JR東日本 E1系新幹線「Max」

 

世界の高速鉄道車両で初めて“オールダブルデッカー”を具現化したJR東日本 E1系「Max」。
この全車2階建て車輌が生み出された背景には、「ニッポンの新幹線のプライド奪回」よりも、
増え続けて止まらない「新幹線通勤利用者への対応」という現実的な問題がありました。

現在では「マックス」という愛称がすっかり一般人にも定着し、2代目「Max」のE4系も登場。
新幹線の新しいスタイルに一石を投じた初代「マックス」は、内装をリニューアルして上越新幹線を舞台に疾走中。

ここではリニューアル工事がなされる前のE1系「Max」の車内をご紹介します。


−E1系 Max デザインコンセプト−

トータルコンセプト
マルチアメニティ −グレードの高い着席サービス−
ベースカラー:スカイグレー
エクステリアテーマ
グランド&ダイナミック −動的で雄大な−
ベースカラー:シルバーグレー
インテリアテーマ
ハイクオリティ・アメニティ −高品質感に満ちた−
ラインカラー:ピーコックグリーン



※※※ 現在E1系は全てリニューアルされ、ここで紹介するインテリアの車両は現存しません ※※※





グリーン車












グリーン席は9・10・11号車の2階部分に設定されています。
防音壁の立ちはだかる新幹線軌道において、2階席はほぼ全線で防音壁に邪魔されない眺望が約束されます。

座席はアームレストからシート背面まで全身がモケットを纏っています。
客室全体から座席単体を見た時、けっこうな重厚感がありアッパークラスたる堂々な佇まいです。

が、座席の付帯設備は折り畳みテーブルとフットレスト以外には何もなく、ちょっとガッカリ・・。
先行量産車では登場直後にオーディオパネルを装備して、オーディオサービスを行っていましたが現在は撤去済み。

フットレストは前席の下部から伸びた支柱がカーブを描いていて、前衛的な面白いデザインになっています。
しかし、足載せ面が大変小さく、また両面ともモケット貼りになっているのと、
絨毯と足載せモケットの色合いが近すぎているために、両面とも靴のままで使われている跡で汚れまくっています。

9号車の新潟方には車椅子対応席があります。
ここに近い側の階段は車椅子リフトを装備している関係で直線階段になっています。
つまり100系の2階建てグリーン車と同じ構造になっており、そのため1人掛け席が左右に存在します。
席番は27A・28A・29A・29Dの4席。(27D・28Dは車椅子席のため、通常は販売ブロックされています)
上越新幹線のリピーターにはよく知られた席のようで、ほかが空席でもここだけは埋まっていることが多いよう。
もし、12両編成「マックス」のグリーン車利用の機会があるときは、指名買いしてみてはいかがでしょう?







普通車












座席は2階席・階下席・平屋席とも同じ仕様で、フリーストップリクライニング。
モケットが、ピンク系は階下および平屋「指定席」、ブラウン系は階下および平屋「自由席」と使い分けられています。
(もっとも普通車全車自由席の「Maxたにがわ」では意味をなさないのですけど)

普通車の座面は比較的硬め。各駅停車の「Maxたにがわ」でも、
3時間を越える乗車はないので、このくらいの硬さのほうが疲れないかもしれません。

この座席の一番イケナイ点は、アームレストがあまりに短すぎるところ。
肘しか掛けることができず、腕全体を委ねるにはあまりにも寸足らずでなんとも落ち着きません。

背面にセットされたテーブルとマガジンラック。一見テーブルがポケット内に収納されているように見えます。
で、このテーブルを引き出すと・・・なんとマガジンラックごと手前に倒れてきます!
ちなみに、ゴムバンドで形成されたこのマガジンラック、収納に関しては全く堪え性がないようで、
ちょっとした揺れでラックにセットされた車内誌がバサバサと床に落ちます。終点間近の車内床には車内誌が散乱・・

先行量産車が登場して間もない頃、階下指定席にはオーディオ装置がセットされていました。
やけにモコモコしたシートフォルムが可笑しさを漂わせていたのですが、このモコモコ感にはワケがあり、
実はヘッドレストにスピーカーが内蔵されていて、イヤホン無しでもオーディオサービスが楽しめるようになっていました。
2階指定席と階下指定席では、同じ料金でも「眺望」という点でアメニティレベルに格差が生じてしまうため、
その点を「オーディオ」で補おうという施策であったようですが、その後の量産車ではあっさり止めてしまいました。












2階指定席はブルー系のモケットが採用されています。
座席自体は階下席と同じ仕様になっているので、感想は上で述べたとおりです。
ただ、確実な眺望が全区間で楽しめるので、多少の欠点も外の景色に見入ることで補える・・・かも?
8号車の東京方には車椅子専用席が設置されているので、階段が直線構造になり、車椅子用リフトが装備されています。
グリーン車同様に階段の両脇に1人掛け席が存在し、その奥まった位置と相俟ってぶっちぎりのプライベート感。
座席番号は21A・21E・22A・22E。(23Eは車椅子対応席で、通常は販売ブロックされています。)


4号車と5号車にはノーマルフロアレベルに客室が設置されています。
2階席や階下席に比べると天井方向にかなり余裕が感じられ、座ると頭部分が広々しています。
デッキ仕切り壁に近い席は2+2になっているため、次列の3人掛けの通路側席が「晒し席」にならないよう、
テーブル設置を兼ねた簡単なパーテーションが設置されています。











通勤時間帯の着席率を高めるためとはいえ、「新幹線車輌」にしてこんなところへと辿り着いてしまいました。
3+3配列で非リクライニング回転クロスシート・・・

繁忙期、スキーシーズンなどには始発駅で3+3がきっちり埋まるという光景が見受けられますが、
これは着座できることに感謝すべきなのでしょうか?
払った新幹線料金は高速移動に対するもので、空間を買うという対価には当たらないのでしょうか?
私の中ではまだこの「ダメ座席でも座れるチャンスがある」「支払った料金に対して得られるもの」の葛藤が消化できません。
それだけこの座席の出現は物議を醸し出すに充分なものでした。

ところで、この座席には空前にして絶後のギミックが3人席の真ん中の席に隠されています。
バックレストに四角い切れ込みがあるのですが、これを手前に倒して引き出すと・・・
なんとアームレストが出現して、あら不思議「2人掛け」に大変身!
もっとも、この仕掛けを知ってる人は少ないようで、使われているのを一度も見た事がありません。










サービスコーナー



 8号車にはプチカフェテリアがあります。この手の設備にしては、けっこう大型の構えです。
 車内販売の基地としての要素が大きく、カウンター販売する列車はそう多くないです。







デッキ設備













自動販売機は2号車/6号車/10号車に設置。お弁当の自販機が話題を呼びましたが、残念ながら現在は稼動を停止中。
おつまみの自販機には、なぜか「SLばんえつ物語号」のグッズを販売しているものもあります。

電話コーナーは4号車と10号車のデッキにあります。
登場時は全ての偶数号車のデッキにありましたが、携帯電話の普及で利用も減り、撤去されてしまいました。

オール2階建てということで、客室内の荷棚の収納力のなさがMaxの泣き所。
というわけで、ほぼ全車のデッキに隙間を埋めるような収納スペースが確保されています。
もっとも、客室から全く目の届かないデッキの奥深くにあるため、通常は全く使われていません。
唯一の出番といえば、冬季の「ガーラ」行き「Maxたにがわ」などのスキー輸送時くらいでしょうか。


各車とも2階席/1階席へのアプローチは、車椅子昇降機の設置部分以外はらせん階段。
デッキ中央に立ち誇る柱は「ゴミ箱」になっています。







洗面台/トイレ







デッキから繋がる平屋部分はそのほとんどが機械室に当てられているため、「Max」ではトイレを探し出すのに一苦労。
座っている位置によっては2つ先の号車まで歩いて、やっとトイレを見つけた・・・なんて場合もあります。

8号車と9号車には車椅子対応席が設置されているので、トイレも大型の車椅子対応個室になっています。

そのほか9号車には「レディースパウダールーム」が設けられています。
室内にはお化粧直しに便利な大型洗面台のほか、着替えが出来るような小上がりと大型全身鏡、
授乳時に座れるジャンプシートにおむつ交換に使えるベビーベッドが備えられています。








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