、編成中1箇所だけに配置されています。 時速260Kmのスピードを生み出すコックピットは、センサーパネルが中心のキャノピースタイルのデザイン。 (コックピットの画像は、仙台の新幹線車輌基地まつりの運転台見学会にて撮影) |