JR九州 キハ28・58系  阿蘇カルデラ観光列車「あそ1962」

  

「阿蘇」への観光列車として日本中に知名度を轟かせていたのが、蒸気機関車58654号機の牽引する「SLあそBOY」号。
大正生まれのこの蒸気機関車は1988年の復活運転以来、絶大な人気を誇ってきましたが、2005年8月をもって老朽化のため引退。

九州の一大観光地でもある「阿蘇」へと通じる豊肥本線は、一時的にその路線の「顔」となる特別な列車の存在を欠くこととなりました。
しかし、SL列車が消えてから1年後、豊肥本線に再び「スター列車」が戻ってきます。その名も「阿蘇カルデラ列車 『あそ1962』」。

当時、徐々にその車両数を減らしつつあった国鉄型ディーゼルカーのキハ28系とキハ58系を観光向けに改造した列車で、
キハ58系のほうは1962年製造という古豪であったことから、「1962年−昭和30年代」をイメージした列車に仕上げられました。







普通車

列車は2両編成で、宮地方の1号車が「キハ28」。熊本方の2号車が「キハ58」です。
どちらも車内レイアウトはほとんど同じですが、座席のモケット柄などを変えていて、車内の色彩が異なっています。
1号車のほうはレッドブラウン系の華やかな雰囲気、2号車のほうはダークブラウン系の落ち着いた雰囲気。

客席は全てボックス席。かつて急行列車として使われていたままの姿でモケット張替えと金属部分の塗り替えを行っているようで、
いろいろと手が加えられているとはいえ、基本的な部分は国鉄時代の雰囲気をそのままに引き継ぎ、「1962年」を上手に演出しています。
窓側・通路側ともに木製の肘掛があり、ボックス間には木製テーブルが設置されています。
2両とも空調設備が整っていますが、天井には演出のためか扇風機が。しかも国鉄のシンボルの「JNR」マークが入ったもの。
この扇風機は全て実動が可能で、窓間のスイッチでON/OFFができるようになっています。

1号車の1番席と2番席、2号車の15番席と16番席は、ちょうどドアの戸袋窓部分になるため、2人掛け仕様となっています。
1号車のほうは上りの熊本行きで、2号車のほうは下りの宮地行きで進行方向向きとなります。

個人的な感想ですが、車窓は1号車・2号車とも偶数番号席のほうが眺めが良いと思います。
(立野のスイッチバックなどで高所から低い所を見下ろす車窓や、阿蘇の雄大な山々が見える)
ちなみに奇数番号席だと、内牧駅〜阿蘇駅周辺を走行中に大観峰や阿蘇の草原が見え、こちらの風景もなかなか捨て難いものがあります。


 ボックス間には木製テーブル。窓側から通路へ出るのに邪魔にならない程度の大きさになっている。
 お弁当やお菓子を広げるには充分な大きさ。
 1号車(宮地方)のブラインド。
 2号車(熊本方)のブラインド。
 座席頭上の荷物棚は、昔懐かしい「網」棚となっている。
 天井の扇風機には国鉄時代の「JNR」マークが刻印されている。
 窓間には、昔ながらの帽子掛けがある。
 また、各窓間には「豊肥本線」や「阿蘇山」にちなんだ古い写真が飾られている。
 2号車(熊本方)のシートモケット柄。ドーンデザイン特有のモザイク柄。
 1号車(宮地方)のシートモケット柄。他の列車では見かけない、「あそ1962」独自の柄。
 車内では「あそ1962」の車内案内や、阿蘇山周辺の観光案内は載った小冊子が配布されている。
 各車両の生まれを物語るプレート。
 2号車のキハ58-139が昭和37年(1962年)生まれであることから、「あそ1962」の愛称の由来となっている。






サービスコーナー

1号車・2号車とも客室の1/3ほどがサイクルスペースとなっていて、カウンターも備えたフリースペースとなっています。
1号車のほうは5台の自転車が積み込み可能。2号車のほうはサービスコーナーがあることから2台の自転車が積み込み可能となっています。
自転車はカウンター側(窓側)の固定パイプに前輪をはめ込み、後輪はバーテーブルの下にある固定具(→)でくくりつけます。
自転車の持ち込みには、事前に駅で「自転車持込利用券」を申し込む必要があります。持込可能なのは「熊本」「阿蘇」「宮地」の各駅。

サービスコーナーでは車内販売が行われ、阿蘇の食材を使ったおつまみやスイーツ、1962年にちなんだ懐かしい駄菓子などが販売されます。








サニタリー デッキ コックピット
     
     

デッキは特に改造は施されておらず、段差のあるステップ付きデッキとなっています。
自転車持込できるのがこの列車の「ウリ」ですが、デッキ幅は若干狭く、段差もあることから自転車を積むのにはちょっと大変そうです。

1号車・2号車とも連結面寄りには洗面室とトイレが設置されています。トイレは、今や「古典的」ともいえるようなスタイルの和式トイレのみ。
洗面台も連続流水ができない、古めかしいボタン式のもの。こんなところでも「1962」が体験できるという演出のひとつ?








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