JR東日本 E1系新幹線 Max リニューアル編成

  

「Max」の愛称で、すっかりのお馴染みの存在となったJR東日本のオール2階建て新幹線。
E1系登場当初は、驚きの存在感が「特別な新幹線」というような異彩を放っていましたが、
E1系が増備され、2代目「Max」のE4系が登場して次々と200系を置き換えていくと、“異端児”は“主力”へと変貌。

8両・16両と輸送量や混雑時間帯に応じてフレキシビリィな運用が可能なE4系に比べて、12両固定編成のE1系は柔軟性に欠け、
結果、E1系は東北新幹線から撤退を余儀なくされ、上越新幹線専用の新幹線へとなりました。

2003年秋から客室をメインにリニューアルが施され、全6編成が3年弱でリニューアルを完了しました。
ライトグリーンの爽やかなカラーリングは、朱鷺色へと変わり、完全に「上越新幹線専用Max」と生まれ変わりました。


−E1系 Max デザインコンセプト−

トータルコンセプト
マルチアメニティ −グレードの高い着席サービス−
ベースカラー:飛雲(ひうん)ホワイト
エクステリアテーマ
グランド&ダイナミック −動的で雄大な−
窓下ライン:朱鷺(とき)ピンク
インテリアテーマ
ハイクオリティ・アメニティ −高品質感に満ちた−
裾部:紫苑(しおん)ブルー









グリーン車




9〜11号車の2階部分に設置されているグリーン席は、座席がE2系1000番台「はやて」に装備されているものに交換されています。
「はやて」のストライプ模様は青みが強いものになり、そこにイエローのウェーブ模様を織り込んだものになっています。
これは「日本海の波のさざめきと安らぎ」をコンセプトとしたモケット柄で、上越新幹線の性格を強調したもの。

リクライニング機構やテーブル・背面ポケットなど座席に付帯する部分は、全て「はやて」タイプに準じていて、
これといった目新しい部分はなく、逆にこのシートがJR東日本の中では「完成されたもの」という認識であるのが分かるようです。

天井照明は登場当時のオリジナルのままで、荷物棚の奥から照らす間接照明と、窓上部の補助照明。
そして通路上部の小型スポット照明は天井面と水平に照らすことで、十字のオシャレな飾り照明となっています。
しかし、メインとなる照明が荷物棚奥からの間接照明なので、普段でも相当暗いのに棚に乗客の荷物が置かれて、
光源を遮るカタチとなると、客室は恐ろしいほど暗くなり、夜間の走行などは「減灯状態」かと思うほどです。

乗り心地は、なかなかのモノ。2階建て車両の2階部分ということで、眺望もさることながら静寂性にも優れています。
座席自体も「はやて」と変わらぬフィット感が味わえ、リクライニングと充分な傾斜が付けられた肘掛のバランスも良好。
E4系のグリーン席とはまた一味違った快適性があります。

・・・・が、残念ながら点数を下げてしまうような、気になる部分があります。
それは、窓上部の補助照明に取り付けられた、プラスチック製の照明カバー。
これが走行時の振動で「ガタガタガタ・・・」と、音を立て揺れ、耳障りなことこの上ありません。
本来、客室で最も静かとされる中心部でこの振動音が最も激しく、逆に車端部席ではそれほどでもありません。
このカバーは見た感じでは「飾り」のようなもので、特に無くても困るようなもののような気がしますが・・・・。



 ヘッド部分のピローは上下に可動が可能。
 若干張りの強い素材で、フルリクライニング時以外は残念ながらあまり頭にフィットするとはいえません。
 テーブルはインアーム式のみを装備。
 2面ワイド展開が可能で、利用シーンによって片面だけを展開させることもできる。
 フットレストは跳ね上げ収納式。高さはフリーストップで調整が可能。絨毯と同じ柄の面は、靴での利用。
 座席と同じ柄の面は靴を脱いで使う。展開状態での固定はできず、足を載せていないと勝手に収納状態に戻ろうとする。
 座席背面には小さな収納フック。
 袋に入ったお弁当や帽子、軽いジャケットなどを掛けることができる。
 小さなフックは窓の柱部分にも取り付けられている。
 ビジネス利用の多い時間帯では、ここにスーツを掛けているビジネスマンが多く見受けられる。
 窓下の框部分には、テーブル代わりとなる小さな張り出しがある。
 ペットボトルの飲料が載せられる程度の幅しかないが、なにかと便利に使える。
 天井部分にはささやかな荷物棚があり、ボストンバック程度なら載せることができる。
 キャリーバッグとなると、この棚に載せるのはちょっと難しいかもしれない。
 座席背面のポケットには、JR東日本の情報誌「トランヴェール」や通信販売カタログなどが入っている。
 ペットボトル飲料がスッポリ入るほどに口が広がり、ゴムバンド式のマガジンポケットよりはるかに使い勝手が良い。
 アームレストの傾斜は、リクライニング時に絶妙なフィット感を魅せる。
 アームレスト先端は・・・残念ながらカクテルテーブルとして使うのはちょっと無理そう。
 ひざかけ毛布は車端部の荷物棚に数枚がセットされている。早い者勝ちである。
 あくまでも“ひざ掛け”サイズで、体全体が包めるような大きさまでには広がらない。
 車端部のマガジンラックには、「大人の休日倶楽部」の読み物がセットされており、これは持ち帰りが可能。
 JR時刻表(持ち帰りは×)もあり、車内で帰りの列車をチェックしたり、旅行の予定を組みなおしたりもできる。
 窓上部には補助照明。このスリット状の照明カバーが走行中ガタついてとてもうるさい。
 荷物棚の一部はシースルーとなっていて荷物が載っているのが見え、忘れ物防止に役立つ。



9号車には「バリアフリー」の一環として、車椅子用の昇降リフト装置が設置されています。
そのため新潟寄りの車端部は、他の客室とは異なった客室レイアウトとなっています。

2+2のシート配置は21番列〜26番列までとなっており、27番列〜29番列はA・D席のみの片側1列配置。
このうち、車椅子専用席としてブロックがされているのは「27D席」で、それ以外は事前の指定購入が可能となっています。
中でも「29A」席と「29D」席は、窓が小ぶりで眺望が若干狭めながら、通路側には直線階段の仕切りがそびえ立ち、
「半個室」のようなプライベート空間となっており、リピーターの座席指名買いが絶えない人気席となっています。

なお、新潟行きの列車では、26B席と26C席は前に座席が無いため、階段を上がってくる乗客から丸見えの「晒し席」となっています。
これを和らげるため簡単なパーテーションが設置されていますが、目線を遮るほどの効果も無く、実質ハズレ席となっています。







普通車




5号車〜8号車・12号車の2階普通席です。
座席がE4系「Max」と同じ座面スライドのツーウェイリクライニングシートへと交換されています。
座席モケットは「夜明けに輝く日本海のさざめき」をイメージしたブルー系のE1系オリジナルのものとなっています。
客室内の座席配置やシートピッチは以前と変わっておらず、客室の総定員も変更ありません。

8号車の東京寄りには、車椅子用の昇降リフト装置が設置されています。
装置自体は9号車グリーン車のものと同じで、ここだけ階段が直線状になっています。そのため21番列から23番列は、片側1席配置。
このうち車椅子対応席は23E席で、ここ以外の21A・21E・22A・22E・23Aの1人掛け席は、事前の指名買いが可能。
特に下り列車なら、21Aと21Eは窓がワイドに広がり、なおかつ脇には階段の仕切りがある「プライベートゾーン」となるお勧め席です。








1号車〜12号車の1階普通席です。
こちらも、座席がE4系「Max」と同じ座面スライドのリクライニングシートへと交換されています。
座席モケットは「夕陽に輝く日本海のさざめき」をイメージしたパープル系のものとなっています。
以前は自由席客室と指定席客室ではシートモケットが違っていましたが、リニューアル後は、パープルのものに統一されました。

2階席は日本海側が2人掛け・太平洋側が3人掛けですが、1階席は日本海側が3人掛け・太平洋側が2人掛けとなっています。
らせん階段から客室への効率よい配置と、車体バランスを考えて1階と2階で配置を逆転させているものと思われます。

1階席は窓外の眺望が、ほぼ全線で防音壁に遮られて何も見えない状態です。
そのためピーク時以外ですと、2階席が満席に近くても、1階席はガラガラに空いているなことが多いです。
静かに過ごしたい、ゆっくり眠りたいという方は、あえて1階席を選ぶのもいいかもしれません。

なお、1階客室には車椅子対応席は設定されていません。





4号車の新潟寄りと、5号車の東京寄りには平屋席があります。座席番号は15・16・17番です。
いずれも、台車直上の「デッキ」や「機械室」として利用される部分ですが、定員数向上のため客室が設定されました。
4号車・5号車とも2+3席(連結面寄りのみ2+2配置)が3列配置の、総席数14席というこじんまりとした「個室」のような空間です。

2階席・1階席とは違い、天井が高いので頭上が広々としていて、荷物棚も収容力に長けています。
16番C席は、向きによって前の席が無くなりテーブルが使えなくなるので、テーブルを兼ねた簡単な仕切りが設置されています。








1号車〜4号車の2階席には、「2階建て新幹線Max」の象徴でもある3+3配置の席がリニューアル後も健在です。
座席はこちらもE4系「Max」と同じものに交換されており、E1系の特徴であった「真ん中の席から肘掛け」は廃されました。
モケットは越後平野をモチーフにしたプレイングリーンのものが採用され、以前のブルー系と比べ客室内に華やかさが増しました。

ご覧の通り、ギリギリまで設計密度を高めた上での3+3配置で、通路が大変狭くなっています。
また肘掛けは通路側席の片側のみで、窓側には肘掛けはありません。

 各号車の22D席と27D席は、向きによって前の席が無いためテーブルが使えない。
 その救済策として、肘掛下部にボトルホルダーが設置されている。が、やはり「ハズレ席」であることは否めない。
 2階席はいずれも、客室内の圧迫感軽減と奥行き感を出すためデッキ階段との仕切りにガラス扉を使っている。
 また、扉上部の電光情報表示装置は、いずれもコンパクトなサイズとなっている。







ミニショップ


8号車の新潟寄りにはミニショップが設けられています。
E4系のミニショップと比べるとけっこう大きい設備で、広めのしっかりしたカウンターを設けた堂々とした造り。

E1系では2階客室・1階客室へワゴンを移動するためのエレベーターが無いため、
車内販売は車内販売員がビニール製の大きなカバンに商品を詰めて、それを肩から掛けて車内販売を行っています。
それと同時に、売店での対面販売も営業中。売店を廃してワゴン販売に切り替える列車が多い中で、珍しい事例です。

カウンター内部には、シンクや電子レンジ、冷蔵庫にコーヒーメーカーなど一通りの設備が揃っています。
(電子レンジは後期増備編成のみ? 電子レンジの無い画像は初期編成「M2」編成)

リニューアル前は、売店の対面に公衆電話が設置されていましたが、現在は撤去されています。

(車内販売および売店の現状については、NT様より情報提供を頂きました。ありがとうございます。-2008.12.18)






サニタリー


オール2階建て新幹線では、台車と台車の間が客室となっているので、普通の電車と同じような構造で機器類を配置できず、
そのためデッキ部分の大半が床置き式の「機械室」となっています。
E1系に乗車するとデッキを一見しただけでは「トイレ」の位置がわからず、デッキを右往左往する利用者も多いです。

トイレは1号車(新潟寄)・4号車(東京寄)・5号車(新潟寄)・8号車(東京寄)・9号車(新潟寄)・12号車(東京寄)にあり、
おおよそ3両に1ヶ所の割合での配置となっています。

いずれも洗面台・洋式(男女兼用/女性専用)・男性用が1個室づつ。8号車と9号車の男女兼用トイレは車椅子に対応。
9号車にはE1系「Max」にしかない設備である、女性専用の「パウダールーム」が設置されています。
室内には着替え用の小上がりや全身鏡、授乳用の折り畳み椅子とベビーベッド、洗面台が設置されています。







デッキ設備 ラゲージスペース


デッキは1階と2階からの乗客の流動がボトルネックとなりやすく、それを軽減させるためかかなり広々としています。
車椅子昇降装置のある号車以外は、全て階段はらせん状となっています。
そのため、鉄道車両というより建築物の設計のような独特な雰囲気が漂い、E4系よりもそれがかなり強く感じられます。

電話設備は、4号車と10号車の新潟寄りに。以前は1両おきの割合で電話が設置されてましたが、今はその跡だけが残っています。
自動販売機は、2号車・6号車・10号車の東京寄りに。登場当時に話題となった弁当の自販機は、全機が稼動停止となっています。
また、おつまみや菓子類の自販機も機械だけが残っているだけで、販売はすでに行われていません。

2号車〜4号車の新潟寄りデッキには、壁面に収納されたジャンプシートが2席づつ設置されています。
力を加えていないと勝手に収納される「補助席」で、座席が確保できなかった時は、この補助席の位置を覚えておけば便利。
簡易シートではあるものの、なんとか「座って」移動することができます。



 2階建て構造の客室ゆえに、荷物棚の収納力に劣る「Max」では、
 デッキの至るところにスキー板やスノボが置けるような荷物置き場が設置されています。
 2号車・4号車・6号車は特に幅広で大きいスペースがあり、スーツケースの収納に便利です。








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