九州新幹線の全通に伴い、鹿児島中央から指宿へと観光客をいざなうために登場した指宿枕崎線の観光特急です。 海側が真っ黒、山側が真っ白という奇抜な外観で、正面から見た顔は白黒で真っ二つというあまりに斬新な出で立ち。 車内も海側を向いたカウンターシートを基本に構成されていて、1時間弱の乗車では勿体無いような凝りようです。 愛称の「たまて箱」は、浦島太郎伝説の発祥が指宿の地であることから由来して命名されました。 白黒のイメージコンセプトも、玉手箱を開けた浦島太郎の黒髪が白髪に変わってしまったところからだとか。 また、かつての薩摩藩の光と影を白黒のイメージに投影させたという由来も。 土日連休中のみの運転が多い九州の観光特急の中で、この「指宿のたまて箱」は毎日走る定期列車として運行されています。 |
指宿方の車両が1号車。ヨットなどに用いられるチーク材をふんだんに使った内装になっています。 車内は運転室直後に4人用のボックス席を2区画。車内中間には、海側を向いたカウンター席とツインシートが設置されています。 カウンター席は、約45度角度での半回転が可能となっていて、真横向きの状態まで2段階でストッパーが効くようになっています。 ツインシートは、左右が寄り添ったように見えるデザイン。実際に若干内側に沿った形状となっています。 カウンター席の座席とツインシートともにリクライニングが可能ですが、傾斜角度はほんのごくわずか。 ほとんど「ちょっと倒れたかな?」という程度でしか倒れません。 ツインシートの中央肘掛には、インアームテーブルを格納。向かい合わせの席でテーブルを出すと真ん中に大きなテーブルが出現。 この車両は、元が通勤列車に使われていたもので、そこに特急用の座席を持ち込んだので、窓と座席の位置が全く合っていません。 シートマップにおおよその窓位置と座席位置の眺望具合がどうなっているかを記載しましたので、乗車前の参考にどうぞ。 客室中央の本棚に囲まれた席はフリースペースのソファーコーナー。 ライブラリーには、指宿にちなんだ本や海の生き物の本が収められていて、乗客は自由に読むことができます。 |
1号車の妻面寄りにはサービスカウンターや車椅子スペース、トイレが設置されています。 鹿児島中央から指宿間は1時間弱の短い旅程ですが、この特急にはちゃんとアテンダントさんが乗務しています。 サービスカウンターでは軽食やグッズの販売も行われていて、立派な観光特急のサービスを展開中。 トイレは、特急「はやとの風」などですでにお馴染みとなったレイアウトで設置。目隠しの暖簾もおしゃれです。 トイレは車椅子での利用もできるように幅広に作られていて、トイレの内部も広々としています。 1号車・2号車とも、連結面寄りの乗降口ではミスト噴射の演出を行っています。 これは、「玉手箱を開けると、煙が浦島太郎をモクモクと包んで・・・」という童話の一部を再現した演出です。 |
鹿児島中央方の2号車は、南九州産のスギ材を使った内装となっていて、1号車より明るい雰囲気。 こちらは海側席が全席カウンター席となっていて、客室中央のソファー席も販売用の指定席となっています。 運転室直後の空間は、子供スペースとなっています。海側に面した部分は床が高くなっていて、子供用の小さな椅子が。 ベビーサークルもあり、親御さんは山側面に設置されたソファーに腰掛けて、親子で「いぶたま」の旅が楽しめます。 |