仙台エリアに籍を置くジョイフルトレイン。3両編成で気動車という、小回りの良さがウリの車両です。 この車両の大元は1989年に登場したジョイフルトレイン「グラシア」で、女性客をターゲットにしたエレガンスなイメージの車両でした。 その後、JR東日本各地に登場していた“地域密着型クルーズ車両”へと生まれ変わるべく、2003年に改造を経て「こがね」に変身。 現在は土日祝日に、東北本線・石巻線・気仙沼線・大船渡線を主に走る観光列車として活躍中です。 「こがね」の愛称は、仙台エリアの観光キャッチフレーズ「黄金街道」のイメージから名づけられました。 運行時は「全席指定」の「快速」として走ることが多く、その際の指定席料金は510円で乗車することができます。 【キハ59・29系「こがね」は、2010年12月をもって営業運転を終了。その後フィリピンへと海外譲渡されました。】 |
通路を片側に寄せた、不思議な横3列配置の客室。 その3列座席も、「2+1」と「1+2」を交互に配置していて、一見するとなんとも珍妙な雰囲気となっています。 座席を回転させると、45度ずつの角度でストッパーが掛かる事に気がつきます。 この「45度毎ストッパー」こそが、不思議な座席配置と関係しています。 実は、前後列の座席で斜めスタイルでの向かい合わせが可能となっていて、6人グループでの「ボックス」が出来上がる仕組み。 (このスタイルは、欧風時代の「リゾートエクスプレスゆう」やJR西日本の「サロンカー・なにわ」などでも採用) シートピッチは1,160mm。「グラシア」時代には「グリーン席」扱いだったそうです。(現在は「普通車」扱い) 座席にはレッグレストが装備されており、これは座面下から引き出すタイプ。 このレッグレスト、幅が狭いのと長さも短めなので大柄な男性にはあまり使い勝手が良くないかもしれません。 「グラシア」時代からの設備ですが、「グラシア」が女性向けのコンセプトだったので、そこに合わせた設計だったのかもしれません。 座席背面にはテーブルやマガジンポケット・網袋などは無く、キレイなまでの真っ平。 テーブルはインアーム収納式が装備されています。 ジョイフル列車として運転することも多く、乗客は弁当などの食品をいろいろ持ち込んで乗るケースが多いようですが、 いざ乗ってみると、そうした持ち込み品の置き場が座席の手元周りに無くて困っている乗客が多く見受けられました。 座席番号は全てA・B・C席での附番で割り当てられていますが、一人掛け席は必ずしもC席というわけではありません。 また、通路が片側に寄せられた客室レイアウトのため、窓側席はA席側のみとなっています。 改造車ゆえの泣き所か、窓割りと座席位置が合わない部分が車内に数席あり、ハズレ席に当たると窓の柱とにらめっこに。 車椅子スペースは、2号車の10番列に用意されています。 |
両先頭車には「展望サロン」が設けられています。 「運転室直後がガラス張りとなっていて・・・」というものではなく、なんと運転室脇まで回り込める室内レイアウト。 運転室を挟まずに、乗客が先頭部分の窓ガラスまで近づいてパノラマが楽しめるというスペースになっています。 L字型のソファーも設置されており、大人なら4人ほどが腰掛けることが出来るスペースになっています。 |
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洗面台・トイレは各車両に設置されています。トイレは各車両とも洋式となっています。 そのうち2号車のトイレは車椅子対応の大形個室となっていますが、個室内にドレッサールームが併設されています。 着替えが可能なほどの広いスペースに、大型のカガミと洗面台。収納式のベビーベッドも設置されています。 2号車のデッキとは反対側の車端部には、電話コーナーと喫煙ブース。 喫煙ブースはドアで仕切られた完全な個室。「グラシア」時代にはここにミニビュッフェが設置されていたそうです。 デッキは改造前の雰囲気を色濃く残していて、華やかな雰囲気の客室とのギャップが感じられます。 |